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双月の恋  作者: 藤之恵多
照日の章
5/6

1



 梅雨の季節も近くなり、雨の日が続いた。じめじめとした湿気と夏が近づいている事を少しも感じさせない肌寒さは体調を容易く崩していく。

 何人かの家人が熱を出したと聞いたのはそんな時期であった。

 遥日はようやく七図の家にも慣れ、朔夜から命じられる仕事も順調にこなせるようになっており、一息ついた時期でもある。幸いな事に東の対で誰かが倒れたという話は聞かず、油断のようなものもあったのかもしれない。

 七図家長女、遥日の仕える朔夜が熱を出したのは水無月の夕暮れのことだった。



 局には朔夜と遥日、それに迦月がいた。

 自分が呼ばれるのはとても不自然な気はしていたが、朔夜本人からここに残るように言われていたため退出することはできない。

 遥日としては無理しがちな朔夜のことが心配であったので嬉しく思っていた。このお姫様は自分の体調という物に無頓着だという事が勤め始めてからの数ヶ月で、充分身に沁みている。

 局の中央には朔夜が上着を掛けて寝ていた。

 何枚も重ねられたそれは体温を逃さないようにするためであり、額に乗せられた白い布は水でぬらされ熱を下げようと努力していた。朔夜の隣に遥日が座り、数刻毎にその布を代える。それが遥日の仕事であった。

 布きれ一つにしても、そこから伝わる肌触りは幼い頃、遥日が感じたものとは異なり滑らかである。


「困ったわねぇ」


 迦月の表情に変化は少ない。乳兄弟の朔夜が熱で苦しんでいるというのに心配する様子もあまり見せなかった。いつもと同じ、整いすぎているほどの横顔に鋭すぎる美しさが部屋の中に放たれ、ほうと溜息を零すたびに遥日は目を向けてしまう。仕草一つをとっても美人は違うものなのだ。

 遥日は朔夜へと視線をずらした。迦月を見ていると気付かれたら、にっこりとした笑顔で何時からかわれるか知れないからである。

 今、朔夜は穏やかな吐息を立て寝付いていた。上着から覗く手は迦月の元へと伸びていて、白い肌同士がしっかりと結びついて、二人の仲の良さを示していた。


「迦月さま!そんな冷静に呟かないで下さい」


 遥日にしてみれば、まだ気を抜ける時期ではないというのに、すでに治ったかのような佇まいを見せる迦月の気が知れない。

 ただの流行り風邪だとは思うがどう転ぶかわからないのが病の怖さなのだ。治ったと安心していたら、ぶり返して長く寝込むことになった話などざらにある。


「そうはいっても、遥日。今日はお客様の予定があるのよ」

「お客様ですか?」


 七図家は雅に秀でた名門である。位人臣はそう高くはないが、帝のご尊顔を拝見できる殿上人であり、地下である大路家とは天と地ほどの差がある。

 自然と七図家に訪れる客人の量は多くなり、楽会などを開くことも何度かあった。その数多くが、長兄である盛名と妹の朔夜の共演を楽しみにしている者達であり、ただでさえ極上とよばれる盛名の舞は朔夜の琴で天上のものとまでに褒め称えられる。

 楽会ともなれば準備も大掛かりになるため、遥日の耳にも当然入ってくることになる。

 しかし、今日そのような予定が組まれているとは聞いていないので、本当に少人数、おそらく一人か二人しか来ないのだろう。それほどの少人数であれば、事情を話し、また別の日にしてもらうこともできるはずであるのだが、迦月の様子を見ると違うようだ。

 不思議そうな視線を向ける遥日に迦月は小さく笑みを零してから、朔夜とつながっていない方の手で顎の下に指を置いた。

 物憂げな姿は何かとても深刻な事を考えているようにも見えてしまうが、そうではないのを遥日は知っていた。

 朔夜にも言えるのだが迦月は夕餉のことを考えていても深く沈んでいるように見え、思わず声を掛けたくなってしまうような美貌なのである。もちろん、夕餉とは遥日の想像であり、例えに過ぎないが表情と内容が一致しないのは事実である。

