15.栄光なる男どものブリーフィング
そこには、円陣を作った連中がいた。
身なりの酷い集団であった。ゴブリンよりも、よっぽど貧しげな見た目である。
乞食のパーティーかと思ったが、それにしても汚らしい風体の連中がキャンプしていた。
中央に集団の頭領らしい大男が立っている。
大男は焼けた広い額に、荒々しく鑿で削られたかのような顔の持ち主だった。凶相である。
分厚い胸をはだけ、動く小山のような肉おきを誇っている。
着ているのは、垢にまみれ、ボロの下がったチュニックで、片肌を脱いでいた。
「野郎ども! 我らが栄光なる山賊団は山ほどの戦いで勝利をもぎとり、財宝と奴隷をいただいてきた!」
大男はだみ声を張り上げながら、眼下の村を指す。
「野郎ども! 次のエモノは、あのチンケな村だ!」
大男の周りを、下っ端の山賊がずらりと囲んでいる。二十人といったところか。
揃いも揃って、脳味噌が有るのか無いのか分からないような顔つきの荒れくればかりだった。
「あんな小さな村じゃあ、大したお宝があるとは思えねえ」
手下の一人が、頭領の演説に口を挟んだ。
「バカヤロー!」
頭領は怒鳴って、手下を殴り倒した。手下は血をまき散らして、ばたりと倒れる。
「だからこそ、他の盗賊団に荒らされるって事がないんだろうが!」
「なるほど! さすが親分!」
「それにだな、あの村の近所にはダンジョンがあるって情報があるのよ」
頭領はそう言って、にたりと笑った。
「ダンジョン!」
山賊どもの目の色が変わる。
「さすが親分! 物知りでやんすね!」
手下の一人がおべっかを使った。
「おうよ。この村を制圧して、村人は全員奴隷にして、奴隷ハーレムに売り払ってやる! ほんでもって、ダンジョンの富は、我らが山賊団がいただくってわけよ! ガッハッハッハ!」
山賊の頭領は気をよくして、豪快に笑う。
「いひひ! なんつってったって、オレたちゃ、盗賊ギルドの精鋭中の精鋭でやす。あんな村ごときに抵抗することはできやしねえ。村には骨一本残らないってわけでやすね」
「そういうわけだ! 野郎ども! 全てを奪い尽くせ! 奪わぬものは焼き払え! ガッハッハッハ!」
頭領の獰猛な笑い声に、手下の山賊も同調した。
山賊どもは腹を抱えて、ひとしきり笑うと、頭領は号令を下した。
「野郎ども、行くぞ」
棍棒や斧で武装した山賊の集団が村へと、ぞろぞろ歩いていった。