第90話:贈り物
周囲は時が止まったように静かだ。
3人掛けの水色のソファーと作業机用の正方形のテーブル、椅子、スタンド式の照明があり、研究や何かに没頭したい時には最適な空間だ。
その空間の中に麗奈は居た。
ウォームはチラチラと心配そうに、しかし邪魔はしないようにと音を立てずに空中を右往左往。魔石作りに、今度は作った魔石を付与する作業から既に1日が経っている。
《(お嬢さん集中すると凄いな……)》
「出来た!!!」
付与の作業が終わり一段落したからか、肩や首を回し体を伸ばしたりしている。机に広がっているのは、誠一と出かけた時に買ったアクセサリーの類。
ペンダント、ネックレス、腕輪など身に付ける物は小さくまとめられており魔石を付与した証に魔力の色が纏っていた。
「んー。疲れたぁ」
一通り伸ばし終わった後で椅子に座り机に突っ伏す。すぐにはっとなり、今度はそのアクセサリー類に、1つ1つ丁寧に包装していく。
「………っと、これで完成。あとは袋に詰めて、名前書いて」
まだ終わらないなと思ったウォームは、それらの作業が終わるまで口を出さずに見守っていた。
《(しかし、陛下達に渡すにしては数が多い気が………)》
思った疑問。魔石を付与するやり方をスティから聞き、ギルティスに魔石作りを頼まれた時に彼女が自分から聞いてきた。魔石を付与させた物は魔道具にあたるのか?と。
魔法の力を込めた物の全般を指す為に、ウォームはそうだなと答えれば魔石の付与は難しいか?と別の質問をしてきた。付与をある程度学べば出来ると答え、キールにお願いをして作業に没頭。
《フォフォフォ。お疲れ様だね、ゆっくり休んだからどうだい?》
「ふぁ……ちょっと、眠くなったので……そうします」
眠そうに顔をこするもソファーまで行く前にフラッとそのまま寝てしまう。地面にぶつかる前に支えたのは白いユニコーンのインファルだ。その横に黒いユニコーンのエミナスが立ち《答えながら寝るって》と呆れていた。
《さて、大賢者を呼んで来るか。言えば軽食は普通に持って来るしのぉ》
======
ーキール視点ー
インファルとエミナスから連絡が入った。
主ちゃんが行った作業が終わりソファーで寝ていると。魔石の作り方を最初に教えたのは私だし、魔力のコントールと力を維持するのに最適なやり方だからと思った。
そこから作った魔石に主ちゃんが込めた願いで、とんでもない力が発覚した。ドーネルに渡した時、アイツは自分の家族を奪った父親を殺す事しか頭になく、それに主ちゃんを巻き込もうとしたのだ。……今も許す気はないから、時々嫌がらせしてるけど。
(生き残るように願いを込めた結果が、魔族に受けた傷を癒やし、操られていたグルム団長を正気に戻させた。傍に倒れていたギルティスも、その力の範囲で傷が癒えた……か)
ここにレーグが居たら意見を色々と交換しているだろうと思うが、彼は自分の代わりにラーグルング国に留まり魔道隊の指揮をしている。………いっその事、そのまま師団長の地位を上げても良いかと考える。
まぁ、拒否をされるのは分かり切っているが物は試しだから言ってみよう。そしたら主ちゃんと一緒に行動を共に出来るし、楽しく過ごす時間を増やせるし……うん、増やす増やす。
「主ちゃんにも空間魔法教えておいた方が良いか………虹の魔法でどれだけの効果が得られるか調べてみたいし」
空間を切り離したり独立させる魔法は上級クラスの魔法とされ、分類がはっきり出来ない無属性とされている。使い手があまり居ないし、それ等に関する研究が進んでいないのも原因の1つだ。
上級魔法は大きすぎる魔力の塊と抑え込もうと奮闘し、反発して自分が吹っ飛ぶかそのまま亡くなるなんてのはよくある。だから、その手の魔法は必ず2人以上で行い、1人が魔力維持。もう1人が扱う属性の魔法のイメージを固めて行う。
だから上級魔法は団体で行う。人数が多ければ1人で背負う負担を周りが分担し、暴走の危険性を軽くする事が出来るからだ。
(さて、ゆきちゃんに教えて貰ったお粥とやらでも作るか)
鼻歌交じりで教えて貰った料理を作る。もし、主ちゃんが寝ていたとしても温める位の事は造作もない。ついでに寝顔見られるから一石二鳥だよね!!!
