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異世界転生者のダンジョン闘争記(コンバットDT)  作者: ツングー正法
3章 辺境の村での転生者奮闘記!
27/31

27.早くもハーレムに一人目参入の予感!?

「×××××! ×××××?」

「××××! ××××××!」

 武雄が名を聞いた後、村長は武雄を前にして傍らの男と協議を始めた。

 村長と傍らの太った男が、武雄を横目で見ながら、知らない言語でヒソヒソと言葉を交える。


 武雄は、太った男を観察した。

 その太った男も村長に負けず劣らず、立派な服装をしていた。

 また、太っていることは、豊かさの象徴でもあるだろう。


 文明レベルが十分に発展していないナイドラメアでは、権力や富を持っている人間と、そうでない人間が、一目で区別できた。


 男はギラギラした腫れぼったい眼をしていて、顎がたるんでいた。頭頂部が禿げていて、凄い福耳をしている。マフィア映画に出てきそうな、ふてぶてしい面と貫禄を備えている。ウォナガン村長よりも、よっぽど偉そうな態度であった。

 その声は妙に掠れていた。首回りに脂肪が付きすぎて、声帯を圧迫しているのだろうか。


「×××××。×××××」

「××××。××××××」


「おい。内緒話は嫌いだ。おまえらを除く全員がな。ブラヒジェン語で喋んな」

 武雄は不機嫌な声で告げた。


「も、勿論でございます、タケオ様」

 村長は、慌てて何度も頭を下げる。


「×××××」

 太った男は、にやりと笑って何事か言い捨てると、その場を去っていった。


 武雄は男の正体が気になったが、村長が話しかけてきたので、そちらに集中せざるをえなかった。

「タケオ様、卑しい山賊を退治して、村を救っていただきました。我ら、フロンティカ村の村人一同、タケオ様に命を救われたようなものです」

「なに、大したことではない」

「できる限りの恩返しをさせていただきたく存じます。何か、お求めのものはございませんでしょうか?」





 ……欲しいものか。


 欲しいものは決まっている。


「では、横になれる場所はあるか。少し疲れた」

「勿論でございます。わたくしの屋敷は村の中央にございまして……」

 村長は自慢げに口を開いたが、その言葉は尻すぼみになって消えた。


 村長は武雄の頭の上から爪先までを見やる。視線が何往復かした後で、村長が難しい顔になった。

 まるで、血まみれ泥まみれの武雄を自分の屋敷に入れるべきかどうか、思案しているような顔つきだった。


 やがて、ウォナガン村長は悲しげに首を振った。

「わたくしは、村長として、自分の財産は全て村のために捧げて参りました。おかげでわたくしの生活は酷くつつましいものでございます。そのため、わたくしの屋敷には、タケオ様のような方をお泊めするのに、適した客間が無いのでございます。残念極まります」

 村長は無念がって、はらはらと涙をこぼした。 


「客間でなくて構わない。屋根さえあれば、納屋とかでも構わないが」

「そのようなスペースは一切ございません」

「そうか。そりゃ残念だ」

 武雄は低い声で言った


 村長の屋敷に、武雄一人を泊めるスペースがない?


 本当なのだろうか。

 賊から村を守ってくれるのは大歓迎だが、どこの馬の骨とも分からない流れ者を家には入れたくない。そんな意図が見え隠れしそうな台詞じゃないか。





 何にせよ、体力を回復しなければ、まずい。

 酷くダメージを蓄積してしまっている。

 何としても、傷の手当てと、休養が必要だった。


「じゃあ、村長の家じゃなくて構わない。誰か、一夜の屋根を客人に提供してくれる者、分かち合えるパンを持っている者はいないのか?」

 武雄は尋ねた。


 ウォナガン村長は瞬時に泣き止むと、黒目の大きなブタのような眼を光らせて、村人たちを見回した。

 それが、ぴたりと止まる。村長が見つめていたのは、武雄にハンカチを差し出した、金髪の女性だった。


「タケオ様、この女はティーゲルと申す者です」

 村長が女性を指して、声を張り上げる。


「こんな田舎のババアではございますが、フロンティカ村の一員として、客人のもてなし方は心得ているはずです。今宵、タケオ様と一夜をともにして、ベッドの中、その身体でもってタケオ様を悦ばせることでしょう」


「は?」

「へ?」

 この言葉には、武雄が驚く以上に女性を驚愕せたらしい。

 二人は異口同音に驚きの声を上げた。


 村長は構わず続ける。

「文化的な奴隷ハーレムもない、辺鄙な村でございますが、なればこそ普段と異なった趣向を試してみるのも一興というもの。村の乙女と、ゆきずりの関係となってみるのもアリだと思いますが、いかがでしょう?」


「ちょっと待った……」

 武雄は思わず呻いた。

 ついていけない。





 この村長、マジで言っているのか?


 武雄は村長の顔をまじまじと見つめる。

 村長は真顔に見えた。


 ナイドラメアには、そんな習慣があるのだろうか?

 その、つまり……通りすがりの旅人に……村の女をあてがうような……?


 よほど隔絶された地にあるコミュニティなら、共同体維持のために、外の血を入れる必要があるのかもしれない。


 それに、ナイドラメアは、奴隷ハーレムなんてものが公然と存在するらしき世界だ。日本のモラルや常識が通用すると思う方が間違っている。


 ……だとしても、あまりに急な展開である。


 武雄にとって、異性にモテたり、ねんごろな仲になっていただくというのは、非常にデリケートな問題でもあった。


 もう少しムードとか考えて提案して欲しかった。

 衆人環視の村の通りというのは、こういう話をするのに最適な場所なのか、ちょっと分からない。


 武雄の心臓は早鐘のように打っている。

 それを自覚しながら、武雄は、村長の提案にどう返答しようか頭を捻った。



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