威力偵察
日が傾き始める頃、クダ村へ向かう1台の幌馬車。
白髪混じりの初老の男が幌馬車を走らせていた。
村内に入る直前、男はため息をつく。
「おい!」
入り口を警備する二人のオイローパ兵に道を塞がれる。
「えっと…なんでしょ?」
「何者だ?」
「あっしはただのしがない商人ですよぉ…ほら前も来ましたけど覚えてませんかねぇ?」
商人は恐怖に怯えながらも必死に平静を装う。
「商人?…ああ、あの時のか」
「そうですよ!色々仕入れて来やしたんで…!」
商人の言葉に返答すること無く、手を差し出すオイローパ兵
「え?」
「タダで通すわけには行かないな?」
オイローパ兵はニタリと笑う。商人は渋々通行料として《20シリング》を渡す。
しかし、彼らは咳払いと首を横に振る動きを見せて不十分である事をジェスチャーした。彼がもう20シリングを払うと納得し入村を許可した。
(ちくしょう…!40シリングもぶん取られた…!2オーラムだぞ!ワシの年収の半分も…これでは孫に薬を買ってやる事など…)
商人は心中で叫び唇を噛んだ。
幌馬車は村の中心近くまでやってきた。クダ村には村民の姿は殆ど無く、居るのは複数のオイローパ兵のみだ。彼は注意深く周りを見渡す。
(ああ…かつては活気溢れる美しい村だったのに…)
今のクダ村にはその活気もなく、異界人の言語があちこちで響き、家々からは時折女性の啜り泣く声が時折聞こえる。
(村の男手は殺されるか奴隷となり…その妻達はこやつらの道具に…)
彼は同情と同時に自身の村にまだ矛先が向いていない事に安堵した。
また彼の前に複数のオイローパ兵がぞろぞろとやってくる。その内の1人が現地語で商人に話しかける
「あんた、商人だろ?」
「ええ…そうですが…」
「ならヒーラー・ポーションあるか?」
「もちろんです!オイローパの皆様に大変人気ですので沢山御座いますよぉ!」
商人は速やかに荷台に移り木箱からポーションを出す。
「ささ、どうぞ!本来は魔力回復のポーションでしたが…体力回復の効果もありますからね!兵士に取っては欠かせない代物でしょう!」
商人は次々とポーションを差し出す。
「これで全部か?」
「ああ…まだ…」
「あるなら全部出せ」
オイローパ兵の言葉に偽の笑顔を作りつつ在庫の全てを差し出した。
「ではお代の方を…」
商人の言葉にオイローパ兵が巾着袋を差し出す。商人が中身を確認するとはした金程度の金額しか入っていなかった
「あ、あの…今ので1オーラム半ほど必要なのですが…これでは…」
彼が言い終える前にオイローパ兵が睨見つける
「い、いや!冗談ですよ!は、ははは…」
彼は素早く身を引き、立ち去る兵士どもの背中を睨む
(儂らを劣等種族とでも思っているのか!これでは大赤字だ!足下見おって…!)
商人は心中で叫んだ。この村での主力商品を全て失った商人は早々に宿へと向かった。
(ここにも奴らが…今日は野宿するか…)
彼は人気のない村の外れに幌馬車を停め、テントを張って一夜を過ごすことにした。
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──ロックナプル前哨基地──
作戦開始予定時刻:日の出(05:47)
まだ薄暗い空の下、エンジンの低い唸りが響いている。
ウォーリア歩兵戦闘車2両が、乗員昇降口を開けたまま待機している。
その周りに第2小隊(Aチーム)と第1小隊(Cチーム)の混成部隊が散開し、最終装備チェックをしている。
藤原少尉は装甲車マックスプロの側面に寄りかかり無線で呼びかける。
「A1、2、Cチャーリー、E各機。こちらAリーダー。準備出来てるか?」
《こちらCリーダー…Cチーム完了》
《こちらE1…1、2共に準備よし。いつでも行ける》
《こちらA2リーダー。こっちも行ける》
藤原は返答を聞き終えた後、再度無線機のスイッチを押す
「おい、シノ…よく寝れたか?」
《…バッチリで〜す》
篠原の気の抜けた返答に一同は笑う。
「よし…!全員乗車!!」