======
≪来たわね変態≫
「いきなりだね、エミナス」
キールの作った異空間に契約した精霊が待機していた。黒いユニコーンのエミナスは姿を変えていた。黒のローブと黒い髪、金の瞳、額に金色の角を生やした人外の美しさを際立てせた女性が睨み付けていたからだ。
≪手に持っているのは彼女に食べさせる為か?≫
白いローブ、銀髪と金の瞳に女生徒同様に額に金色の角を生やした同じく人外染みた男性が問いかけてきた。女性と違いに笑顔なのは契約者の影響の為。
「そうだよ、インファル。主ちゃんはどうしてるの?」
≪ほら。あのソファーで横になっている。起こすのが忍びない位にな≫
指を指す方向は3人掛けの水色のソファー。そこに白いローブを布団代わりにして小さな寝息を立てている麗奈。お粥を作った容器、飲み物に用意したお茶をインファルに預けてキールはすぐに様子を見に行く。
「あれ、ウォームは居ないの?」
≪ここじゃ、ここ≫
「そんなとこに居たの」
ローグの中からもぞもぞと動く何か。ひょこりと顔を覗かせたのは髭が長くおじいちゃんのウォーム。寝ている麗奈の頬を撫ででキールの所へ飛んでいくといい香りがするのか、クンクンと嗅ぐ。
≪なんじゃ、料理を作ったのか≫
「悪いの?だって1日、ずっとここに籠ってたんだよ。心配するに決まっているでしょ」
≪じゃ、あとは頼むぞ。ほれ、お前さん達行くぞ≫
≪了解です≫
≪分かりました………≫
そう言えば人の姿に変えていたエミナスとインファルが元のユニコーンの姿へと変え、そのまま姿を消えウォームもそれに合わせて姿を消した。エミナスが不機嫌な声色だったのであとで理由を聞こうとしたキールは、改めて麗奈の様子を見に行った。
「気持ち良さそうに寝てるね」
スヤスヤと寝息を立てている麗奈は本当に幸せそうに寝ていた。頬を何度か突くも、それで反応は返ってこないので眠りが深いのが分かる。
(そう言えば、何を熱心に作ってたんだろう)
魔石を作りそれを付与するやり方を教わり、何かを熱心に作っているのは聞いていた。深くは聞かず、いずれは麗奈の方から言うのを待った。
(……あれ)
キールがたまに休憩したり、仕事から逃げたりする為の避難場所として作った異空間。その作業机では魔法の研究をまとめたノートがある。それを麗奈が使うからと別に移動させて机には何も置いていない。
しかし、その作業机の上には大きめの手さげ袋が置いてあった。悪いとは思いつつも、つい覗きに行ってしまう。
「虹色の………魔力?」
反応を示したキールの目。魔法に関連するものであれば勝手にその魔力の色が見える魔女の目。
その魔女から生まれたキールは幼い頃から色で周りを見れる環境にあり、コントロールするのに苦労したなと苦い思い出をすぐに振り払う。
「………こんなにある。誰かに贈る物だよね」
中身をチラッと見ればいくつか小さい袋に入れられ、名前入りのタグが見える。と、そこまで見ていた時に「んぅ………」と起き上がる麗奈。その後「キール……さん?」と瞼をこすりながら寄ってくる。
「おはよう主ちゃん」
「おはよう、ございましゅ」
(うん、寝ぼけてるね。可愛い可愛い♪)
頭を撫でたい衝動を抑え込み、表情をいつもの笑みに変えたキール。その後、お粥を作って来たと言えば途端に「お腹減ったんです~」と小走りに駆け寄って来た。
