第65話:魔法の修行②
「ストップ。それを維持してて」
「は、はい」
翌朝。
朝早くからキールと共に再び魔法に学びながら、テレポートを扱い方を教わる。黄龍と青龍は朝から互いに顔を見ず、火花を散らす。理由を聞いても『何でも無い』と言われてしまう。
「あ、うん……私も無理。………雷怖すぎ」
キールさえ遠い目をしており、チラリと青龍を見るもそっぽを向かれ何も答えない。そのまま周辺を見回りをしながら、要塞を破壊して行くと言う物騒な事を聞き、ギョッとなる。
『道しるべにやってるだけたから、気にしないで♪』
ならなんでそんな笑顔を……?と、口に出そうしたら遮るようにキールが連れだし昨日続きをと言われ話は中断する事になった。
(始めてまだ1時間……もう分解まで終わったか)
昨日、魔力を込めて作った球体。
目に見えるようにしている為か、七色に光るそれをキールは分解するようにと言った。あれだけ必死で行い、やっとの思いで出来たものを分解しろと言われショックを受けた。
しかもただの分解ではない。
属性毎に圧縮させた魔力の球体を、8つ引き出すように……と言う追加注文付きだ。
(ハード……過ぎ)
覚えていたのはそこまでだ。いつの間にか、気絶していた麗奈は次に目を開ければキールがこちらをニコニコとして見ていた。膝枕だと分かり起き上がろうとするも「ダーメ♪」と、拒否をされ今度は抱き止められてしまいさらに動けなくなる。
(っ、多い……スキンシップが多い、近い。すんごく近い!!!)
すぐに離れようとも力が入らない。
アシュプと契約して体が動かなくなったあの時と同じだと分かり、力を使っている実感が分かるが……こんな事で分かりたくないと思い、睨むとキールは何故か上機嫌だ。
「…………」
速攻で諦めた。
何をしても負ける感じがして無理だと悟った。キールはそれを含んで楽しんでいるように思えたのが証拠とも言える。うぅー、と唸る麗奈にキールは空を見上げる。
最近、だれかに見張られている。そんな気配を感じているな、と思い彼女の頭上で浮かび続けている魔力の球体を見る。
(まだパスは続いてる、か)
精霊との繋がりは契約時に渡される水晶の輝きで分かる。麗奈がしている首飾りにはウォーム以外に、ゆきが契約した水の精霊、炎の精霊、風の精霊から受け取った水晶の色がそのまま首飾りに付いている石の色にはめ込まれている。
青、赤、緑、白。
この4色からは魔力が感じ取れており、精霊との契約が続いている事を意味する。術者が気絶したり眠ったら、途中に発動している魔法は力を発しない。
しかし、麗奈は魔力を込めている最中に気絶した。本来ならそれで魔法も発動しないはずだ。しかし、今も意思を持つようにフヨフヨと浮かぶそれは消えずにいる。
麗奈以外に魔力を送っているものが居ると言う事であり、自然と誰が行っているか分かる。重い溜め息を吐けばビクリ、と麗奈と球体が同時に動く。
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「主ちゃんとのパスを一時的に切ってよ、ウォーム」
≪…………≫
麗奈が作り出した魔力の球体。それはキールの目の前に止まり、考えているのかじっとしている。麗奈の傍には黄龍と青龍の2人と楽しく会話をしているのが見える。
今は休憩と評しているが、実際は違う。麗奈の魔力の出所は大精霊であるもの、そして溢れすぎた力の一部を使っているに過ぎない。泉での浄化も、自分やラウルに行った魔力の受け渡しも全て……麗奈の力ではなく、この大精霊の魔力によるものの作用。
「彼女、このままいけば確実に体を壊す。今は四神達に力の調整を行っているけど………彼等が居なくなれば、その反動で彼女の体は使い物にならなくなる。そうなる前にコントロールしたいんだ………だから一時的に魔力の接続を切れ」
