王国の英雄
ノブツネは集合場所の宿へ戻った。フラワとグロウは先に着いて待っていた。
「遅かったわね〜、女性を待たせるなんて〜」
「よし集まったな、じゃあ飯でも食いながら明日の予定を話すからよく聞いとけよ」
食事をしつつ明日の予定の話を始めた。
朝にS級冒険者になった者への勲章授与式。昼からはお祭りが始まり夜にパーティーが開催されるという流れである。そしてみんなが一番楽しみにしているのが王国の英雄と呼ばれる7人の冒険者だ。
「英雄の方達とお近づきになりたいわ〜」
「がっつき過ぎるなよー」
「英雄、どんな風に人を助けているのか聞こう」
食事を終え各自に部屋へと入り寝ようとするがノブツネは英雄の話を聞きたくて楽しみで眠れずに朝を迎えた。寝不足ではあったが胸の高鳴りが抑えられずに城へと向かった。城の前には大勢の人々が賑わって民衆は始まりを今か今かと待っている。
「今日の日を待ってたぜ!」
「あの英雄の人たちに会う少ない機会だから俺は1週間前から楽しみにしてたんだ!」
「早くはじまらねーかな!」
始まりが近づき各地から呼ばれた冒険者達も揃い始めた。S級魔導師ファミア、S級冒険者ジェイ、モンスターハウス8代目マスターゾゾロアなどの有名な人達が勢揃いであった。
そしてついに始まった。
「これより冒険者達への宴を始める!我はこの国の王、カミデス・クロニカルである!」
カミデス・クロニカルとは
この国の国王で若い頃は冒険者としても活躍をしており、戦喜と呼ばれて戦いが起きると喜びながら戦っていたという。
王が各地から来た冒険者を讃え、民衆の働きを讃え慈しみの言葉を投げかけた。民衆からも支持は厚く、歓声は鳴り止まなかった。冒険者達もその王としての器の大きさを感じ取っていた。
「カミデスも偉くなったな。いや、今は国王か」
「グロウさんあの人とお知り合いなんですか?」
「ああ、昔ちょっとな」
グロウは王と知り合いらしく王として振舞っている姿に喜びが見えた。王が話し終えた。すぐさまS級に上がった王都直属のギルドメンバーの授与式が始まった。S級に上がるもの達は世界でも広く知られている顔触ればかりで人気もあるもの達ばかりだ。そしてS級に昇格した者でも一番活躍をした者にギルド長から直接勲章を頂くのだ。
「よく頑張ったのおナインハルト君」
「いえ、マスターに比べれば小さな活躍です」
活躍した者はナインハルトという男で、とんでもない魔力を秘めており、剣技極め、剣聖や剣神とも呼ばれている超大型新人である。そしてギルド屈指のイケメンとしても名が通っている。
すごい盛り上がりを見せたが次の演目で更に盛り上がることになる。それは7英雄と呼ばれる王国最強の7人が姿を現わすからであった。
「王国に英雄達が一同に集まる数少ない日だ!彼らに午前の部を締めてもらおう!」
民衆が一斉に拍手をした。その音は王都全てに広まって行き広まりはまだまだ広がっていく。そして7人の英雄達が姿を現した。姿を見た民衆達は一斉に拍手をやめ、姿に目を奪われ呆然としている。
「やあ愛すべきみんな、僕の名はカイン。今日という日を僕はすごく楽しみにしていたよ、祭りはこれからだ楽しんでね。僕も祭りを見て回るから気軽に声をかけてね」
カインの話が終わると民衆は見たことのないほど盛り上がった。
「うおおおおおおお!カインーーーー!」
「カイン様素敵!」
「国の宝だ!」
カインとは7人の英雄達のリーダーで王国始まって以来の天才児と呼ばれている。国民にも愛され、マナにも愛されている美男子である。
カインの話が終わり、午前の部が終了し、祭りが行われた。ノブツネは射的や焼きそばを食べて満喫していた。特に焼きイカを気に入り何本も食べていた。
「この焼きイカ美味いな、俺でも作れるかな?いや無理だな」
そんなこんなで時間が経ち夜になりパーティー会場へと向かい到着した。会場にはS級魔導師や冒険者、そして7人の英雄達がいた。フランは7英雄のルイーズと言う男と話していた。
「私強い人が好きのよ、だから7英雄で一番強そうな人と仲良くなりたいな〜と思って〜」
「確かにカインが一番つええとしたら互角でもある俺様も一番つええってことになるからな!見る目あるぜあんた」
フランはルイーズと仲良く話していた。ルイーズも満更ではない表情であった。グロウも7英雄の一人と話をしていた。
「ご無沙汰してます師匠!」
「よお久しぶりだなアースレイン、それと師匠はやめろ、一応7英雄の一人なんだからよ」
「すみません師匠!」
「全く……だから師匠はやめろって」
