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帰り道
その日の帰り道、僕は声をかけられた。
あの女の子だった。
「一緒に帰ろ〜よ!」
「別にいいけど」
なんで、こう、すなおになれないんだろう?
「名前なんていうの?私はれいな!よろしくね!」
「僕はー」
ぽつ ぽつ
言いかけたところで雨が降り出した。
「私、傘持ってるよー」
なぜか入れてもらえた。この子はなぜ、こんなさえない僕と一緒にいてくれるのだろうか?
「あのさ」
「なぁに?」
…問いかけたところでやめた。予想外の言葉が返ってきたら少し怖いなと心のどこかでおもったからだった。
「ごめん、やっぱなんでもない」
「そう?」
その時僕がどんな顔をしていたのかはわからない。けれど、その顔を察したのように彼女はわらってこういった。
「ねぇ、今やりたいことって何?」
「家帰ってゲームしたい」
子供か!
「そんなことじゃなくてさ、もっとこー、人のためになるようなこと」
「んー、じゃぁ…」