第101話:セレーネ・ウィル・ダリューセク
ダリューセクの歴史の中で異例な出来事が起きていた。
今まで男性で占められていた王に、初の女王が現れた事、その者が魔法の適性として聖騎士としての力に目覚めていた事。
それがセレーネ・ウィル・ダリューセク。
騎士学校を飛び級で卒業し、早くからその力と才能を発揮し周りを驚かせた。学校での事以外に、王と仕手の執務もこなさなければならない──ファルディールの課題が意地悪な点も含めて、セレーネは必死にこなした。
学校を卒業したのは10歳の時。
だから、ファルディールの課題が上手くいかない時、イライラした時は決まって魔物退治を行っている。周りから止められたので、と言いながら騎士団で発散し……彼女の剣を受け止め切れるのは、同じ聖騎士の面々だけになり、彼等に必然的に知らせが来る。
姫殿下が暴れている、と。
だから、この国の騎士の中で未だに呼び方が2つある。
剣術が優れ前線にも出る事もあるセレーネの事を姫殿下と呼ぶ騎士団、朝の祈りや姫としての気品ある面しか知らない神官達からは姫と呼ばれている為に統一はされていないのだ。
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「いやー、久々の姫殿下の暴れっぷり。見ていてスカッとするねぇ~」
現在のダリューセクは、魔物に暴れられその撤去作業に追われていた。薄紫色の髪に濃い紫色の瞳が興奮したように言い放つ。体をくねらせうっとした口調で言わなければ、と隣でジト目するのは副隊長のアーリナム。
団長のフラート・フィルネル。
彼はこの国の聖騎士の地位にいる存在。
聖騎士と名乗る彼等は、このダリューセクを守って来たと言う実績と歴史がある為に、睨まれれば出世の道はないと言われる程の影響力を持っている。
ある意味では貴族達の牽制にもなっているが、果たして聖騎士として選ばれたていた彼等もそこまで先を見越していたのかは分からない。
だから、彼等に対して憧れの眼差しを向ける者達の殆どである騎士団と、昔から国の為に尽くしている貴族との間にはギスギスした部分がある。なんせ彼等にとっては築いて来た地位を、聖騎士の一言で消せる可能性を秘めている為に彼等に対して良い顔をしなくてはならない。
表では印象を良くし裏では非道な事をした貴族に対して、2度とダリューセクには足を踏み入れるなと言う罰が下った位だ。それまで築いて来た地位も、名誉も無くしたその後の貴族の行方は知れない為に、周りでは聖騎士に対しての態度が明らかに違っていったと言う。
「はぁー、久々に戦いを見られて満足満足♪」
果たして目の前で体をくねらせ、騎士と呼ぶには少々難しい人物が憧れの的とされている聖騎士と呼ぶには疑問を覚える。が、本人は気した様子もなくうっとりとした表情で姫殿下のセレーネの活躍を思い出しているのか興奮した様子でもあった。
「ではさっさと瓦礫を退かしたり、負傷者の案内をして下さい」
「いやん。アーリーちゃん怖い。こーわーいー」
女のような声を上げようとも、これが逃げの手段だと知っているアーリナムは涼しい顔をして「姫殿下に報告しますよ」と言えばピタリと止まる。数秒後には自ら率先して、負傷者が居ないかと行方不明者の捜索に乗り出す。
(……これから忙しくなるな)
副団長のアーリナムは空を見上げる。
魔物の大軍を退けたとは思えない程の快晴。それが少しだけ怖いと思う日が来ようとは生まれて初めての感想だ。しかし、と頭を切り替える。
隊長のお守りもしながらだと疲れるな、と言うのと同盟について考えていた。そして、異世界から来た咲について色々と考えなければ……と切り替えた所で逃げようとする上司であり、聖騎士の1人を思い切り叩いた。
