キャラクターメイキング.1
閑話。
たぶんこれからもこのペースです。
多分誰も見ていませんが。
「いやー、流石だよねぇ。ここまで凄いキャラクターを創って見せるとは。」
絶対の0を表す様な白い空間。その中で、空間と同じ美しい白い髪を持つ女が笑う。
「えー、私はストーリーを書いただけさ。そこまで褒められるものではないねぇ。」
その女は椅子のような物に座りながら、誰かと話しているように喋り、そして空間に腕を振る。
その動作は滑らか、且つ艶めかしく、少女には無い美しさを感じさせる。
「んー、じゃあ、そろそろ始めちゃっていいよね?」
腕を振った瞬間、その場所から何かを示した画面の様なものが現れる。
そこに映し出されていたのは黒髪黒目の少年。
顔立ちは整っているものの、極々平凡という印象を抱かせる様な雰囲気だった。
「時系列が違うってそんなー。別にいいだろう?こっちの方が面白いじゃないか。」
女は冗談めかして顔をむくれさせる。
女の瞳は海の様な深い蒼。
その瞳にはいつも笑いが浮かんでいる。
「むー、いいや。そこは一応修正するとして、始めよう。」
一瞬拗ねた様な顔をして、直ぐに『いつも』の様な笑みに戻す。
「さあ、語ろうじゃあないか。巡る7つの物語、幻想を超える少年少女の恋物語。暇つぶしとしては丁度いいだろう?」
まるで物語を読み上げるかの様に語り、まるで童話を作るかの様に残酷に。
ヒトの物語を『暇つぶし』と言い切る様なモノは『彼女ら』以外に居ないだろう。
なにせ『彼女ら』の物語には、皆を救おうとする正義の味方の様なまっとうで皆に好かれる主人公も、みんな幸せで大団円のハッピーエンドも存在しないのだから。
「え、どうせ8つとか9つになるだろって?やだなあ、そこは気にしないの。」
「マーリン『お姉さん』とのお約束だぞ☆」
女ーーーマーリンは軽くピースをしてニッコリと笑う。
可愛らしい動作の筈なのに何処か色気が有るのはやはり夢魔と言うべきか。
でも微妙にうざい。
「さあ、魔法使いの盛大な暇潰しを始めよう。どんな結末に至ろうと、私は関係ないからね。」
「あぁ、でも、『彼』だったら『こっち』に来そうだねぇ。」
そう言いつつ、また腕を振る。
その動作だけで映る人間が変わる。
今度は金髪に碧眼。先程の少年を超える程整った容姿の眼鏡の青年だ。
見るだけで吸い込まれてしまいそうな眼に、赤い縁の眼鏡は映えている。
「ま、いっか。創ったのは私じゃないし、いざとなったら彼、いや彼女か?まあいいや。に止めてもらえばいいし。」
「あ!でも、『彼女』もこっちに来れるね。まあ、仕方ないよね。『彼女』は『キャラクター』じゃなくて『人間』だから。」
「『魔法使い』の私でさえ思考が予測できないし。」
彼女を連れて来たのはマーリンなのだが。
まさか世話諸々を投げる気では無いか?
「じゃあ、準備しようかキャスパリーグ。」
仕方ない。解りました我が主。
「この時を逃したら惜しいよ?」
俺はこの契約が尽きぬ限り貴女に仕えましょう。
マーリンは一応ボクっ娘・・・なのか?
マーリンって魔術師じゃなかったっけ?という事については今は言えない、という事で。