アースレインとはグロウの弟子の一人で少しバカである。盛り上がっている間に王が会場へ入り挨拶を行なった。
「今日がご苦労であった!今日が沢山食べて話をしてもらいたい!それとわしの娘を紹介する、入りたまえ」
そういうと扉が開き一人の女性が出てきた。その女性は美しく髪は長く黄色でまるで夢で見た女性のようで昨日絡まれていた女性のような人だった。いや、間違いなく夢で見た女性であった。
「なぜ彼女が!?」
「どうしたノブツネ?」
「い、いえなにも」
「ゴホンッ、名はルミナス・クロニカル、わしの娘だ」
「初めましてルミナス・クロニカルと申します」
とても静かで美しく、全ての者が彼女に惹きつけられ、目を奪われていった。声を聞いた者全てが心に安らぎを感じさせていた。
「なんと美しいんだ」
「綺麗だ」
一人の冒険者が前に出た。
「急に紹介するってことは何かあるってことですよね」
「如何にも」
そして話し始めた。
マナに愛されて生まれたルミナスは魔神に命を狙われていると言う。今まではS級魔導師達が結界を作っていたが突破されたらしくこの機会に守ってくれる強い者はいないかという話であった。
「魔神だったら俺たちで守ってやるよ、そこの魔力なしのやつには無理でもな」
「っていうかなんで魔力がねえやつがいるんだよ」
「いつから子守までする集まりになったのやら」
急にノブツネのことを周りがバカにし始めた。グロウは言い返そうとしたがノブツネに止められる。カインが前に出た。
「僕がお守りいたしましょうか?なるべく安全な場所を用意します」
「おいおい抜け駆けはダメだぜ?」
「そうよ!男に任せてたら何があるかわからないじゃない!女性は女性でお守りするわ」
7英雄の一人マーリンという女性も前に出た。
マーリンとは三賢者の一人であらゆる魔術を使うオールラウンダー魔術師である。
大勢の誘いがあったが全員の誘いを断り一人の男のところへ向かった。
「ノブツネさんですよね?お願いします!私を守ってくださりませんか?」
殆どに者が驚いた。魔力なしで最低ランクに冒険者で得体の知れないノブツネに依頼をするという事は会場の殆どが予期せぬ事だったからだ。だがカインだけは全く驚かなかった。カインには分かっていたのだ。ノブツネには特別な何かがあると。
「おいおい見る目ないぜ姫さんよ」
「魔力なしに頼むなんて死んだも同然だな」
「あんな貧民のやつに普通頼むか?」
周りが色々言う中ルミナスは引かなかった。
「いいですけど、なぜおれなんですか?」
「何となく一番強いと思ったからです」
そういいルミナスは王に守ってもらうのをノブツネにしてもらう事の承諾を得てパーティーが開催された。その日パーティー中ずっとノブツネに非難を浴びせていた。
「ルイーズさん、冒険の話を聞かせてください!」
「は?やなこった」
「ファミアさん冒険の話を」
「何であんたなんかに話さないといけないの?」
その後も誰に聞いても誰も話してくれずにいた。そんな様子を見てナインハルトが話しかけてくれた。
「どうしたんだい?」
「誰も冒険の話をしてくれないんです」
「きっとみんな君に嫉妬してるんだよ、姫を守る任務を誰かわからない人に頼んじゃったからね。それと俺で良ければ話そうか?冒険の話」
「本当に!?ありがとうございます!」
「その代わり敬語はなしね」
「ああ!分かった!」
ナインハルトが自分が冒険した話をノブツネに話した。ノブツネはちても嬉しそうに話を聞いていて満足していた。二人は仲良くなりノブツネも自分の冒険の話をして同じ共通のクエストで意気投合した。そしてパーティーも終盤に差し掛かった時だった。窓ガラスが割れ、周囲に黒い霧がかかった。
「何事だ!」
王が言葉を放った瞬間に王に後ろに黒い霧に包まれた生物がいた。
「何事なんですかねぇ」
そういいその得体の知れない存在が王の首に手刀を食らわそうとしたその時だった。カインが音も立てず、素早くその存在の手を斬り伏せた。
「王よお逃げください!」
「いや、わしはここに残る!」
「いきなりですかぁ」
得体の知れない存在は自分の手を再生させた。
「なに!?」
「申し遅れましたぁ、私はヘルゲイム、というものですぅ。以後お見知り置きをぉ」
「ヘルゲイム!?人間の魔神か!」
「魔物を魔神化させていく有名な魔神か」
「私も有名になりましたねぇ。ここだと不便ですから移動しましょうか。絶対瞬間移動」
絶対瞬間移動とは空間に入った者全てを強制的に移動させる魔法である。
魔神に飛ばされた場所は王都の近くの平原であった。そこへ待ち構えていたのは何千もいる魔神や魔物、そして人間の群れであった。




