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異世界転生者のダンジョン闘争記(コンバットDT)  作者: ツングー正法
2章 通りすがりの転生者が、よこしまな山賊を成敗して、村を救う話
21/31

21.滅槌のガガバル

「うおお!」


 滅槌のガガバルは吠えると、ハンマーを力一杯振り回した。


 こういう武器への対策なら、ゴブリン戦で経験済みだ。大振りさせて、かわした後に、聖剣の手数で圧倒する。


 武雄はバックステップでハンマーを避けた。

 だが、ハンマーの風圧が武雄の体をよろめかせる。


「殺してやる」


 大振りしたにも関わらず、ガガバルは直ちに第二撃を繰り出してくる。

 武雄はスウェーして、どうにか避けた。


 速さも威力も、ゴブリンやザコ山賊とは桁違いだ。


 なるほど。こいつはザコじゃない。ボスだ!


 ぞっとする気分を感じながらも、戦闘の高揚感で武雄は笑みを浮かべて、更なるハンマーを避けた。


 反撃の剣を振るうが、相手の間合いが広すぎてグランフォゾムが届かない。


 ならば、とっておきの回転斬りだ。


 武雄は聖剣を逆手に持ち替え、腰だめに構える。

 聖剣が青い光を帯びた。


「うるあ!」


 武雄は裂帛の声を発して、回転した。剣風が螺旋状に迸った。


 だが、手応えがない。

 武雄は足を踏ん張り、ブレーキをかける。靴底を削りながらどうにか回転を止めた。


 どうした? 目測量を誤ったか?


 武雄は慌てて敵の姿を探す。


 敵の姿は空中にあった。跳躍して回転斬りを避けたのだ。巨体に似合わないフットワークだった。

 敵は、最初に武雄がザコ山賊へ放った回転斬りを見て、攻撃の特性を見抜いていた。回転斬りは水平面を斬るものの、垂直方向に攻撃はできない!


 ガガバルは落下速度を乗せて、ハンマーを振り下ろした。武雄は横へローリングしてハンマーを避ける。


 ハンマーが路面を強打した。砕けて弾け飛んだ敷石が、散弾のように武雄を襲う。


「くそ!」


 地形効果を利用した攻撃だった。


 敵は突進してきて距離を詰めると、ハンマーを横なぎに振るう。避ける暇はない。武雄はやむなく、聖剣を縦に構え、左手を刀身に添える。それでハンマーを防ごうとした。


 強打。左腕が折れたかと思うほどの衝撃の後、武雄の身が宙を待った。


 背中から路面に落ち、転がる。肺から空気が強引に排出された。


 一瞬置いて、ありったけの苦痛が武雄を襲う。

 敵の攻撃力が高すぎ、武雄の防御が貧弱すぎた。


 苦痛のあまり、閉じてしまった眼を開くと、ハンマーを振りかぶるガガバルの姿が眼に飛び込んできた。止めのハンマーを振り下ろすつもりだ。


 武雄は仰向けのまま、足を振り上げた。何も考えない、反射的な動きだった。

 それでも、武雄の右足はガガバルの股間にめり込む。


「おう!」


 ガガバルの眼が見開かれ、動きが止まる。


 さらに武雄の左足がガガバルの脇腹を打ち据えると、敵は思わず一歩後退した。


 武雄は腹筋に力を入れて跳ね起きると、聖剣を振るった。

 聖剣がしなり、つむじ風のようにガガバルの身を刻んでいく。ガガバルはどうにかハンマーで防ごうとするが、聖剣のスピードに追随できない。ガガバルの全身に傷が刻まれていく。


 敵にダメージを蓄積したところで、武雄は急所を狙う。


 大きく足を踏み込み、上体を落としながら、両手で聖剣の束を握る。

 収束した力を切っ先に込めると、ガガバルの首へ、強烈な突きを一閃させる。牙突ガトツという刺突攻撃であった。


 ガガバルのスピードでは対応できないはずだ。


 実際、的確な手応えが両手に伝わってきた。分厚い筋肉を貫き、骨まで両断した手応えだ。


 決まった。武雄は思った。


「ガッハッハッハ!」


 ガガバルの笑い声が武雄の耳を打った。


 バカな! 急所を貫いたはずなのに!

 武雄は眼を見開き、ガガバルを見上げる。


 ガガバルの首の前に、敵の腕があった。聖剣は、太い左腕を完全に貫き、更に首にまで切っ先を刺していたにも関わらず、殺してはいなかった。


 ガガバルは攻撃を食らう寸前に、左腕を犠牲にして、致命的なダメージを防いでいた。武雄は慌てて剣を引き抜き、間合いを取った。


「このガガバル様に、ここまで手傷を負わせるとは。少しはできるな」


 ガガバルは笑って言う。左腕からボタボタと血が迸り、使い物にならなくなっている。目もくらむような痛みを感じているはずだ。


 にも関わらず、巨漢は気にする素振りを見せなかった。ガガバルは芯から豪の者であった。


「敬意を表して、とっておきの技で殺してやろう」


 ガガバルは右手のハンマーを構える。敵が全身に力を込めるのが分かった。


 すると、ハンマーが微かな鳴き声を上げ始める。更に紅い光が、ハンマーを取り巻いた。オーラであった。

 もの凄い力を内部に濃縮したハンマーの周囲で空気が歪んでいる。


 武雄はぎょっとした。

 必殺技? 敵も使えるのか?


「メガ・クラッシャー!」


 ガガバルは吠えながら、ハンマーを地面に叩きつけた。


 直下型地震のインパクトと粉塵が武雄を飲み込んだ。


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