夏のイタズラ
私にしてはめっさ短い小説です。
高校の創作サークルの冊子にて出した作品なので、内容は割とぶっ飛んでるかもです。
どうぞよろしくお願いします。
真夏の太陽が水平線に沈みながら、薄いオレンジの光を私たちに向ける。波が砂浜に打ち付けられ、心地よい音を立てている。鮮やかな光に包まれた二人の影はどこかの映画のワンシーンみたい。私の隣に座った大輔先輩はボーっと海を眺めている。
先輩と一緒にいられるなんて夢みたい・・・。私と先輩が所属しているテニス部のみんなでキャンプに行った帰り、家の方向が同じの私たちは二人並んで歩いていた。憧れの先輩と一緒に帰ってるってだけで私は高鳴る鼓動を止めるのに必死だったのに、先輩が海に寄りたいなんていうもんだから・・・、贅沢すぎるよ。
私は海を見ているふりして先輩の横顔を見つめた。きれいな鼻筋、くっきりとした二重、ちょっとはねてる髪。あれはきっと男友達とふざけてた時についたんだろうな。うちの先輩たちってほんと仲いいよね。私はその光景を思い出し、クスッと笑った。
大輔先輩はそのままでもすごくかっこいいけど、テニスしてるときはもっと素敵。一生懸命遅くまで練習してる姿とか、試合に勝って仲間と喜び合ってるときのあの笑顔とか、いつも思い出すだけで胸の奥がぎゅうっとなる。
そんなことを考えて嬉しくなっていると、私に視線を向けた先輩と目が合う。
「えっ、あ、すいませんっ」
私はあわてて顔を背ける。先輩が不思議そうに首を傾げる。
「いや、あの、先輩のTシャツかわいいなと思って」
「え?あぁ、ありがとう。部活の奴らがくれたんだ」
先輩はにかっと笑って言った。苦しい言い訳を受け入れてくれて良かった。
「池上、なんか顔赤くない?」
先輩が横から私の顔をのぞき込んだ。私は余計に顔が火照るのを感じた。
「赤くないですよっ!ほら、バーベキューの時に日焼けしたのかも」
「そうなの?大丈夫か?帰ったらちゃんと冷やしとけよ」
ほら、やっぱり優しい。先輩はみんなにいつも気を配ってて、今日も後輩の男子が怪我した時真っ先に気がついて対処してくれた。そうだ・・・、先輩はみんなに優しいんだ。勘違いするな。友達の夏実ちゃんも“私とは合わない”って言ってたじゃない。先輩は私には遠い存在なんだ。わかってるよ、そんなこと。
でもさ、きっと言うとしたら今しかない。付き合ってくれなんてワガママは言わない。ただ気持ちだけでも知ってほしい。私はスカートの裾を握りしめて、すうっと深呼吸した。
「先輩っ!」
顔を上げてまっすぐ先輩を見つめる。うわ、既に泣きそうだ。先輩が驚いた顔で私を見る。
「私、ずっと前から先輩のことが」
声が震えてうまくしゃべれなかった。それでも最後までちゃんと伝えたい。
「好きなんです」
先輩の表情が曇った。
「ごめん。俺、彼氏いるんだ」
波の音が私たちの沈黙をかき消した。
先輩の彼氏が、同級生OR後輩なのかが気になりますね。
大丈夫、主人公の女の子は夏ちゃんがきっと慰めてくれるはずだっ!!
GLにでも目覚めてしまえww!!
読んでいただき本当にありがとうございました。