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薄暗かった空が明るく晴れ渡り地平線に朝日が昇った頃、ウォーリア2両を先頭にマックスプロ1両、M1151 ハンヴィーが1両の計4両がクダ村への一本道をひた走る。
「そういや隊長?」
悪路で揺れるマックスプロの車内で藤原の隣に座る篠原が呼びかける。
「ん?」
「昨日、カークス軍曹のお子さんの事話してましたけど…隊長はそういうの予定とかあるんですか?」
「はあ?!」
突然の篠原の問いに目を丸くする藤原
「いや…子供は何人欲しいとかそういう…」
「そうそう!あんたは人のそう言う話題には積極的だが、自分の事は話さねぇよな?」
カークスが言う。
「でかしたぞシノ…で、どうなんだ?」
マックスが言う
「んな事言う訳ねぇだろ!」
「おっと、守秘義務かな?」
Cチームの隊員の一人が茶化す
「そんなんじゃねぇよ…!強いて言うなら2人くらいか?」
藤原は顔を赤らめながら言う。
「意外と現実的だな」
Aチーム第2小隊のメンバーである、『グレック・リトナー 伍長』が言う。
「うるせえ!」
一同は藤原の恥ずかしがる姿を笑う。
「お取り込み中悪いが、残り7km地点に到着だ」
マックスプロのドライバー兼第2小隊のメンバーである『リー・イムレイ 伍長』が告げる
「E1、停まってくれ」
藤原が無線で告げると車列は路肩に停まった。停車を確認すると各員は車外に降りる
「よし、一旦小休止だ。水分補給なり軽食を取るなり自由にしろ」
藤原は無線で告げる。彼のその言葉に各々自由に行動を始める。
「シノ…ちょっと来い」
マックスが篠原を呼ぶ
「なんですか?」
「ナイス質問だった。だからプロテインバーをやる」
「マジっすか!」
二人のやり取りを尻目に藤原は腕時計を確認する
(6時20分か…)
藤原は心中で呟いた
程なくして、進行方向の先に幌馬車がこちらにゆっくりと向かっているのが見えた。
《E1からAリーダー…前方凡そ1km先に幌馬車だ》
「了解…撃つなよ」
幌馬車がどんどん近づく。藤原やイムレイを含めた4人が幌馬車へと歩み出した。
「止まれ」
車列から50mほど前方でイムレイが馬車を停める。
「な、なんでしょう…?」
幌馬車に乗るのは白髪混じりの初老の商人だった。藤原は商人を馬車から降りるよう促す。
「あっしはしがない商人ですよ…へへ…」
「分かってる」
藤原とカークスが商人を車列の方へと誘導する。
「あんた…何処から来た?」
「クダ村からですよ…なんか入り用なものありますかい?もう殆ど取られちまいましたが…」
商人は覇気のない言葉で言う
「なら…薔薇の花束は?何処にある?」
藤原の言葉に商人は目をパチクリさせる
「ば、薔薇…薔薇の花束は…手綱の中に…」
商人の言葉を聞き、藤原は無線機のスイッチを入れる
「イムレイ…薔薇の花束は手綱の中だ」
藤原は商人を見つめる。
商人はその視線に冷や汗を流している。
《…ありましたよ、薔薇の花束》
イムレイからの返答があった。
「よし…良くやってくれた」
藤原は神妙な面持ちから一転して穏やかな表情になる。
その表情を見た商人はホッと胸をなで下ろす。
「い、一応言われた通りに書き出してきましたが…」
藤原はその言葉を聞き流しつつ、ベルトに着けたポーチを漁り巾着袋を取り出す。
「報酬だ」
商人はその袋を受け取ると中を見て目を丸くする
「よ、4オーラム…!」
「ありがとう…それと…」
藤原は再びポーチを漁る
「お孫さんが病気だと言ったな?」
「え、ええ…」
「薬だ…元気になるといいな」
商人は薬も受け取るとあまりの出来事に硬直していた。
「ほら、もう行っていいぞ」
カークスが促すと商人はハッとして馬車の方へと歩み出す。途中、藤原の方へ振り向くと
「ありがとう…!」
そう告げて再び歩き出した。
「ほれ、気をつけな」
第2小隊のメンバーの一人、『ウェイン・テックス・ギャレット 伍長』が馬車に乗るのを手助けする。