美味しく食べ完食した麗奈は満面の笑みで満足そうにしていた。キールはそれをニコニコと見て、何回か悶えそうになり小動物のように撫でまわしたいと言う欲求を抑え込み1時間程ゆっくりとした。
「ごちそうさまでした、キールさん。あ、ちょっと待ってて下さい!!!」
黒いズボン、水色のジャケットを着たディルバーレル国の魔道隊の服装に身を包んだ麗奈は、布団代わりにしていたローブを上から羽織る。作業机に置かれた手さげ袋の中を探り、持ってきたのは小さい包装に包まれた物。
「キールさんにプレゼントです!!!」
「えっ………」
水色の袋を開ければジャラリと鎖の音が響く。キールと同じ色の瞳の魔石を包むようにして、鳥が子供を守るような恰好で飾られたペンダント。
「これ、は…………」
「キールさんには何度も助けられたし、ドーネル義兄様……のように、助けられたみたいですし。何か役に立ちたくて」
義兄様呼びが物凄く抵抗があるのか、声が小さく発していたがそれ以外ははっきりと聞こえた。顔が紅潮しており視線を外している。そのペンダントを身に付け「どう?似合うかな、主ちゃん」と聞いてくる。
「……似合って、ます。キールさんカッコいいから、アクセサリーの方が霞んでしまうかと思って」
「それはないから安心して」
「へっ」
固まったのは麗奈の方。目をパチパチと繰り返して、キョトンと言われた事を頭の中で繰り返す。キールは固まっている麗奈に構わずに続けて言葉を乗せていく。
「主ちゃんから貰った物に、君の想いが込められたプレゼントの方が輝いてるよ。私なんかよりも……ね」
「っ、あ、あの…………えっと、あのっ」
いつの間にか頬を撫でながら迫っており、逃げ場が無くなったようにソファーに押し倒される。状況が読み取れないのか、今のキールの言葉に慌てているのか顔の紅潮はもっと分かりやすい。
「っ、うぅ、ウォームさん!!!!」
≪ほいほい≫
シュン、と姿を消した麗奈。作業机に置いてあった手さげの袋も無くなっており、契約したウォームがまとめて空間から脱出したのだと分かる。キールは「逃げられたか……」と悔しがるような声色を出し、そのままソファーに座る。
「当分、避けられるかな」
寂しそうな声を上げるも、麗奈から貰ったプレゼントにテンションが上がったキールは頭を切り替える。試してみようと思った魔法が幾つかある。今、この空間に居るのは自分だけだしと思った彼はすぐに行動を起こした。
=======
顔が赤いままだが、気を取り直して麗奈は出来上がった物を皆に贈って走り回っていた。親友のゆきは勿論の事、騎士団長のヤクル、ベール、セクト。副団長のラウル、近衛騎士団長のフーリエの分、お世話になったディルバーレル国のスティ、宰相のギルティス、騎士団長のグルム、そして王となったドーネル。
渡した人物達の中でベールの反応が凄かったのを覚えてる。渡した途端に失神してしまったのだ。慌てた麗奈だったが、傍に居たセクトから「気にすんな」と麗奈を追い出したのだ。
(ベールさん………い、一体どうしたんだろう)
贈り物に耐性が無い訳ではないのに、何で失神したのかと疑問に思いながらドーネルの反応も思い出す。彼は貰って沈黙し、その後フルフルと体を振るわせ麗奈に抱き着こうとしてギルティスに足蹴にされた。