大精霊のしかも父たる存在に対してその口の聞き方はと思われるがキールが優先するのは麗奈のみ。魔法を扱えないではなく今までそうさせなかったウォームにも責任があるだろ、と暗に言わないだけで自覚しろと言う意味で脅す。
「貴方の力は元が大きすぎるんだ。陛下だってエンシェントドラゴンとの契約に、今まで渡してきた魔力でやっと扱えるんだ。それを……主ちゃん1人の体で耐えきれる訳ないだろ」
今、それを扱えるのは完全に首飾りに依存しているからだ。ウォームが壊されたのを治し彼女に渡した時、細工を施していた。もし、契約をする事があればその力の全てをここに集約すると言うもの。
実際、今までの麗奈は陰陽術を多用し結界だけでは対処できない時に精霊からの魔法を扱うが……今まで風魔が居た事で、殆ど使わずに済んでいた。今も黄龍と青龍と言う強力な2人が居るからこそ、魔法を扱う事での暴走も無いがこれからそれが長く続くとは思わないと言うのがキールの見解。
≪いつから気付いていた≫
「主ちゃんが試しに球体を作った時にね。普通は魔力を送った本人が気絶すれば連動して中断されるものが、風化する事無くその場にあり続けた。………貴方のサポートがないと無理でしょ」
≪………厄介な所に気付くな、お前さんは≫
「誉め言葉として受け取るよ」
暫く考えた後、彼は溜め息を発し≪強すぎるのも考えものだな≫と言ってキールにあまり厳しくするなと約束を取り付けられる。しかし、彼はそれを無視して「あとどの程度で魔法は無くなります?」と嫌な質問をしてきた。
≪…………人の話を聞かん奴だな。徐々にであるが、ブルームの奴の力が衰え始めている。次はワシなんだろうが、生憎とまだまだ元気じゃ≫
「そうでないと困りますよ。主ちゃんが行くまでにやられてました、だと話にならない」
≪ワシ等が居るのは恐らくはファータで当たってる。だが、妙な空間に閉じ込めらていて何処に何があるかなど分からん≫
魔法は使えないから探知で探すには無理だと言い「役立たず」と舌打ちしながら言って来る。暴言を吐かれたのを気にした様子もなく≪首都周辺でおかしな事が起きているから気を付けろ≫と警告を出してきた。
理由は?と聞けば、少し間を置いてから≪人の血がよく流れている≫と不吉な言い方に思わずキールの眉間にしわが寄る。
「なにそれ……どういう意味?」
≪外の状況がよく分からないからな。が、魔物が夜中に侵入者を喰らっているようだし……お前さん達、ホント気を付けろ≫
「侵入者」
ドーネルが言っていた潜入を任せた騎士達の事だろうか、と言えばそれだけではないと言った。血の匂いが分かるのも、どうもその死体をブルームとアシュップの居る所へと放り込まれているらしい。
「えっ、それじゃあ」
≪気分が悪いだけでなく、気も滅入る………お嬢さんには行かせたくないのに、彼女しか解除できないのが…………うぅ、来て欲しいのに来てはいけないと言いたい≫
「だからって、ワザと主ちゃんに力を与え続けないで下さい」
≪…………はぁ、分かった分かった。お嬢さんに魔法を学ばせるのは構わんが、あまり厳しくするなよ?≫
「善処するよ」
≪嘘じゃろ。絶対。嘘だろ!!!!!≫
なんかお嬢さんが疲れた様子なのは分かるぞ!!!!と、見えもしないのになんて奴だとキールは呆れる。少し口論になったが、ウォームが消えたと同時に目の前に浮かんでいた球体も消えて行く。
はぁ、と溜め息を吐くキールに麗奈が興奮したように「キールさん!!!!」と駆け寄ってくる。
「どうしたの?」
「何か体が凄く軽いんです!!!!ずっと、疲れてた感じなのに何故か今はスッキリしてます」