上司と言う認識を彼に持つのは危険であり、1度許せば付け上がるのを知っている為に厳しく接する。
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「ファルディール。報告を」
「はい、セレーネ様」
セレーネの執務室で上がって来る報告を聞き、一つ一つ照らし合わせていた。彼女は植物状態となりながらも、咲が毎日今日あった事、失敗した事、褒められた事も含めて全て聞いていた。意識は不思議とあったのだ。
恐らく自分を始末しようとした魔族との戦いで、身を守るのに聖属性の魔法を使った。今まで使えなかったのが、自身の命の危機と言う条件下で発動し、こうして生きている。不思議でありながらも、2度とこんな真似はしないと誓った。
咲を置いて逝く訳にはいかない。
彼女は自分が面倒を見ると決めた。あの時から変わらない想い、愛でたいと言う気持ち。
なのに──
「いつの間にかナタールに咲を奪われたわ……」
「大袈裟な」
呆れたように返すファルディール。報告した内容は全て伝え、この執務室には彼女と宰相、そして聖騎士の1人のファンネルが溜息を漏らしていた。
トントン、と扉のノックが聞こえファンネルが中へ招き入れる。
入って来たのは淡い金髪、蒼い瞳を宿した美青年が騎士服を身に包まれ毅然とした態度で入ってきた。続けて入ってきたのは茶色の髪に朱色の瞳をしたファンネルと同じ位の20代後半の男性が、同じくように騎士服2身を包んだ格好で入って来る。
「聖騎士の1人、イクネル・フランダル」
「ケルダン・ウィグリスです」
「聞いて下さい!!! 私の咲がナタールに取られたんです!!!」
入って来るなりいきなりの姫殿下の言葉。思わず「は?」と言わずに黙る事に成功し、やれやれと言わんばかりの表情になるファルディール。フィンネルが小声で「ナタールと咲との仲」と小声で言い、2人は(あぁ……)と納得した表情をした。
「何故です!!! 私が襲われたからですか……。うぅ、ナタールめ。咲を1人占めにするなんて!!!」
わーん、と机をガンガン叩き頬を脹らませるセレーネ。イクネルはクスリと笑い、ケルダンが「ラーグルング国の報告しますよ」と関係ないとばかりに話を進める。
「私の心の傷を癒やしてはくれないのですか!?」
「あとで打ち込みしますから、今は我慢を」
「それは物理的に発散しろと言う事よね? 違うの、私は、私は癒しを求めているの!!!」
「では、咲と同じ世界から来た彼女に来て貰えばどうです?」
聞けば麗奈と名乗った彼女の傍には、ピタリとくっついて離れない小動物が2匹とドワーフが1人居ると言う。今も、負傷者の手当てをしながら城内の中を走り回っており、同じ魔法師の者も同行していると。
「……モフモフ堪能したいのですぐに連れて来て下さい」
傷付けられた心には癒しを。
決して咲と同じ所から来たと言われる子を見たいとか、出来る事なら引き取りたいとかそんな不純な気持ちは一切ない。……ないはず、と思うもその心情を察している面々達は一気に不安に陥る。
(悪い印象……に、ならなければ良いんだが……)
その命令から15分後に麗奈とレーグ。流れでユリウスが執務室へと連れて来られた。広さは20畳であり大きなソファー、資料を収める本棚、客人をもてなせるだけの広さがあり思わず視線を泳がせる麗奈。
彼女の両肩には子猫になっている白虎と子犬になっている風魔が尻尾をフリフリしながら物珍しそうにキョロキョロと見ている。「クポー」とペチペチと麗奈の頬を叩くアルベルトにはっとさせられ、思わず白虎と風魔を前に抱き動けなくさせる。
(暴れないように、だよね……ありがとう、アルベルトさん)
