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異世界に誘われた陰陽師  作者: 垢音
第7章:神の試練
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第344話:協定関係


「――分かりました。こちらでもその調整でいきます」

「うむ。悪いな、話が色々と飛んでしまって」

「いえいえ」



 笑顔で対応をするヘルスの横で、イーナスは魔王との協定という異例さに驚きを隠せないでいた。

 ダリューセクに来ている魔王ギリムから、国を持っている魔王との協定を結ぶ事を話され同盟を組んでいたディルバーレル国、ニチリへの連絡と通信を行う手筈を整えた。


 無論、参加したという名の呼び出しに近い形だったのでドーネル王とギルスナント王は殆ど話が分からないまま。しかし、話される内容に頭が痛い事を……となりつつ備えはしないといけない。



「あとでリザークの部下達が来るかもしれん。土下座してくるだろうから、レファルに対応を任せておけばいい」

「お任せを、ギリム様」



 キリッ、とすぐに答えたのはミリーの弟であるレファル。

 ギリムの事は例外なのか、かなり協力的と感じたヘルスとイーナス。姉であるミリーに対する溺愛ぶりを聞いていただけにかなり驚いたのだ。



「しかし、ラーグルング国の結界が強かったから良いようですが……。他でそうされてしまうと、こちらの被害が大変になってしまいます」



 聞けば突撃をしてきた魔王リザークにより、ラーグルング国に張っていた結界がほぼ全壊。同時に彼が現れた場所は森の奥地。

 その森では、大きなクレーターが出来上がっておりそこから新たな泉が作り出されたとか。

 行動の規模も含め、強烈な攻撃をした魔王に対しベルスナント王は言葉を選びながらも批判を口にした。


 ベルスナント王が治める国は島国である神霊の国・ニチリ。

 世界の創造主たる者の声を代々伝え、神聖な場所として称えられている。その声を聞ける存在である神子(みこ)を残す使命を帯びている代わりに、長生きをしないという呪縛を背負う。

 神の声を代償に聞くのだからと前代達は諦めていたが、ベルスナント王は家族を愛している。

 妻を愛し、娘のアウラを愛している。だからこそ、妻の死を受け入れられずにいるのに次には娘の命を奪うのだ。


 一時、神という存在を恨めしくさえ思っていた。

 そんな時に異世界人であるハルヒが現れた。そして、まだ会って間もないのにアウラに呪いは解けるんだと言った。

 なんて事を言った、と思わずにはいられなかった。

 同時になんて希望を吐いたのだとも思わずにはいられない。


 だが、実際にハルヒはアウラの短命になる原因が柱に侵された呪いだと看破。根源になっていたのは、神子達の無念と怨念だとも説明をした。人の思いが呪いにもなるが、それを打ち破るのも同じ人の思いだと言い、アウラに破る覚悟はあるのかと彼は問うた。


 今まで生きる事に諦めていたアウラに対し、生きたいと願うなら全力を尽くす。恐らく彼女がハルヒの事を好きになったのは、その問いもあったからだろう。今まで以上に国を守ろうと動くベルスナント王の問いに、ギリムは何かを感じ取ったのかすぐに答えた。



「リザークの動きはこちらで止める。それに、奴の国は国力は合っても財力がない。原因はリザークの破壊行動だ」

「ぐっ……」

「そうだった。僕の方にも、賠償金のが残ってるんだから忘れないでよっ」

「むむぅ……」



 言い切るギリムの背後では、リザークが悔し気にしつつも反論出来ないでいる事。ディークが証人になって貰おうとばかりにここではっきりと言った。

 証人が増えた事で、満足気になるディークにリザークは「いつからそんな頭になった」と小声で聞いてきた。



「別に。そっちは成長とか見てないでしょ」

(全部、筒抜けになっているのは気付いていないのか……。この2人は)



 反論するディークに言い合いになるリザーク。

 そんな2人の様子は、会議をしているヘルス達に知られている。それに気付いていないのか、と思わずにはいられないミリーは小さく溜息を吐いたのだった。



=====



「我が王の数々の無礼、申し訳ありませんでしたっ!!」



 その後、ギリムの言うようにリザークに仕える幹部達が揃い全員が謝るようにして土下座をした。

 思わずヘルスは「平気ですよ」と言う所だったのだが、レファルがそれを阻止。



「困りますよ、本当に。こちらへの賠償が終わっていないのに、人間の国にまで迷惑を掛けるなんて」

「か、返す言葉もありません……」

「闘技場で稼いだ財も、全てリザーク様がダメにしてしまう。借金が増えるばかりですよ」

「そ、そうですね」



 レファルが場を支配し、そのまま交渉へと移っていく。ヘルスとイーナスだけでなく、大臣達にも魔王との協定関係に関する契約を確認。すぐに辺境伯に連絡を入れ、後日予定を詰める為にと報告を兼ねた話し合いが設けられる事になった。


 そして、魔王達と協定という形で同盟国が組まれ最大勢力として知れ渡る。帝国だけでなく機械国家バールデールと西大陸の覇者であるフォーレスが、それぞれ動き出した。



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