 迦月の口から何が出てくるのかを遥日はじっと待っていた。


「今日いらっしゃるのは、確かにお一人だわ。だけど、人物が問題なのよ」


 迦月の視線が朔夜に向けられる。そっとまるで脈を取るようにその手首に細い指が添えられた。

 綺麗な弧を描いていた柳眉が歪められ、顔に険しさが浮ぶ。

 何も知らなかった頃の遥日であったならば、すぐにでも頭を下げて機嫌を伺いたくなってしまうような表情である。ただでさえ美しい華の顔には迫力があり、普通にしているだけでも人は縮こまってしまうのだから。


「どなたがいらっしゃるのですか?」


 迦月がこのような顔をするのは非常に珍しかった。喜怒哀楽がハッキリしている人柄なので迦月の表情を変化しやすく、色々なものを遥日は見てきたつもりである。その中でもこのような本当に困ったという顔は見たことがなく、また他の表情に切り替わらないのも初めてであった。


「先の右大臣さまよ」

「は――」


 遥日は一瞬動きを止めた。一文字を発音した口は開いたまま閉じてくれない。まるで言う事を聞かない身体はびっくりしすぎたせいだ。先の右大臣という単語が頭の中をくるくると回っていて、それと同時に地面までも揺れているような心地が遥日にはした。


「……四季の大臣と呼ばれる方でしょうか?」

「私の記憶では、同じ人物ね」


 にっこりと笑って答える迦月の顔は、いつもと比べれば僅かな影がある。その名前を聞くまで、その影の意味がわからなかった遥日であるが、ことの内容を理解してしまえば仕方のないことのように思われた。

 先の右大臣、四季の大臣とは同じ人物――菅原成久すがわらのなりひさを指している。

 左大臣になることはなかったが、右大臣として穏便に政を治め、その穏やかで風流を愛する人柄は都でも評判が良い。それと同時にとても忙しいことでも有名で、かの人を捕まえたかったら一ヶ月は家に張り込むべきだとまで言われている。

 また、主がいなくても成久が丹念に作らせた邸宅の庭には季節の花が咲き乱れていて、都の人々の目を楽しませる。そこから四季の大臣とも言われていた。


「その先の右大臣さまが、今日、いらっしゃるので?」


 口に出すにも恐れ多いような人物である。

 町民とほとんど同じ生活をしていた遥日は成久の庭を見に行ったこともあった。妹達に少しでも貴族というものがどんなものかを教えたかったのと、母親である日名子がそういったものを好む性格をしていたからである。

 その持ち主が来るというのだ。目眩さえ襲ってきそうな状況を、遥日はここ数ヶ月で強くなった精神力で耐え忍んだ。


「さっきからそう言ってるわ」


 変な遥日と迦月は目を細めておかしそうに笑う。

 その表情は美しく、まさに月のようなのだが、今遥日が気にすべきはそこではなかった。

(もう、なんで、迦月さまは……)

 言いたいことはたくさんあった。何で賓客の来訪を教えてくれなかったのかとか、危機感が薄すぎることなど、迦月に注意したいことはたくさんあったけれど、それらをすべて飲み込んで遥日は痛む頭と目眩を堪えるように顔を伏せた。

 これは朔夜にもいえることであったが、この瓜二つな二人は性格まで似たところがあって、姫君には似つかわしくない程、心根が座っているのもその一つにあげられる。普通の姫君だったら卒倒してもおかしくない事を、この二人はどこ吹く風と進んでいってしまうのだ。