チラっとアルベルトを見れば、ぐっと親指を立て「フポポ」と嬉しそうに頷いている。それに笑顔で答える麗奈とで微笑ましい雰囲気になるのを、ユリウスの「それで用件とは」と気まずそうに言いまたもはっとなる。
「いえ、今のでも十分ですけど……」
見ればセレーネがニコニコと麗奈とアルベルトの事を交互に見て、今度は白虎と風魔の事を見ている。ずっと笑顔の彼女に思わずユリウスとレーグは互いに顔を見合わせ、周りに居るファルディール達へと視線を向ける。
無表情を貫く者、目を閉じる者、セレーネと同じように微笑の者、頭を抱える者、疲れた様な者と様々な反応を示す彼等に思わず困惑の表情を浮かべる。
その後、嬉しそうに風魔を抱いているセレーネは「モフモフ、モフモフ」と毛並みを堪能しており思わず良いのかとユリウスに視線を合わせるも――
「……良いんじゃないのかな」
と、彼も自信なさそうに答えた。風魔を撫でている間にレーグが宰相のファルディールと何やら話し込んでいるのが見えるもどうにも出来ない麗奈は思わず白虎をぎゅっと抱きしめる。
(……あ、金髪に蒼い瞳……ハルちゃんが大人になったらあんな感じになるのかな)
向かい合わせに立っている騎士の特徴がハルヒと似ている事。自分達よりも年上なのだろうと思い、ずっと見ていたらその視線に気付いた彼はニコリと微笑みかけてきた。
「っ……」
≪わうっ≫
ビクリと体を震わした白虎は≪うぅ~≫と向かいの騎士を睨み付ける。麗奈は麗奈でずっと見ていた事に恥ずかしさと申し訳なさを感じて、赤くなる顔を見られたくなくて白虎を盾にする。
その反応にユリウスは思わずむっとなりたくなるのを抑え、チラッとその騎士を見る。その視線に気付いたのかユリウスにも同様の笑顔を向ければ、うぐっと気まずくなり思わずスッと視線を外す。
(嫌われました……かな)
口元に手を当て優雅に笑みを浮かべるイクネル。隣に立っていたファンネルは注意の意味も込めて小突けば、マズいと思ったのか崩した態度からキリッと正す。
≪お仕事お疲れ様。えっと……セレーネ様、で良いんだよね?≫
「別にどんな呼び方でも構いません♪ はわぁ~可愛いです」
ポンポンと手をセレーネの手に置きナデナデしていれば、さらにとろけた表情になり顔をスリスリとしている。ほっとなる麗奈に、アルベルトが負けじと麗奈の頬をスリスリとし始めた。
≪むっ、君は張り合わないでよ≫
「クポポポ」
≪ズルい、僕もする。僕もー≫
体をねじらせアルベルトに向けて叩こうとする白虎を慌てて麗奈が止める。避ける為に即座に頭へと移動すれば、白虎が飛び掛かって視界が一気に暗くなる。前が一瞬だけ見えなくなり、白虎を抱えようと立ったのがいけなかった。バランスを崩した所をユリウスに助けられ、ボフッとソファーに倒れる。
「………」
うぅ、と気まずくて顔を上げたくない麗奈と支えたは良いけど同じく顔を上げるのに戸惑いを覚えるユリウス。そんな2人の反応を見てセレーネが「可愛いです!!!」と言って飛び付かれてしまう。
流石にギョッとなった騎士達だが、当のセレーネが睨みを効かせて「来るな」と命令を下すのを見て思わずピタリと動きを止めてしまう。
「何をしているんです、セレーネ」
「ファルディール。この2人可愛いです。欲しいです、面倒見ます!!!」
「ダメです。彼は他国の陛下ですよ?」
「それでも面倒を見ます!!!」
「お、俺は拒否しますよ」
「何故です!?」
むっと頬を膨らませるセレーネにユリウスは冷や汗をかく。すると、間に挿まれて苦しそう風魔と白虎が≪ぐ、ぐるじぃ……≫と訴え来たので即座に離れる。麗奈は白虎を抱き抱えて「ごめんね」と繰り返し、風魔を抱くセレーネも同様に謝罪する。
「あ、あの、セレーネ姫」
「聞けば同い年なんですからそう言うのは要らないです。公式ではないのですから」
