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車輪の無い世界へ転生した男  作者: 双月 仁介
第7章 大陸暦1153年
103/160

103 鑑定という恩恵

 教会の中がなにやら騒がしくなってきた。この雰囲気は覚えがあるな。ソフィアちゃんが【マジックバッグ生成】の【恩恵(ギフト)】を貰ったときと似ている。

 リズって子の【恩恵(ギフト)】が希少なものだったのに違いない。

 シスターさんと一緒に戻ってきたリズは、ちょっと戸惑っているように見える。その反面、シスターさんは大興奮だ。

「マーク兄ちゃん、おいらの【恩恵(ギフト)】は【鑑定】だってさ」

 な、何ぃぃぃ!初めて【鑑定】持ちに出会ったよ。【鑑定】って超希少な【恩恵(ギフト)】で、商人として将来の成功が約束されたも同然だ。そりゃモノの価値がすぐに分かれば、良い物を安く買って高く売ることができるからね。特に骨董品の世界では…。

「魔法とか武術の【恩恵(ギフト)】が良かったんだけどな」

「リズ、【鑑定】はすごいんだぞ。鑑定スキルだけで成り上がっていく異世界モノも多いしな」

「スキル?異世界?ちょっと何言ってるか分かんないよ」

「おっと、ごめんごめん。ちょっと興奮した。とにかく、良い【恩恵(ギフト)】をいただいたね。俺も嬉しいよ」

 この国にも恩恵(ギフト)管理局みたいな部署があるのだろうか?シスターさんに聞いてみたら、そういう部署はあるけど、【鑑定】は報告義務のある【恩恵(ギフト)】では無いらしい。うーん、この国の王宮に保護してもらえば俺達も安心できたんだけどな。


「マーク、それでこれからどうするの?私達は明日にはここを出発するのよ。でも、この子をこのまま放ってはおけないわ」

「そうですよ、マーク。最後まで面倒を見ましょう」

 エリカとアリスからそう言われたけど、本当にどうするべきか?

「俺は上司にちょっと相談してみるよ。君達はリズを連れて先に宿屋へ戻っていてくれないか。あ、途中でリズの服とか靴を買ってあげると良いかもね」

 うん、女神に聞いてみよう。何となくリズの【鑑定】は女神の意思のような気もするし…。

「分かったわ。さぁリズ、私達と一緒に行きましょう。私はエリカ、こっちはアリスだからね」

「う、うん。じゃあね、マーク兄ちゃん」

「ああ、また後でな」

 俺はこのまま大聖堂へと向かい、昨日と同じように祈りの体勢に入った。


『私の恣意(しい)的なものではありませんよ』

 いきなり、女神の第一声がこれだよ。え?作為は無かったってこと?

『ええ、彼女の【恩恵(ギフト)】は彼女自身が引き当てたものです。私は見ていただけ』

 そうですか。…って彼女?やはり、リズは女の子だったんですか?

『当たり前でしょ。あんな可愛い男の子がいますか。いや、いるかもしれないけど…ジュルリ…』

 なんかダメな性癖が暴露されそうな感じになってますけど、やめてくださいね。対応に困るので…。

『あなたが聞きたいのは、リズの今後でしょう?道は二つあります。一つはこの国の孤児院に保護してもらう。【鑑定】持ちと分かったからには、犯罪者の子供だろうが問題なく保護してもらえるでしょう』

 もう一つの道は?

『あなたがたと一緒に旅に出ることですね。リズが同行することによってあなたの生存確率は変化しませんが、【鑑定】の【恩恵(ギフト)】はとても便利ですよ。そう「なろう」系で成り上がれるくらい』

 …って、俺と同じようなことを言ってるよ、この人。あ、人じゃなくて神だった。

『要するに、あなたの好きなようにしなさい…ってことですね』

 うーん、分かりました。エリカやアリス、それにリズ本人と話し合って決めたいと思います。

『ふふ、それで良いですよ。そう言えばショタの話題が出ましたけど、私の一推(いちお)しはエル君、エ○ネスティ・エチェバ○リア(一部、伏字)ですね。あなたの()しは?』

 いや、別にショタコンの話題なんか出てませんし、なぜ俺の一推(いちお)しを聞く?男の子の()しなんていませんから。まぁエル君が可愛いのは認めますが…。

『くぅー、やはりあなたとは話が合いますね。あとはですね…』


 …って感じで、またもや長い祈り(雑談)の時間になってしまった俺は、今日も多額の寄進を行わざるを得なくなった。まぁ、リズの【鑑定】のご祝儀と思えば良いか。


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