「随分な老馬だな…長いのか?」
テックスが問う
「ああ…儂が商売を始めた頃からな…」
「老馬でもしっかりと手入れされた毛並み…名前はなんていうんだ?」
「こいつか?こいつはロシナンテさ」
「ロシナンテ…いい名だな」
テックスは馬を撫でる
「あんた…馬のこと分かるのかい?」
「あぁ、テキサスにいた頃カウボーイやってたからな」
テックスは微笑む
「て、テキサス…カウ…なんだって?」
「何でもない…ほら、気をつけて行きな!」
テックスは馬車を送り出す。車列の横を通って遠ざかっていく馬車を見送りながらカークスが口を開く
「4オーラムの通貨価値っていくらだっけ?」
「大体2500ドル《約40万円》だな」
「んぁ…そんなもんか」
「さ、情報も貰った事だし出発するか…」
藤原はそう言うと無線機のスイッチを入れる
「各員、出発するぞ!乗車しろ!」
オイローパ帝国軍が潜むクダ村へ向けて再び車列が動き出す。
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──クダ村から5km地点──
「こちらAリーダー…A2、そっちはどうだ?」
藤原が無線で尋ねる。
《こちらA2、準備完了…商人が持ってきた情報は確かだな。敵の配置に殆ど狂いはない》
「了解…」
藤原はハンヴィーの上に広げた地図に目を落とす。
「商人の情報によれば、敵は…ここと、ここと、ここ…あとここもか」
藤原は地図に印をつけていく。
「一番手薄なのは…村の北西か」
E1の車長が地図を指差す
「あぁ、だが今回は正面から行く」
「マジか」
「あくまで威力偵察だからな。村を堕とす訳じゃない」
「なるほど…ならどう行く?」
「E1を先頭に村の正面から攻撃を開始する」
「あいよ…ほんじゃやりますか」
E1の車長が歩き出す
「よし、全員いよいよだぞ!最終チェックしとけよ…あとシノ…ちゃんとアーマーにプレート入れとけよ」
藤原は無線を入れる
《は〜い…これ重いからイヤなんだよなぁ…》
「お前の命がその4kgのプレートより軽いってんなら付けなくてもいいんだぞ?んな事ないだろ?」
篠原の言葉に藤原はそう告げる
《み〜んな我慢して入れてんだからワガママ言わないの》
《へーい》
E1の車長は彼らの会話を軽く聞き流しながら自車に乗り込んだ。
「初手はAP徹甲弾で行くか?」
E1の砲手が尋ねる
「いや、敵装甲車の有無が確認されてない…HE榴弾で様子を見よう…」
E1の車長はそう言いながらHE弾を装填する
「E2聞こえるか?まずはHEで様子を見よるぞ…敵装甲車が出てきたらAPを使え」
《了解…その場合、APとAPDS装弾筒付徹甲弾のどっちがいいと思う?》
「戦車でもない限りAPで十分だろう…あんま高ぇ弾使うと会社の財布に悪い」
《それもそうだな》
E1の車長は再び無線のスイッチを入れなおす。
「レディース アン ジェントルメン…御乗車の皆様、出発準備はお済みでしょうか?」
《おう!機長様いつでもイイですぜ?》
「こちらE1からAリーダー…合図をくれ」
《こちらAリーダー…全隊!作戦開始!》
藤原の号令の元、車列がクダ村に向けて突撃する…
――高さ3m弱のウォーリアがけたたましいディーゼルの音を轟かせながらクダ村に続く一本道を走る。
その異世界には不釣り合いな巨体はすぐにクダ村を占拠するオイローパ兵の注意を引いた。
『Überfall!!Überfall!!』
敵襲を意味するその怒号がクダ村に響く。
その怒号を聞いた多くのオイローパ兵が慌ただしく武器を持って達物の外に飛び出してくる。
《こちらA2…敵さんが出てきたぞ》
村外で偵察活動中の第2小隊の分隊ことA2チームが無線で報告する
「了解…ガンナー砲手!射撃用意!…E2!そっちは左にに展開しろ!」
ウォーリア1号車のE1車長が指示する。
《村と500m地点で車両停止!各員降車して戦闘開始!》
藤原の指示が無線から響く。
「よ〜し…ドライバー操縦手!停車!」
E1車長が叫ぶ