『だからってそんなに慌てなくても』
『………いち早く伝えたかったんだろ』
『何その保護者目線………』
『主の保護者だろ、俺達は』
『はいはい……そう言う事にしとくよ』
じゃ、と主が元気になったらと言う理由で黄龍は周辺にへルギア帝国の要塞がないか見て来ると言い空を駆けて行く。青龍は魔物が居ないかを見て来ると言い自身も仕事とばかりに居なくなる。
「……………」
麗奈の「さぁ、来い!!どんどん来い!!」と言う期待に満ち溢れた視線にキールは(普段もそれ位に積極的ならなぁ~)と思い課題を出し続けた。
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「炎、水、風、大地、闇、光、聖、無属性………うん、今わかっている属性の魔力を引き出せてるね。じゃ、これやってみて。アクルス・グランツ」
瞬時に展開された魔力が空へと打ち放たれる。
レーザーにも見えるそれは1つ1つ圧縮された魔力であり、強力な遠距離の魔法だ。キールが敵と認識したものに当てるものだが、基本的に人間に当てるものではなく魔物や魔族、大群用を殲滅する為に編み出された魔法だ。
これなら例え人が紛れていても容赦なく打てる上、巻き込み事故もない。正し、キールが人を敵とみなした場合は……文字通り、全てを消す力でもある。
「………す、凄い」
麗奈の周りでは自分で引き出した全ての属性を球体として固めたものが右周りにグルグルと円を描くようにしている。魔力の塊を閉じ込めたそれは、解き放てば大地を変化させ周囲にもたらす影響は計り知れない。
だから、森にではなく何もない空へと打ち放った。例え当たったとしても空を飛ぶ魔物が被害を被るだけだ。
(あ、あんなの………出来るかな)
ドキドキ、と今の魔法が自分にも出来るのかと不安になる。ゴクリ、と唾を飲み込み集中する為に手の平を空へと掲げ目を閉じる。
(霊力を練る様に、疑似的に自分の手の平に魔力を乗る様に……)
魔力が練り上がるのと呼応するように、麗奈の足元が虹色の円が一瞬浮かんでは消えていく。その周囲に虹の粒子が自分の手に集まる感覚に確かな手応えを感じた。
「アクルス・グランツ!!!」
高らかに唱えた魔法は、キールが打ち上げたものよりも巨大で見回りをしていた黄龍と青龍もその柱とも言える魔法の力に驚き思わず引き返す。一方の麗奈は初めて行えた力の行使に嬉しさを滲みだしていた。
「キールさん!!!これでいいんですよね?」
「…………」
「キールさん?」
出来ましたよ!!!と満面な笑みで伝えに来る麗奈にキールは反応が遅れた。青龍が慌てたように戻り麗奈の所に行けば「青龍。私、使えたよ!!!泉の時と違ってちゃんと力として出来たよ」と嬉しそうに言って来る。
『……そうか。さっき、魔物が居たんだがいきなり風化するみたいに来たのだが主が行ったのか?』
「そう、なの?………でも、私空に打ち上げたんだけど」
『主、今のは………って、戻りが早いな』
「黄龍!!!ねぇ、ねぇ、聞いて聞いて」
『ん、なんだい?』
ニコリといつもの笑みを浮かべながら、嬉しそうに話す麗奈に頷き『偉いね~』と頭を撫でれば嬉しそうにされるがままだ。青龍はキールが呆けたように大丈夫かと聞けばコクリと頷かれる。
『本当に平気か?』
「……うん、平気。驚いて、言葉も反応も……遅れてただけ」
未だに撫でられている麗奈は「えへへ~」とデレデレとした表情をしていた。試しに打った魔法とは言えその威力はキールの倍はあり、編み出した魔法をなんの弊害もなくこなした事に驚いた。
圧縮をした魔力を留める事、それをレーザとして打ち出すイメージ。
この2つを保ち続ける事がどれだけ難しいのか理解していない。キールでさえ留める事は出来ても打ち出すイメージを、確立にするまでに時間が掛かりこの魔法を会得するのに1カ月は掛かった。