「……えっと」
良いのか、と向かい側に立ったままの騎士達を見れば言葉を発さずに皆同時に頷き「素の彼女を知っているのは我々聖騎士と、宰相しか居ませんから」とイクネルから説明がなされる。確認の為にと宰相と呼ばれていたファルディールにも視線を向ければ「彼女は本来がこれですから」と言えばすぐに「これって酷い言い方!!!」と抗議する。
「癒しを提供してくれた貴方方には感謝しかないです。目覚めないと思っていたので諦めていたのですが、本当に助かりました」
「あ、う、その……」
麗奈を手をぎゅっと握りしめキラキラ笑顔を向けて来るセレーネ。風魔は既に彼女の頭の上でリラックスしているので本当に良いのだろうかと、少しだけ引き攣った笑顔で返す。
「あの、それについて謝りたい事が……」
「え、謝る?」
「そ、そのぉ……」
「クポポ」
アルベルトを手の平に乗せれば彼はペコリと礼をする。その後麗奈はどうやってこの城に入ったのか、何故セレーネが居た所に出て来たのかの説明をした。この国に何度か立ち寄り武器に使う金属などをアルベルトが独自に見て回る中で、国の象徴とも呼べる城に興味があり無断でトンネルを何か所か作っていた事。
今回、地下へと通じるトンネルもアルベルトの自作のものであり魔法で加工しているので見た目では分からないし、同じ地属性の魔法でないと探れないようにされていた事からこれからそれらを完全に封じようとしている事を話した。
「……でも、彼のお陰で貴方は私を助ける事が出来たのですから不問です。何も聞かなかった事にします。今後も、ドワーフの彼はいつでもここに来ても平気ですからね」
「えっ!?」
「フポポ~」
目を輝かせるアルベルトとは対照的に麗奈は顔面蒼白。お礼の為だろうか「クポポッ♪ クポポッ♪」と踊り出して嬉しさを表現している。ラウルとレーグが来た方法も転送魔法を使っての登場の仕方だったと説明すれば、セレーネは「あの場で来てくれなければ国民の何人かが亡くなっていた可能性があるのです。むしろお礼を言いたいのはこちらです」と微笑みかけられてしまった。
「すみません。ご迷惑をお掛けして」
ユリウスと麗奈が頭を下げる中、セレーネはクスリと笑い「それに、私の願いも叶いましたし」と2人を見て言う。理由が分からない反応を示す中、聖騎士の面々とファルディールは「まさか……」と同時に声をあげる。
「フェンリル様が外を防衛してくれていたお陰で被害を受けたのは内部の部分だけです。それに……フェンリル様が目を覚ましたのも貴方方のお陰とも聞いていますよ。虹の契約者様」
ピクリと反応をしたのはレーグ。彼はチラッと聖騎士と宰相の表情を盗み見る。皆、驚いたように麗奈とユリウスを見ておりアルベルトは「ポ?」と首を傾げながらも踊りを中断し2人を交互に見ている。
「私を襲ったのは空間を扱う魔族です。咄嗟の対応で防ぎましたが、身を守る為とは言え自分の体を覆うようにして守った魔法が結果的には植物状態へと追い込まれたのですから未熟としか言いようがありません」
咄嗟で、無意識の中で発動させてしまった守りの魔法。聖属性の研究が進んでいない中、また未知の属性でもある為にどんな効果があるのかが分からない。自分の体で試すしかなかったとは言え、セレーネの行った行動は殆ど賭けに近かった。
魔族の攻撃を完全に防げても、意識がないのでは生還したとは言い難く結果的に来たばかりの咲に負担を負わせ、周りの者達にも苦労を掛けた。4年程、咲はセレーネの癖や振る舞いを学びはしたが、初めて来た異世界にワクワクした気持ちや色んなものを見て回りたいと言う欲求があるものだ。
麗奈とゆきがそうであったように。初めて世界で不安はあっても、それよりも勝る興味が、疑問があって当然なのだ。
