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異世界転生者のダンジョン闘争記(コンバットDT)  作者: ツングー正法
2章 通りすがりの転生者が、よこしまな山賊を成敗して、村を救う話
23/31

23.死闘 ディサイシブバトル

「いい事を教えてやるぜ」

 俯きながら、武雄はかすれた声を出した。


「何だ?」

 余裕たっぷりの表情でガガバルが問う。


「そういう台詞は殺した相手に吐け! 俺はまだ死んでねえ!」

 武雄は怒鳴りながら跳ね起きた。同時にクラフト・キューブの腕輪を腕から滑らし、拳に握り込む。


 即席のメリケン・サックだった。


 それをガガバルの腹に叩き込む。ストレートだ。パンチは武雄の手首にまでめり込んだ。


「うお!」

 ガガバルが呻きを漏らす。


 全身筋肉のガガバルの腹は、腹筋が見事に盛り上がっていた。

 だからこそ、筋肉と筋肉の境目もわかりやすい。武雄は再度、そこへ拳を打ち込む。

 ぐしゃり、と音がした。


 内臓にダメージを受け、思わずガガバルの身が折れた。

 その隙に、武雄は敵の股間めがけて、膝蹴りをぶっ放す。


 だが、金的はさっきも使った。

 反応される。ガガバルは太股で武雄の攻撃をブロックした。

 まるで、樫の木でも打ったかのように、武雄の膝は弾かれる。


 そして、それこそは武雄の狙いだった。

 武雄は膝蹴りの軌道を変化させ、ガガバルの膝頭に叩き込む。


 剣道には、鍔迫り合いの間合いから、脚を使って相手の下半身を攻撃する手がある。武雄が使ったのは掛膝カケヒザという技だった。


 膝関節は人体の弱点だ。そして、関節を筋肉で覆うことはできない。ガガバルの見事な筋肉は、何の防御にもならなかった。


 ガガバルの膝の内側で、何かがちぎれる音がした。ガガバルがガクリと膝をつく。


 膝を壊され、ガガバルが巨大な自重を支えきれなくなったのだ。


「うおお!」

 激怒したガガバルが眼を剥く。


 その顔に、武雄の拳と腕輪がめり込んだ。右フックだ。腕輪とガガバルの前歯が激突して甲高い音を立てた。武雄の顔に、ガガバルの血と唾が降りかかる。


 武雄は一発目でガガバルの前歯を全て叩き折った。


 武雄は拳を振りかぶると、渾身から奮いだした力を、敵の顔にぶちこんだ。


 二発目で鼻を潰し、三発目で頬骨を陥没させた。

 ガガバルの顔が大きくのけぞる。


 その隙に、武雄は聖剣のもとへ走る。顔面を血塗れにして、怒り狂ったガガバルがそれを追う。武雄は地面を蹴って、身を投げた。


 その体のすぐ上をガガバルのハンマーがかすめる。それを風圧で感じた。

 武雄は路面に腹這いになりながら、手を側溝へと伸ばす。


 その手に、馴染んだ感触の束が収まった。グランフォゾムだ。


 武雄は跳ね起き、振り向きざまに聖剣グランフォゾムを振るった。

 武雄のすぐ背後にガガバルが迫っていたため、これは絶好のカウンターとなった。


 剣光が一閃し、血煙が上がった。

 武雄は起き上がるとバックステップで間合いを外して、グランフォゾムを正眼に構えた。




 とはいえ、手応えが伝えていた。勝負はあったと。


 グランフォゾムはガガバルの右腰から、左肩までを袈裟懸けにしていた。

 武雄の絶好のカウンターは、ガガバルの肋骨をバターのように切断してのけたのだ。


 ガガバルが真っ二つの輪切りになっていないのは、ひとえに彼がとんでもない巨漢であるおかげに他ならなかった。




 武雄は構えを解いた。戦いは終わった。


 ガガバルはゆっくりと口を開いて、乱杭歯を剥いた。


 そして――

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