それを、自分が打ち出したのを見ただけで……たったそれだけで出来た麗奈に、驚きつつ同時に適わないなと思い知らされる。
(主ちゃんの方が大賢者と呼ぶに相応しいのにね………)
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「ドーネルさん、ラウルさん、リーファーさん!!!!」
シュン、と風を切る音が聞こえたかと思えば姿を現した麗奈とキール。
野宿する為に色々と用意をしていたリーファーは驚いて固まり、薪を探していたドーネルとラウルも同様に驚いていた。
「あれ、3日掛かるって……」
「1日と経たずに覚えたからね。自慢の主ちゃんだし流石だ」
ねー♪と、撫でられる麗奈にすぐに引き剥がしに掛かるラウル。
ふにゃりと嬉しそうにしている麗奈に、ふっと笑みを零すラウルは「何かされたか?」と声を低くする。
「………え?」
「キールさんの事だ。麗奈に何かするのは分かり切っている」
「君、容赦ないね。そんなに2人きりになったのが羨ましいの」
「過剰なスキンキップを多々している人に言われたくない」
『あ、それ彼じゃなくて』
『うるさい』
肘鉄を喰らう黄龍に青龍はそっぽを向く。
キールを見れば「私じゃないよー」と勝ち誇る様な顔にイラっとなる。ドーネルが「喧嘩するならよそで」と言いすぐに場を収めるかかる。
「テレポートと転送魔法は扱えるようになったんだね。他は?」
「治癒と防御、あとは複合と分解ですかね。氷と水とを分けますし、その2つを混ぜ合わせて打ち出す事も出来ますよ」
「…………」
チラリ、とラウルを見る。
彼は氷しか扱えないのを、やっとの思いで水に分けて扱う事が出来たと言う。それを麗奈は1日と経たずに行った挙句、キールによれば闇の扱いも中々のものだと言う。
ラウルは麗奈が魔法を扱えた事の喜びが勝っているのか、自分よりも早い段階で抜かされている事には気付いていない様子。もしくは気付いているが、麗奈の笑みで全てを帳消しにしたかは定かではないが……。
「あれが首都のファータだよ。一番高い建物、あれがディルバーレルの城だ」
試しに麗奈が覚えたてで行ったテレポートで送って貰えば、首都が見える高台に辿り着いた。ここに辿り着いたと言う事は近くに同じ属性を扱える者が居ると言う事になる。誰だろう、とドーネルが考えていたら「麗奈ちゃん!!!!」と勢いよく麗奈に抱き付く人物。
「ゆ、ゆき!?」
「れいちゃん!!!!」
「え、ハルちゃん!?」
続け様にハルヒが見つけたとばかりに、2人ごと抱き付き後ろに倒れる。ラウルが当然の如く支えれば、ゆきとハルヒは涙を浮かべて再会を喜んでいた。呆然となるドーネルとリーファーは「久しぶりドーネル王子」と8年前から姿が変わらないでいるランセ。
彼の隣ではガロウが目をキラキラとさせ、ランセの待ったを聞かずにそのまま飛び込むようにして麗奈の所に向かう。
流石にラウルも精霊の抱擁には予想がつかず、まとめてドサリと倒れ込んでしまう。慌ててヤクルが起き上がらせれば「団長!?」と驚かれた反応が返ってくる。
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今のファータは薄暗く、空を見れば既に星空が浮かんでいる事から夜なのが分かる。しかし、足を早めなければと動かすも思うように動かせずイライラとさせる。
「はぁ。はぁ………くっ、何故だ、何故だ」
この事態を上手く説明出来ない。ただ、自分は魔物に追われていると言うのが分かる。剣で対応し魔法で応戦しようとし、その魔法が扱えくなった事に愕然となった。