先頭のウォーリアが停車すると後続のもう1台のウォーリアが左手に展開し射撃体勢に入った。
「よし!降りろ!」
「行くぞ!GO!GO!GO!」
E1の後席に乗っていた第1小隊ことCチームのリーダーが叫びそのCチームの別の隊員が続けて叫ぶ。
ウォーリアの後部昇降口が開き、搭乗していたCチームの一部メンバーである7名が車両から降りる。
「停止!蹴散らすぞ!GO!GO!」
「「Oorah!!」」
後続のマックスプロが藤原の命令により停車すると、続けて藤原が隊員を鼓舞し、それを聞いたA1のメンバーとCチームの残りのメンバーが返答する。
降車した各メンバーが慣れた手つきで各々のアサルトライフルをクダ村の方へ向ける。
「ミゲル!!ブローニングで支援しろ!」
藤原が叫ぶとマックスプロの銃座担当だった『アレハンドロ・ミゲル・エルナンデス 伍長』はすぐに敵に向けてブローニング M2を掃射し始める。
「A、Cが展開したぞ!Fire!Fire!」
隊員達の展開を確認したE1並びにE2が砲撃を開始。
ウォーリアの主砲である30mm機関砲が腹の底を震わせるような轟音を立てながらクダ村に展開する敵部隊に榴弾の雨を降らせる。
「マックス!カークス!11時方向!建物の陰だ!」
藤原の指示を聞いた彼らは指定の方向に射撃する。反撃を受けたオイローパ兵は建物に身を隠しながらkar98k小銃で応戦する。
「異様に少ない…か?」
藤原は展開する敵兵の数にそう呟いた。
「ざっと50人くらいってとこですかね?」
篠原は銃撃の合間に藤原の呟きに対して答える
「村の規模的には妥当な数だな…だが少なすぎる…」
「ここにこんだけしか居ないとは考えづらい…この村に居るのはほんの一部で他は別の場所に潜伏してる可能性があるな」
「ああ…空軍にもっと広範囲に偵察機を飛ばしてもらわないとな」
藤原とグレックは銃撃戦の最中でも冷静に状況を分析しつつ会話を続けた。
「AリーダーからA2!そっちの状況は?!」
藤原は偵察中のA2チームに問い掛ける
《今からドローンを飛ばして細かく確認する!》
「了解!」
A2チームのリックがテックスに手振りで合図するとテックスがバッグから小型ドローンを取り出す
《よし…ブラック・ウィドウを飛ばす!》
テックスが操作する小型ドローン、ブラック・ウィドウが上昇を始める。
《恐らく村の北西にある宿舎がコイツ等の兵舎になってるみたいだな…現在敵部隊は村正面左手に30名、右手に15名…おっと不味いぞ!A、Cチームの左手…E1から約4200ミル、236°方向に敵部隊約40…いや!60名弱!回り込んでるぞ!》
テックスが吠える声が無線から鳴り響く。
「Cリーダー!E1から4200ミル方向!敵接近!!」
《了解!Cチーム、迎撃するぞ!》
《こちらE1!こっちも援護する!》
Cチームの一部である6名とウォーリアが側面からの挟撃を企むオイローパ兵を迎え撃つ。
《まずい!E1!9時方向!》
テックスの無線のすぐ後、E1の車体左側面に火花が散る。金属同士がぶつかり合う鈍い音が一帯に木霊する。
「E1被弾!大丈夫か?!」
藤原は無線越しに声を張り上げる。
《…問題ない…!くそ!増加装甲がなければやられてたぞ!》
E1車長の報告が届く。藤原はその言葉に安堵したのもつかの間、直ちに状況を確認した。
「9時方向!Ⅱ号戦車だ!」
《了解!こちらE1!AP弾に切り替えて応戦する!》
E1ことウォーリアの砲塔が敵のⅡ号戦車へ指向する
《Fire!》
ウォーリアの30mm機関砲弾が敵戦車に直撃した。
2弾倉分である12発の直撃の後敵戦車は沈黙した。
《敵戦車沈黙!》
《気をつけろ!MG34!!》
その直後、敵の機関銃からの十字砲火が始まる。
「機関銃を黙らせろ!」
《任せとけ!》
敵戦車を仕留めたウォーリアが敵の機関銃手を捕らえる。
着弾のすぐ後機関銃からの攻撃は止んだ。しかし別の機銃手によって再び弾幕が張られる。部隊が交戦の最中、偵察活動中のA2チームのリックは上空から聞こえる違和感に驚愕した。
