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女の匂いがする!

目指せ! ga文庫!

(さて、漫画でも読むか)

 僕は少年漫画から成人(?)漫画まで幅広く読む。少女漫画はほとんど読まない。雑誌よりも単行本派だ。まあ、雑誌はコンビニで立ち読みするかな。

 パソコンはネット徘徊をよくしてしまう。

 僕は小学五年生まで一人っ子だったので、一人遊びが慣れているが、下が大きくなって来たので一人にいる機会が少なく……。


「お兄ちゃーーん」


 ドアをバーンと開けて、十一歳離れた妹由美が現れた。まだ四歳でとても人懐っこく、兄想いだ。大体くっ付いてくる。


「がっこどうだった?」

「まっ、ぼちぼちだな」

「こうこうせいってなにするの?」

「勉強や、部活だな」


 由美は難しいそうな顔して、


「なんか楽しくなさそう……」


 僕はアハハと笑っていると、妹は急に怪訝な顔になって、


「おんなのにおいがする」


 僕はぎくっとなった。

(なんだ?? 急に大人びたことを)


「なに? お兄ちゃん。おんなとあった?」

「いや、まあ、昔の幼馴染とな」

「ふーーん」


 由美はジト目でこっちを見る。


「お兄ちゃん……」

「な、なんだよ……」

「あんまりおんなと遊んじゃだめだよ?」

「遊ばねーよ!」


(一体どこで覚えるんだ。そんなこと)


「お兄ちゃんはあたしと遊ぶの~~」


 ぎゅーとくっ付いて来た。

(はてはて、可愛いのか、おませなのか……)


 そして次の日。僕はいつものように登校していると、昨日分かれた道付近でみっちゃんが待っていた。


「あ、ゆっくん‼」


 彼女は地味だけど明るい笑顔でドキッとした。


「お、よう……」


(もしかして、待っててくれたのか?)


「どうしたんだ? こんなところで?」

「い、今着たとこよ!」


(か、噛み合っていない……)


「いや、どうしてここでいるのかなと思って」

「え、それは……」


 彼女は急にもじもじし始めた。

(どう対応したらいいのか?)


「ま、行くか?」

「え? あんたなんかと行くなんて末代までの恥よ。けど、貴方がどうしてもと言うのなら」

「先に行きます」

「あ、待って。ごめんなさい! 一緒に行きましょう‼」


(全く。なんだ一体……)

 彼女は鼻歌交じりで楽しそうに自転車を漕いでいた。


「楽しそうだな」

「そりゃ、そうよ。昔の幼馴染と一緒に同じ高校に行けるなんて嬉しいものよ」

「さいで」


(ま、悪い気はしないか)


「あら?」

「どうしたんだ?」

「何か……女子っぽい匂いが……」


(怖い怖い怖いーー!!! どうして自転車に乗りながら分かるんだ!?)


「そんな匂いするか⁉」


 僕は急いで服をクンクン匂った。


「どうしてそんな匂いするの??」


 メガネのガラスが反射しながら奥から見える透き通った綺麗な目が少し淀んだように見える。


「妹と一緒に寝たんだ!」

「嘘! 貴方、一人っ子だったじゃない!」

「そっか。みっちゃんは知らないのか」

「え?」

「十一歳離れた妹がいるんだ」

「え? そうなの?」


 彼女は正面を向いて静かになった。


「そっか。私が引越ししたのは十歳の時だから……」

「そうそう」


 どうやら彼女は納得したようだ。


「そう……それなら仕方ないわね……」


 そして二人で色々話していたら早いもので学校に着いた。


「じゃあね、ゆっくん」

「え? ああ」


 どこかほっとした自分がいる。さっきまでの感覚は虎に睨まれているネズミの気分だ。


「よっ」

「おお、真中」

「変な女に引っかかったな」

「?」

「河野美登。特進クラスで成績もかなり上の秀才。スカートも長いし、まさにがり勉って感じの女だ。どこがいいんだ?」

「まあ、どこが良いつうか、昔の幼馴染なんだ」

「え、そうなのか?」

「小学校の頃に大阪に引越ししたけど、今こっちに戻って来たそうなんだ」

「そうなのか。……それにしても大阪に行った割には芋っぽいな」

「うん、まあ……確かに……」


 否定は出来なかった。


「宮島冬華ちゃんを見ろよ。この可愛さを‼」

「この前まで霧島凛香って言ってたじゃないか」

「まあ、アイドルは何人好きになっても良いじゃないか」

「……確かに妄想は自由だから」

「妄想言うな‼ あんな可愛くない地味な女と仲良くなるよりいいぞ‼」


 僕はムッときて、


「昔は……そう霧島凛香ぐらい可愛かったんだぞ‼」


 真中はへっとして、


「信じがたいな。お前の妄想が加わってるんじゃないのか?」

「なら、小学校の卒業アルバム……」


 僕ははっとした。

(そうだ、彼女は小四に引越ししたから載っていないんだ……)


「ん? 小学校の卒業アルバムがどうした?」

「いや、何でもない……」


 彼はふーんとため息をして、


「ま、記憶は美化されるからな」


 かかかと言って真中はクラスに向かった。

 彼女に対しての思い出を変えてしまったのかな?

 僕は彼女のクラスの方を眺めながら自分のクラスに向かった。

最後まで読んで頂きありがとうございます

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