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異世界転生者のダンジョン闘争記(コンバットDT)  作者: ツングー正法
2章 通りすがりの転生者が、よこしまな山賊を成敗して、村を救う話
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20.ボス山賊の登場!

 武雄は恐怖に身震いしたのではなかった。


 武雄は、嫌悪感に耐えきれなかったのだ。


「つまり、あれか。おまえ達はあれだな。悪い奴か」

 武雄は言った。


 周囲の山賊どもは、武雄の台詞にうまい言葉で反応できなかった。彼らは口をぽかんと開けて、お互い、目を見合わせている。

 武雄は構わず、暗い声で続ける。


「止むに止まれない理由があれば、情状酌量の余地もあるだろうが、おまえ達は違うな。おまえ達は無法者であることを誇り、盗むことを楽しんでいる」

 武雄は言いながら息を吐き、全身を弛緩させる。


「世を腐った方、腐った方へ持って行く……それが、おまえ達だ!」


 武雄の手が、残像も残さず動いた。


 ダガーを突きつけられているおかげで、背後の山賊の位置は丸分かりだった。

 聖剣グランフォゾムが一閃する。山賊の首が、ぽんっ、と跳ねとんだ。シャンパンのコルクの抜く感じに似ていた。

 山賊の首が、イヤらしい表情そのままに宙を舞う。


 武雄は剣道と比べると、居合いを得意としていなかったが、聖剣グランフォゾムの性能がそれを補ってくれた。


 武雄は首のなくなった男の身体を蹴り飛ばした。

 さらに間をおかず、この先制攻撃に呆然としている手前の山賊を一人、斬って捨てた。


「おまえたちに楯突くのが問題だというのは理解した。だが、この世界に、損得を考えずに正義を遂行できうる存在が降臨してしまったのが、おまえ達の運の尽きだな。さあ、正義の時間だぜ。悪事の代償を払う時が来たんだ」


 武雄は声を低くして言いながら、聖剣グランフォゾムを構えた。


 唐突な暴力に、硬直していた山賊どもが我に返ると、

「黙れ、ど三一!」

 山賊どもは血相を変えて、突進してきた。


 周囲から一斉に襲いかかってくるのは、武雄にとって都合がよかった。


 武雄はニヤリと笑う。

 右手の聖剣グランフォゾムが鳴いて、オーラを迸らせるのを肌で感じていた。

 武雄の眼には、刃を走らせるべき完璧な道筋も見えていた。


「回転斬り!」

 腰を落とし、足を広げ、剣に体を従わせる。ぐるり、と視界が360度回転する。


 剣風が方々で湿った音をたてた。山賊どもの首が胴体から切り落とされた音だった。

 あまりに呆気ない手応えだった。


 山賊どもの体は突進していた運動エネルギーをそのままに、ヘッドスライディングするような形で武雄の足下まで滑ってきた。そこで首の切断面から、盛大に鮮血をぶちまけた。

 山賊どもの首は、ビーチボールのように軽やかに地面を転がった。





 武雄はただの一太刀で、十人もの山賊の首をはねたのだ。


 村の中の誰もが凍り付いた。

 今の今まで、村人と山賊がチマチマと斬り合っていたのだ。お互い、得物は農具や手斧、あるいは棍棒だった。


 そこへ、降って湧いたように聖剣をひらめかせた若い男が現れ、瞬時に十人を越える山賊を成敗したのだ。


 この場にそぐわない、圧倒的な戦力。

 ショックで戦場は凍結した。

 村人も、山賊も、口をあんぐりと開けたまま、フリーズしてしまった。


 そんな中、動く者があった。のっしのっしと巨漢がこちらへ歩いてくる。

 山賊の頭領であった。


 頭領は二メートルを軽く超える身の上から武雄を見下ろし、笑う。

「ガッハッハッハ! いよいよもって面白い奴だ!」


 山賊どもは総じて逞しい者が多いが、こいつは別格も別格だ。

 全身の筋肉が極度に盛り上がっている。二の腕の筋肉など、武雄の胴体を四つ纏めたくらいの太さがあるだろう。

 世間のボディビルダーが蒼くなって逃げ出しそうな体つきだ。ステロイドでもやっているのだろうか。


滅槌メッツイのガガバルだ」

 巨漢が言った。


「おまえの名か?」

「そうだ」

「格好いいニックネームじゃないか」

「本名だよ」

 男は乱杭歯を剥いて唸った。


 ガガバルは大槌ハンマーを握っている。巨漢の身体との対比で、小さなトンカチに見えるが、並の人間では持ち上げるのがやっとの重さだろう。

 日曜大工の道具でないというのは、ハンマーについた血と肉片が証明している。


 とてつもない圧迫感だった。


 だが、武雄はノッている。負ける気はしなかった。


 むきむきした筋肉というのは、世間じゃえらく買いかぶられているが、こっちにはチートな聖剣と剣術があるのだ。


 武雄は腰を落とし、剣の切っ先を背後の地面に向ける。

 いわゆる剣道の脇構えであった。

 そして、滅槌のガガバルを迎え撃った。


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