《敵機!!上空だ!》
無線から怒号が轟く。
「!?伏せろ!」
藤原はこちらに降下中の敵機を目視すると叫んだ。
敵の戦闘機、Bf-109E-3が彼ら目掛けて機銃を掃射する。
「無事か!」
「なんとかな…怪我人は無い!」
「もう1機!スツーカだ!」
「スツ…なんだって?」
「攻撃機だ!」
カークスの言葉に端的に返答する藤原。
敵の対地攻撃機、Ju-87A-2がE2に250kg爆弾を投下する。独特の風切音が一帯を切り裂き地面に激突して爆発した。
《1名負傷!》
Cチームの1人が爆風を受けて吹き飛ばされてウォーリアに激突した。
「ああ…ちくしょう…腕の骨が折れた…!」
負傷した隊員が悲痛の声を上げる
「人間には215本も骨があるの!1本ぐらいなんだ!」
同じCチームの衛生兵が励ますように言った。
《E2!対空戦闘に切り替えろ!》
《了解!HEI-T焼夷閃光榴弾に切り替える!》
E2が弾種を変更後、対空戦闘に切り替え30mm機関砲弾が空を切り裂く。
しかし相手も生半可ではなく、機体を巧みに操作して砲弾を回避していく。
やがてFCSの差によって数発が機体に直撃し敵のBf-109は炎上し高度を失っていく。
《よぉし!どんなもんだ!》
E2の砲手が歓喜の声を上げる。
「近接航空支援か…!」
「俺達の戦い方を勉強したみたいだな…奴さんもバカじゃねぇって事だな…」
藤原の一言にマックスプロの機銃手であるミゲルが答える
「ああ…しかもこの速さ…地上と空の連携を強化したな…!負傷者はE2に収容しろ!」
藤原の指示により、Cチームの2名が負傷した隊員を対空戦闘中のウォーリアの後部に収容する。
ウォーリアが残る攻撃機に標的を変更する。
攻撃機は上空で180°回転して急降下で向かい一騎打ちのような形になる。
十数発の射撃の末、エンジンや主翼に直撃を受けた敵機が炎上しながら操作を失って彼らの遥かで前に墜落した。
「もう十分だ!撤退するぞ!」
藤原の一言により隊員達が車両の元へ戻ろうとし始めた。
相手にその隙を突かれないようにする為に一部が相手に火力を投射し、残る一部がその間に移動。移動が終わればその者たちが火力を投射して移動の支援をする。
第2小隊のメンバーである『エドワード・リプレイ 軍曹』が移動の為に銃を降ろした刹那、胸に弾を受けてその場に倒れ込む
「エド!」
藤原は咄嗟に叫ぶ。
「シノ、ミゲル、マックス!援護しろ!カークス!俺と来い!!」
藤原が短く端的に命令する。援護組の3名は速やかに援護射撃を開始し、それに合わせて2人が駆け出す。エドワードの元に着いた藤原はすぐにM4A1を構えて隙を作らないよう弾幕を張り、カークスは彼のボディーアーマーを掴んで車両の裏まで引き摺り始める。
カークスの引き摺るスピードに合わせて藤原もゆっくりと後退していく。
やがて車両の裏まで彼を引き摺り終え、藤原は車両の陰に身を隠しながら援護射撃を継続しその間に篠原、マックス、カークスが苦痛に顔を歪ませる彼の容態を確認する。藤原も横目でチラチラと伺う。
「…こいつは…」
マックスが呟く。
「何痛そうな顔してんだよ!ちゃんとプレートで防いでるぜ!」
そして穏やかな表情になったカークスは彼の肩を叩く
「ゴホッ…だとしても…痛ぇんだよ…」
エドワードは咳き込みながら言う。
「よし…入れ!」
藤原は安心しつつ彼らを乗ってきたマックスプロに乗車するように促す。
「全員乗ったか?」
《収容完了!行けるぞ》
Cリーダーから返答がある。
「AリーダーからA2!これより撤退する。合流地点で落ち合おう」
《了解…こっちも撤退を始める》
ウォーリア2両とマックスプロがなおも射撃を続けながらゆっくりと後退を始める。
「E1からE2へ!スモーク!」
E1車長の号令により、2両のウォーリアが煙幕を展開。煙幕により敵の視界を塞ぎ、転進して後退を始め藤原達が乗るマックスプロもそれに追従する。
2時間程の戦闘の後、クダ村に静寂が訪れた…