「そして、そのご用事は、朔夜さまがいなければならないと」

「まぁ、よくわかったわね。遥日」


 丸きり他人事のような迦月に遥日は溜息を零した。

 きっと聡い迦月のことだから、今の状況のまずさを内心では理解しているのだろう。だからこそ、迦月は珍しく困った顔を見せたのだ。

 七図家の人たちは優しい。風雅を愛する心というものは、誰にでも情けをかけることができるから生まれるものなのかもしれない、と遥日はこの頃思うくらいに。朔夜は見たままに細やかな心遣いのもとに気を配っていたし、迦月はからかうことも多いけれど、その一方遥日が東の対で困っていると来てくれるのも彼女であり、助けられたことは数知れない。


「なぜ、わからないとお思いになります……」


 痛む頭を抑えるように手をやり、抑える。いくら鈍いと言われる遥日でもそれくらいのことは予想がつく。

 雅を愛する先の右大臣が七図家に来ることに疑問は湧かない。

 楽会などのようなものがなくとも、七図家には代々伝わる絵や書などもある上に、七図家を愛し愛してきた貴族の家々から頂いた楽器も多く、天下の一品に違いないそれらは宝物庫に多々置いてあるのだ。

 たかが楽器と侮ってはいけない。風流を愛する貴族が雅の頂点に立つ七図家へと賜下なさるものは、もうほとんど芸術品の域であり散りばめられた装飾は細かく、一度宝物庫を見学させてもらった遥日は緊張で足がもつれたほどだ。


「そうね、遥日はいつも変なところだけ鋭いから」


 にやりと微笑む顔は、もう見慣れた遥日をからかうものである。しかし、そこに含まれたちくりとした棘に遥日は気付いた。


「迦月さま。実は私のことお嫌いですか?」

「遥日のこと?好きに決まってるじゃない、変な子ね」


 それは迦月さまにお返しします。なとどは言えず、遥日はもう一度溜息を吐いた。

 気に入られているのは何となく感じていた。朔夜も迦月も遥日には特に優しく、仕えた直後から一番側に置いてくれるなど特例もいい所だろう。それが一応なりとも貴族の娘を扱っているからなのかまではわからないが、明らかに他の女房たちと違うのはわかる。

 遥日が困っているのは大切に扱われすぎていることではない――もしそうだとしたら、自分はとんだ恥知らずである。七図家の姫さまに気に入ってもらえるなど感激の位置を越えているほどなのだから。

 困っているのは、なぜ(・・)そう扱われるのかわからないことである。

 特に立派な働きをしたわけでもなければ、ずっと付き合ってきた間柄というわけでもない。月葉や朔夜、迦月の様子から考えると昔顔を合わせたことくらいあるのかもしれないが、それにしても気に入られる理由には弱い。


「そういえば、先の右大臣さまのご用事はなんなのですか?」


 いくら考えても答えが出る問いではないので遥日は頭を切り替えた。

 俯かせていた視界に朔夜の大分良くなった、それでもまだ寝苦しそうな表情が映ったからだ。今は自分のことより主家の問題を片付けることが優先されるだろう。ただ残念なことに恐らく自分にできることはないというのも遥日は確信していた。


「琴よ。朔夜の琴を聴きたいと前からおっしゃっていらして」

「それはまた。代役も立てられませんね」


 もっとも対処に困る問題であった。確かに迦月が悩むのもわかる。

 まだ宝物の説明などであったら、迦月が代わりに立つという事もできたのだろうが琴の演奏となると代わることは難しい。

 朔夜の琴の腕は都に住む人間であれば誰でも耳にしたことがあるくらい有名な話であり、風流を愛するものならば是非とも聴いておきたいものであろう。朔夜は体が強くなく、楽会で演奏するのも体調の良いときだけに限られる。

 聴きたいと願う者は多々いても実際に聴くことができるのは、運を併せ持った一握りの人間だけである。

 遥日も練習しているものを側で聴いていたことがある。それはこの時期に入る少し前、暇をもてあました朔夜が手遊びとして弾いたもので、それでもとても素晴らしかった。

 短絡的な言葉であるが遥日は朔夜の琴の音を、その素晴らしさを余す事なく伝える言葉を知らない。

 貴族の嗜みとして遥日も一通りに弾くことはできたけれど、あのような珠玉の音を奏でられたことは一度もない。朔夜の指が弦を弾くたび、そこには別の世界が現れて幽玄の道へと聴き手を連れて行ってしまうのだ。

