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夏の夜は暖かい

「優人……」


 彼女は僕に甘えてくる。


「な、何やってんだよ森田!?」

「何って優人を離さないようにしてるの」

「な、なんで……」

「それは私と一緒にいる時間をできる限り長くするためよ」

「えっ?」

「今日は逃がさないんだから」

「ちょっ、ちょっと待てって」


 森田から強引に離れた。


「どうしたんだよ。らしくないぞ!」

「だって仕方ないじゃない」

「え?」

「その子と最近いる時間が長いんだから」

「だったらこうなるのか? なんか変だぞ」

「……」


 彼女はしょぼくれた。


「とにかく僕は帰るからな」

「あっ、待って」


 森田は僕の服を掴んで離さない。


「離せって」

「……やだ」

「離せって!」

「やだ!」


 僕はどうしたらいいか困惑した。


「なぁ、どうしてみっちゃんと一緒にいるのは駄目なんだ?」

「みっちゃん……。私は森田の癖に……」

「えっ?」

「どうして私の名前は下で呼んでくれないのよ!?」

「それは……」

「……」


 彼女はじっとこちらを見てくる。


「単に小学校と中学校までに知り合ったかの違いだよ」

「……」

「……それにそろそろ飯の時間だから由美達が心配してしまう」

「あ……」


 森田の指の力は弱くなり、そのまま服からするっと離れた。


「また学校でな」


 森田は顔を伏せて何も答えなかった。

 そして彼女の家から出ると、門の前にみっちゃんが立っていた。


「な、なんでここに?」

「ちょっと心配になって」

「何のだよ?」

「それは……今日も遊ぼうと思ったのに、連絡しても来ないから」


 スマホを見ると確かにみっちゃんから来ていた。

 いつも間が悪いな。


「今日はもう無理だ」

「分かっているわ。だから一緒に帰りましょう」

「あぁ」


 こうして僕達は夏の夜風を感じながら帰った。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

ブックマーク頂きありがとうございます。

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