そして、グルム団長から「ほら、まだ中身入ってるだろ?行った行った」とこちらも強引に追い出された。中から凄まじい音が聞こえるも、入ることは叶わなかった。
(スティさんは嬉しそうにしてくれたし、ワクナリさんも感動して声も上げなかったし、ルーベンさんも固まったまま動かなくなったし。………皆どうしたんだろ)
ハルヒに腕輪を渡した。その彼に今まであげた人達の反応を話していたら、彼は予想していたのか「あぁ、そんな事あったの」と当然のように言っていた。
「れいちゃんから貰った、って言うのが衝撃的に強かったんだろうねー。……何人程、似たような反応されたの?」
「えっと…………3人程?」
「そう言えば彼に渡したの?」
「ユリィにはまだだよ」
「そう。さっき噴水近くで見たよ。何か悩んでる様子だったし」
「えっ!?」
「れいちゃんが1日居なかったからじゃない?」
「うっ。それは………」
弔いを終えてから夜会、ドーネルと出掛けたりと何かと1人で集中する時間が無かった。この付与の作業に慣れるまでに時間も掛かる上、内緒で行いたかったとなると夜中に行うしかない。しかし、その夜中にも麗奈は無理矢理眠らされていたのだ……契約したウォームから強制的に。
これでは時間がいくらあっても足りないと思い、キールに相談してあの異空間へと1日中籠った。完成したからすぐに届けるように駆けまわっていたら、ユリウスの状況に心配になった。
「ありがとう、ハルちゃん。今からユリィに会いに行って来る!!!」
「はいはい」
じゃーね、と元気に掛けていく麗奈を見たハルヒ。姿が見えなくなるまで手を振り続け、麗奈から貰った腕輪を再度見る。銀色で飾りが無いシンプルな腕輪であり、その中心に埋め込まれた虹色の石。
「………これ、魔力が込められてるんだよね」
『そうそう。霊力とは違った力の流れが、その腕輪から感じるからね』
「ねぇ、破軍。聞いていい」
『何を?』
「………僕にも、扱えるかな………魔法を」
=======
「ユリィ!!!」
「おわっ!!!!」
ハルヒの言う城内にある噴水まで走れば、目的の人物であるユリウスの後ろ姿。驚かすつもりはないが、彼の姿を見て一気に嬉しくなった麗奈はそのまま後ろから抱き着いた。
当然、気配を察知するまでに抱き付かれたのでユリウスは驚いたように声を上げそして……そのままバランスを崩して倒れてしまう。
「ってて」
「ご、ごめん…………嬉しくて、つい」
「ついって………」
ごめん~~と謝りながらも頭をグリグリと押し付けてくるのは反省してないんだよな、と思った。ユリウスは痛いのを我慢し、麗奈の手を掴んでそのまま反転させれば途端に顔を赤くした麗奈の表情が見える。
「でだ。………この1日何処で何してたんだ?」
両手を頭の上で抑えつけ、耳元で質問すれば「あ、あぅ……」と黙りこくり怒っているのが分かるからか目を閉じる行動を起こした。それにむっとなったユリウスは、どうしてやろうかと心の中で考える。
「あ、あの、皆に贈り物しうと思って!!!!内緒で作ってたのごめんなさい!!!!!」
敏感にそれらを察知したからか、麗奈はすぐに白状してきた。ちょっとした悪戯をしようかと考えていたが不発に終わり、少しだけ不機嫌になる。手を離せば、すぐに手さげの袋を探りユリウスに渡してきたのは赤い包装に包まれた物。
(リング……?)