 雅人みやびびとである成久が、その忙しさを別にしても、朔夜の琴を聴きたいというのは至極当然のことであった。


「先の右大臣さまは、あの通りお忙しい方だから、次がいつになってしまうかわからないし」


 なるほどと遥日は納得した。確かにかの人の忙しさは知れている。

 朔夜の体調の悪さを理由に、次の機会を作ってもらうことは可能であろうが、その次に朔夜がまた体調を崩さないとも限らない。そのうえ会うまでに一ヶ月といわれる先の右大臣さまをそう何度も待たせては七図家にとっても良くない風評が立つかもしれない。

 考えれば考えるほど困った問題が多く出てきてしまう事態なのだ。


「……だから、私が、弾きます」


 遥日と迦月、二人揃って考え込んでしまい、静かになった局にその声は響いた。

 遥日も迦月も喋っていない。それは向かい合わせるように座っていることから確認するまでもなくわかっていた。そうなるとこの声の持ち主は一人に限定されてしまう。自然と二人の視線は迦月と手を繋いだまま寝ている朔夜へとむかっていた。

 見れば、いつの間に朔夜の長い睫で縁取られた瞼が開いている。


「朔夜さま。まだ寝ていなければなりません」

「そうよ。あなた、熱があるのよ?」


 迦月の気遣わしげな視線が朔夜を覆った。

 遥日はふらふらと瞳が定まらない朔夜の額から布を取り、側にある桶につけて絞ると汗をふき取るように顔を撫でる。よくなったとはいえ額に浮ぶ汗の量は常人とは決して言えず、琴を弾くなどとんでもない体調である。

 汗をふき取る遥日に朔夜はいつもより掠れた声で礼を言うと、ゆっくりと身体を起こそうとする。

 遥日は慌ててその背を支えるように手を伸ばし落ちた上着を一枚取り背中にかけた。迦月は動かない。朔夜の熱があっても艶を失わない黒髪が辛そうな横顔にはらりとかかり、何とも言えない色香が匂い立った。

 ぱらぱらと雨粒が庭の土を叩いているのが聞こえてきた。雨がまた降り始めたのだ。


「大丈夫です。一曲弾く程度なら問題ありません」


 にこりと微笑む顔は弱弱しく、無理しているのは明らかだった。朔夜の姿に迦月は眉を顰める。


「馬鹿言わないの。あなたの体力くらい知っているわ」


 結んでいる掌はそのままに迦月は朔夜の額に手を当てた。熱を確かめるようなそれから、するりと迦月の手は動き、朔夜の頬へといつの間にか当てられる。まるで子供に言い聞かせる母親のような状態になっていた。

 きっとひんやりとした迦月の手が心地よいのだろう。朔夜は熱に浮かされた瞳を乳兄弟に向けて眉尻を下げる。

 遥日は席を立とうか迷っていた。そろそろ桶の中の水が温くなってきていたし、雨が降っているのなら雨戸を閉めてしまいたかった。先ほどまではこの時期にしては珍しく晴れていたため、空気の入れ替えも兼ねて開けていたのである。


「このことは私と遥日でどうにかするから、あなたはゆっくり寝ていなさい」


 言い放たれた一言に遥日は瞳を大きくした。迦月に言われるまでもなく自分がどうにかできるならば何でも手伝う気持ちはあった。しかしこの件は明らかに自分がどうにかできる範囲から逸脱しており、迦月が胸を張って言う中に遥日の名前があるのは違和感があった。