「虹の魔法のお陰で私は長い眠りから目を覚ましました。体力の低下もなく、いつもよりも体が軽い感じで剣を振るえたのも貴方のお陰です。一体、どのような事をしたのですか?」
「そ、そんな大層な事は……全然なくて、その……き、綺麗な人だから、目を覚まして欲しいな……と、そう思って……話も出来れば良いなって……そんなワガママな理由です」
面と向かって言うのが恥ずかしいのだろうか、ユリウスと白虎を盾に顔を真っ赤にして話す麗奈。顔が沸騰して湯気が出ているのでは思う位に、顔に熱が集まりながらもチラチラとセレーネの様子を窺う。
驚いた様子のセレーネは目を見開くも、段々とその表情を微笑へと変えうっとりしたように麗奈の事を見ている。
「か、可愛いぃ~……何なんですか、その小動物の様な反応は!?」
「ふぇっ!?」
≪うんうん、可愛いもん≫
≪同意する~≫
ユリウスの事を押し退けてセレーネは麗奈の手を再びぎゅっと握ったかと思えば抱き着いて離れようとしない。風魔と白虎がユリウスの方へと移動しており、互いに感想を述べれば「助けて!!!」と涙目になる麗奈に首を横に振る。
「あ、あのっ、セレーネ様」
「セレーネで構いません。咲にも強制しますから」
「うっ、それは……いけません」
これではドーネルと同じになると思った麗奈は首を横に振って拒否を示す。彼も強引な方法で麗奈に呼び方を強制した事があり、セレーネからもその感じが受け取れると思ったからと先に断った。が――。
「女の子同士仲良くしましょうよ♪……ダメです?」
「っ!!!」
身長はセレーネの方が高いが麗奈の事を見るのにワザと上目遣いをしてくる。目を潤ませ寂しそうなその表情に思わず罪悪感が込み上げる。目を閉じてその視線から逃れようとするもずっと「ダメですか? ダメなのですか?」と声色を寂しそうに言われ、余計に逃れられなくなる状況となっている。
(レーグさん、ユリィ……!!!)
助けを求める様にして2人を見るもレーグは「無理です」と表現するように、何も見ていないフリをしユリウスも首を横に振った。
――手に負えない。ごめん
と、そう言っているように思えガクリとなる。思わずイクネルの方へと視線を向ければ彼は微笑み「では、これから咲の様子を見に行かれてはどうです?」と逃げ道を用意してくれた。
それにぱあっと分かりやすく喜ぶ麗奈。しかし、次の言葉でそれが一変する。
「姫殿下もご一緒にどうです? 道案内も含め、同じ同郷と思われる咲と彼女との話も聞けるかも知れませんよ」
護衛として私も行きます、とちゃっかり自分も加わる前提で話を進めていく。このままでは逃れられないと思い、断ろうとするもセレーネの行動は早く「ではイクネルお願いします!!!」と嬉しそうに走って出て行く。
「え、ちょっ」
「では失礼しますね」
「え、え?……えぇ!?」
当然の如く麗奈をお姫抱っこされセレーネの後を追う為に、視線を泳がせる麗奈の反応が面白いのかクスクスと笑う。そのまま「じゃ、失礼しますね」とファンネル達に言い出て行く。
残された面々は同時に思い溜め息を吐き「まぁ、あれが我が国の姫殿下です」と苦し気に言うファルディールにレーグはニコニコとしていた。
「……では情報交換といきましょうか、ユリウス陛下」
「えぇ、交換は大事ですからね」
言いながら鋭く突き刺さるような迫力にファルディールもふっと顔を緩める。年齢は同じとは言えセレーネもユリウスも王としての態度は崩さず、人を従わせる雰囲気は同じものだと思わせる。
今頃、麗奈は困り果て逃げ出したい衝動に駆られるもそれを見逃す程、相手は甘くない。可愛いもの好きのセレーネはこれから起こるガールズトークにワクワクとした気持ちで咲きに会いに行くのだった。




