マダンテ
魔神ヘルゲイムはノブツネの技で斬られた体の半分以上を無くしてしまい地面へ落下した。ダメージが大きかったため再生と治癒が出来ないでいた。
「俺たちの勝ちだ!」
「やったー!もうダメかと思った」
「あーあッ!」
だが魔神の様子が妙であった。体から黒い光を帯び始めたのだ。魔力が急に莫大に増加していき、体も変異していった。ツノが生え、歯はキザギザになり、背中の羽は更に大きくなり禍々しい形へとなった。
「もうおわりですぅねぇ。次は全力で殲滅ですねぇ。ふふふ、ふっふっふ!」
さらなる絶望を目の当たりにしたのであった。ヘルゲイムには第二形態があったのだ。
「もうおしまいだ!」
「幸せな人生だったな」
「あーあッ!」
魔神は技を出そうとした瞬間、あたりが更に暗くなった。
「この状況、あの時と同じ!?」
ノブツネは全身に力が入った。なぜならノブツネの村を滅ぼし、ノブツネの夢に出てきた気配と全く同じものだったからだ。
「この感じ、まさか!」
ノブツネは空を見上げると一体の魔神が降りてきた。その魔力は膨れ上がったヘルゲイムの魔力よりも大きく、より邪悪に満ちていた。ある者は嘔吐し、またある者は気絶をするほどのものである。
「我が弟ながら惨めですね……まあいいでしょう」
「これはまずい」
「ああ、そうだな。一旦退却だ。ゲートオープン!」
マーリンは王都に戻るゲートを作り出した。
がしかし
「逃げられませんよ。私の魔力の多さで空間魔法などは使えませんからね」
「化け物め」
マーリンの空間魔法が魔神の莫大な魔力量により空間が歪んで出せなかった。だがマーリンは気がついた。
「やはり今日は加護の力が薄れる日か。困ったな」
加護の力とは
生まれた時に誰しもが持つ力で自身が持つ道具の力を向上させたり、料理の味を向上させたりなど様々な加護がある。一人に1つの加護が普通であるが中には数個、数十個持つ者もいる。
なんと今日はその加護の力が弱まる日であったのだ。逃げる方法をなくしてしまったカイン達は何人死ぬかわからなかったが戦うことを選択した。みなが武器を持ち、構える。
「ふふふ、死を受け入れたのですね。潔さに免じてみなさんを苦しまずに殺してあげましょう。ヘルゲイムは手を出さないでくださいね」
「待ってください!ここは俺が相手をするのでみんなは逃げてください!」
止めに入ったのはノブツネであった。ノブツネは魔神の相手を自分一人ですると言い出した。カインとナインハルトは止めるがノブツネは聞かなかった。
「ここでカインさんやナインハルトさん、それにみんなが一人でも死んでしまったら国に大きな損害が出てしまう。それにみんなには家族や、愛する人が待ってるはずです!」
ノブツネは説得をし、みんなを逃すようにした。カインとナインハルトはノブツネの説得に渋々納得をした。ルミナス・クロニクルはノブツネに
「絶対に生きて戻ってきてください。待っています」
といい国王と共に避難を開始した。国王も
「君には人を助ける才能がある。生きて帰るのだぞ」
カインとナインハルトは
「生きて帰ってくるのが条件だから生きて戻るんだ」
「君の冒険した話もあとで聞かせてください。約束ですよ」
といいみんなを引き連れて王都へと避難したのであった。魔神は避難する者を大人しく見過ごすことはしなかった。
「困りますね、勝手に逃げられては。滅び魔法、ルインフレイム」
魔法は炎の渦になり避難をしている人たちのところへ放った。しかし、ノブツネはそれを一太刀で斬り裂き、魔法を防いだ。
「その刀、見覚えがあると思いましたら、あの忌まわしい人間が使ってた刀ですね。あなたは何者で?」
「俺の名はノブツネ。お前が滅ぼしたギルティアナ村の生き残りだ!」
「ギルティアナ……あの男の故郷ですか。ですがおかしいですね、滅び魔法で全滅させたつもりだったのですが」
「この刀と鞘が守ってくれたんだ。お前は何者なんだ」
「申し遅れました。私の名前はマダンテと申します。そして魔神に王、魔神王でもあります。以後お見知り置きを」
なんとこの魔神、マダンテは魔神の王、魔神王であったのだ。
「それと弟の他に弟と同レベルの者が9人ばかしいます。彼らは魔神10本柱と私は呼んでおります。そのもの達は他のものを魔神化させる力もあります。この10本柱だけでも一斉に攻め込んだら貴方達に万が一の勝機はありません」
マダンテはベラベラとよく話していた。まるで今後の戦いを楽しむかの様に魔神側の情報を話す。それだけ10本柱に信頼を置いているのか10本柱が倒されても自分一人で勝てると自信があるのか不明ではあるが、とても自信に満ち溢れていた。
「でもあなたは今ここで滅ぼさないといけないみたいですね」
「マダンテ、俺は負けない」
マダンテはルインフレイムを出し、ノブツネの周囲を囲み一気にノブツネのいる方向へ集める。ノブツネは鞘の加護、守りの盾の加護で無傷。つかさずマダンテは接近戦へ持ち込みノブツネを蹴りで吹き飛ばす。だがノブツネはすぐに立ち上がり反撃に転じてマダンテと接近戦を繰り広げる。だが今までの敵と明らかに力が別次元であった。
「その程度ですか、もっと強いかと思っていたのですが笑ってしまいますね」
ノブツネの攻撃は避けられたり防がれたりするがマダンテの攻撃はノブツネにあたる。横腹を蹴られ吹き飛んだり、連撃で意識も飛びそうになるがなんとか踏ん張っていた。
「もう終わりですか?残念です」
「だったら少し本気を出すぞ!」
そういうとノブツネは一歩後ろへ下り力を溜める。ノブツネの体から黄色いオーラが出ていた。そして目を少し閉じ力が溜まったのを感じると目を開いた。
「気合い状態、素戔嗚!」
素戔嗚状態になったノブツネはマダンテの目の前まで歩いていった。
「オーラが変わりましたね。ですが私に勝てー」
一瞬目を閉じて目を開けるとマダンテの腕が斬られていた。想像以上の能力向上でマダンテも少し驚いていた。だがマダンテの腕は直ぐに生える。
「ふふふ、驚きましたよ。まだかこれほどの実力者でしたとは」
「腕一本飛ばしてもピンピンしてるのか。体力勝負だな。ほらかかって来いよ魔神マダンテ」
素戔嗚状態になってから能力向上はしたが、もう一つ変わってしまったのが性格である。これはこの状態になったときに反動で一時的に性格が変わってしまうのであった。