「遥日と?」


 いつもより緩慢な動きで朔夜の瞳が遥日を見る。ぼんやりとした表情は下がりきっていない熱の辛さを教えてくれた。

 この主はやはり変なところで強情で、気が強くて、我を通す。病気のときに休むなど普通のことなのに、その強さは何なのだろうか。

 遥日にはわからなかったが向けられた問いかけには小さく頷いて返した。どちらにしろこの状態の朔夜に何かをさせることは賛成できない。自分の力では足りないかもしれないが迦月が大丈夫と言ったのだ。朔夜を安心させて寝かせるためにもはったりが必要である。


「わずかばかりの力ではありますが尽力します」

「そう……なら大丈夫かしら」


――遥日がいれば、迦月は安心だものね。

 朔夜が呟いた言葉は遥日には届かない。強くなり始めた雨脚のせいが声を聞き取り辛くさせていた。それでも主から信頼を置いてもらえるという事には変わりなく遥日は感謝の気持ちを込めて頭を下げた。


「ありがとうございます」

「よろしくね、遥日」


 穏やかに笑い朔夜は再び横になる。遥日は再び布を濡らし額へと乗せると今度こそ立ち上がった。

 それに合わせるようにして朔夜の頭を撫で寝かしつけていた迦月も動いた。優しく、繋がっていた掌を解いて寒くないように着物の中へと納める。

最後にもう一度黒髪を梳くようにして撫でれば朔夜の顔は随分と柔らかくなった。それを見つめる迦月の瞳も優しい。

 お互いを思いあっている主従とは二人のような関係を言うのだろうと遥日は思った。


「さて、私に一つ案があるわ」


 朔夜の局を出て開口一番に迦月はそう言った。自信に満ち溢れた表情は先ほどまでとは異なる。その案がいつ浮んでいたのかわからないが、沈んだ顔をしているよりは余程いい。朔夜にああ言ってしまった手前、迦月も引くに引けないのだろうと遥日は思った。


「案ですか?」


 水を交換しようと抱えた桶に遥日の顔が映っていた。自分の顔が不思議そうに首をかしげるのを、遥日は水鏡を通して見た。

 仕切り一枚の違いとはいえ外と直接繋がっている廊下は局とは違い肌寒かった。今はまだ良いが早めに雨戸を閉めなければ朔夜の寝ている場所まで冷えてしまうのは間違いなく、遥日は頭半分でその提案を聞いていた。


「そう、協力してくれるわよね。遥日」


 手首をつかまれる。細い華奢な指は思ったより力を込めることが出来るものらしい。

 雨の冷気の中、じんわりと伝わる迦月の体温が温かく遥日は目の前に立つ人を見上げた。どうせ、いつものように怖くなるほど気丈な瞳をしているのだろうと思っていたのだが、そこにあったのは違う色で。

(なんで、そんなに不安そうなのですか?)

 まるで雨に濡れている子猫のような瞳だった。見捨てないでと訴えるようなそれに遥日は滅法弱い。

 何となく頭を撫でたい気分になった。直属の上司に何をとも思うし、桶を持っているのでそうすることはできやしない。

 だから遥日は安心してもらえるように、精一杯の気持ちを込めて笑顔を作った。

 遥日は朔夜に甘い。朔夜に似ている迦月にも甘い。つまり二人が大好きであった。


「それはもちろんです。それでどのような方法なのですか?」


 遥日の言葉にほっとしたのか、それとも雨が見せた一瞬の幻だったのか、すぐに迦月の瞳はいつもの強気なものになっていた。


「簡単よ」


 そう言い切る迦月の表情は鮮やかで、降る雨雫の霧もまとって、まるで天女が舞い降りたかのようだった。

 この顔をするときの迦月の提案は大抵突拍子がない物であり、遥日は嫌な予感がした。


「私が朔夜と入れ替わればいいのよ」


 遠くで、雷が鳴っている。にっこりとそうのたまった迦月に遥日は雷を重ねた。



今回から場面変更。

それにしても話が進みません。


閲覧、評価、お気に入り登録、ありがとうございます。

これからも頑張ります。

次回投稿予定は2/20です。

では、また。

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