驚いている内に、片腕を持って行かれドクドクと流れる自身の血の量に永くないのを悟る。しかし、と自分はこれを団長に伝えなければならないと言う使命感だけで今の彼は動いている。
「グルルルル」
「っ、くぞっ………」
剣を握っていた腕もなくなり、両腕がないこの状態では走るのも限界かと思うが止める訳にはいかない。しかし、眼前には黒い翼とライオンの体に蛇のを持つキメラが立ち塞がっていた。
(っ、おかしい、何故魔法が使えない………防御も治癒も、何もかも無効にされる)
「おっかけこは終わりかな」
「ぐっ……」
クスリと笑みを零し、ボロボロの騎士を前にキメラとは反対に立つラーク。追わなくてもあの血の量であれば、自然に死ぬのだが彼は追った。ファータに入った侵入者は何が何でも殺さなければならない。
それが、この先の儀式に必要だからだ。
「バカだよね君等も。この首都を奪い返す為に何度か潜入したようだけど、魔物だらけのここに足を踏み入れてさ。死を覚悟しなよ」
「っ、では他は………」
「キメラに半殺しで、ある場所に連れて行った。ほら、これ……君の仲間のだろ?」
放り投げられたのは人間の腕だ。しかし、腕は腕でも片腕のみであり手首にぶら下げられているペンダントを見て目を見開く。それは同期だからと互いに交換した物。
お守りにと身に着けていたから、すぐに分かった。
「っ、貴様ああああああああああ!!!!」
激昂した彼は、真後ろから貫かれた黒い蛇により血だまりを吐き出しながら息絶える。ラークは「あー殺しちゃったのか。まっ、1人位居なくても良いか」と言って自身の黒い手により男の死体をそのまま飲み込む。
「うげっ、やっぱり不味い………男とか女とか関係なくて不味いなぁ」
うへーと気持ち悪くなる感覚にうんざりした様子。すると頭に中に声が響く。
「君、所かまわず人間喰うの止めれば?」
「うっさいな。あの大賢者の所為で力の大半削がれて上手く闇を扱うのに時間かかるっての」
「………なら、君が夢中な女の子襲えば?」
「それやると歯止め効かなくなるんだよねー」
少しじゃなくて全部喰らいたくなる、と本音を言えば「人間で我慢しろ」と言われてしまう。大賢者との戦闘で力の大半を失う羽目になったラークとリートは首都のファータでその傷を癒していた。
サスクールに言われて様子を見に行けば、ここを統括していた魔族からはもう少しで魔法を無くせると言う嬉しい知らせを聞いた。
これで麗奈の周りに居る奴は全員殺せると、その事に気合を売れていたラークはとある方向を見る。
(あぁ………来たね、あの子)
彼女の血を味わってまだ日にちはそんなに経っていない。
血を流さなくても彼女は何処に居るかは分かる。その理由は最初に血を味わった時、ラーク自身の血を混ぜていたからだ。
魔族の血は無味無臭。知らずに飲み込まされた麗奈。途中まではウォームの介入もあり、その魔力を無効にしていた。
しかし、キールの忠告の為にパスを切った時に変化が起きた。麗奈の中にはラークの血が渦巻き、ある種の印として分かってしまう。
今まで探知できなかったのが、急に探知で来た。そして近くに居ると分かり笑いが込み上げる。
「ふふふっ、あははっははははは」
「……どうした」
「はははっ、すまない。嬉しい知らせがあるんだ、君も聞くだろ?」
笑わずにはいられない。
また、自分の所に戻って来た彼女に。逃げようとも必ず追い詰め、捕らえ恐怖に満ちたあの顔をまた眺めたいと強く思い、闇夜に消えるラークはずっと笑う。
こういう鬼ごっこも面白いな、と誰に聞かせる訳でもない言葉。
その光景を静かに見ていたサスティスとザジは舌打ちしながらも、上司のディーオに言われた事を思い出す。
”姿を見聞きできる彼女の見張り、頼むね?”、と。