鎖に繋がれた紅い色のリング。しかし、その中心に宝石の様な輝きを見せる石があり「魔石、だよ……」と遠慮がちに麗奈が声を掛けて来る。麗奈を見れば彼女の手にはユリウスに渡したリングと同じ色の物に、同じ鎖をぶら下げておりそれを首に掛けている最中だった。
「………ユ、ユリィのは特別。ペアリングで、恋人同士が持っていると縁起が良いですよって勧められたの」
「ペアリング………俺と、麗奈だけ?」
「も、もちろん!!!!」
ブンブンと頭を縦に振り、必死で肯定をしてくるのが何だか笑えてしまう。すると笑われたのがショックだったのか「な、何、笑ってるの!?」と怒られてしまった。
「悪い……ありがとうな」
チュッ、と音を立てて額にキスを落とした。何度、顔を赤くしたか分からない位に赤くしまたパクパクと言葉に出来ていない様子。その反応だけでユリウスは笑顔になり「その反応、安心する」と言えば、爆発したように麗奈が真っ赤になりすぐに離れる。
「っ、きょ、今日のユリィもキールさんもおかしいよ!!!!!!」
そう言って全速力で逃げ出す麗奈に圧倒され、ユリウスは追いかけると言う選択肢がすぐには出てこなかった。それ位、麗奈の行動は迅速で驚かされたからだ。
「………何で、そこでキールの名前が出て来るんだ」
と、すぐに不機嫌になりユリウス。戻って来たキールがユリウスに追いかけまわされるなど、この時の麗奈は何も知らないままサティ達の所へと逃げ込んだ。
=======
「………黒猫ね」
「どうしたの、ザジ」
「別に………何でもねぇよ」
その日の晩、ザジとサスティスはディルバーレル国に来ていた。空の上で立ち止まり、ふと漏らした一言にサスティスから質問される。ザジの腕には黒猫を模したペンダント。ガラスを模したかのような透かしがあり、黒猫自体も小さく邪魔にはならない配慮がされている。
「ニコニコだね」
「何処がだよ」
「表情じゃなくて、心の中が」
「…………」
押し黙ったのが肯定であると気付いたサスティスは、彼の代わりに笑顔でいる。チッと舌打ちしたザジはそっぽを向きながらも、目標を目で捉えていた。
「行くぞ」
「はいはい」
ふっ、と姿を消して再び現した場所は寝室。
横になっているのはユリウスであり、サスティスの瞳が変化する。淡い蒼い色に光り出したのは片目だけ、もう片方は朱色の瞳と変化はない。
「………間違いない、彼の中にまだサスクールの魔力が残存している。このまま行けば、彼女を襲うような事は幾度となく発生するだろうね」
魔族と対峙するような事が起きれば、ね。と条件を提示したサスティスは元の紫色の瞳に戻り、ふぅと息を整える。
「便利だな、その目」
「って言っても魔王限定だよ。誰が魔王なのかを見極めるには便利なだけ、これにも魔力使うから長い時間は使えられない。疲れるし」
「まっ、別に良いか………」
手に握るは赤黒い大鎌。それをザジは振り上げ狙う場所を定める。それは心臓の近くであり、魔力を貯めておくための仮の心臓がある。ザジが狙うのはそれでありすぐに行動を起こす。
≪どういうつもりだ、死神≫
「サスティス」
「はいはい。人使い荒いよまったく」
ガギン、と初撃を見えない壁で阻まれる。仮契約を交わしていたブルームの羽が盾となりユリウスを守ったのだ。それらに構う事無くサスティスに動きを封じるように睨み付けて貰えば、途端に身動きを取れなくなった。
≪ぐっ、お前っ!!!≫
「大精霊だろうが関係ない。俺達は神の名を貰った執行者だ。神には勝てないだろうが」
2重に行動を封じる為にブルームに向けて鎖を纏わせる。騒がれるとマズいからと口を黙らせるようにして封じ、ザジは再び鎌を振り上げる。
「テメーの為じゃねぇ。俺はアイツを、今度こそ助ける。その為にお前を利用するだけだ」
ユリウスの心臓を狙い、鎌を振り下ろす。
その行動に驚愕の表情を浮かべるブルームに、サスティスは邪魔をさせないように力を込める。
心臓に到達したその途端。部屋が黒へと染め上げられ、血がほとばしった様な光景が広がった。




