アミュの誤算①
(えっ!今世はブラウド狙いなの?・・・まさか、前世の最後でアレインが虚弱体質な噂を知ってしまったの?)
だが、それがブラウドらが流した嘘の噂だとは、ミレイも知る由もないだろう。
アミュもブラウドに言われるまで、全く気が付かなかった程に巧妙だっだからだ・・・
(バカな女め・・・・今度は婚姻の儀も出来ず、ブラウドと共に国でも出るが良いわ!)
その時にはアミュは王家の仲間入りを果たし、栄光を掴んでいるのだ。
そう思いアミュは密かに微笑む。
しかし、ミレイの余裕そうな笑みを見ていると、何か裏が有りそうな気がした。
(もしかして、アレインの《何か不良点》があるのかしら?)
前世の時は、アレインの虚弱体質の為に早期離脱・・・ブラウドと共に王妃になる・・・と計画立てていたから、アレインを良く観察、身辺調査はしなかった。
(これはアレインに近付く前に、ある程度は調べておくべきね・・・それに気付かせてくれた事にはミレイ感謝かもね・・・)
だからといって予定を変える気はない。
上手く行けば、この国で最高の『女性』の地位になるのだから・・・
そこに居る自分を想像するだけで、倒れそうな程の幸福を感じる。
(今世は失敗しない為にも、色々と裏工作をやっておくべきね・・・えっ?)
ミレイとは帰る家は一緒に成ったが、お互に《色々》とある為、行き帰りは別々に行動している。
アミュはついつい前世の習慣なのか、リガレンダル家の方に歩いて居た。
いや、リガレンダル家に入ろうとしまっていた。
「何方様ですか?・・・ココはリガレンダル家の敷地ですよ?」
その声に、アミュはハッとして立ち止まった。
そして、その声の主の方を振り向いた。
(コイツがサラか?)
現れたのは、清楚そうな可愛いというより綺麗が似合う女性だった・・・
「あら?貴女はゴルゴット家の・・・《養女》アミュさんでしたっけ?」
サラの養女の語言に力が入っているのが若干気にはなったが、アミュは愛想笑いを浮かべた。
「ボンヤリ歩いてたら、つい門に入っちゃって・・・ごめんなさいね」
そう言ってアミュは何食わぬ顔で、ココを去ろうとしたが・・・
「ミレイから、何か指示でもされましたか?・・・止めといた方が身の為ですよ!」
サラは優しい口調なのに、何故か冷たいナイフの様な鋭角さが有った。
(コイツ・・・彼女も、もしかして転生者なの?)
ミレイからは、サラはゴルゴット家をお出された後は、数年務所に入れられ、出た後はこの国を出た。みたいに聞いている。
「また、バカな事を考えているのかしらね〜あの子は・・・」
深いため息を付いた後、サラはアミュを見つめた。
「・・・今世を《このまま》突き進むなら、私に関わるのはお勧めしないわ!・・・いずれにしても、《貴女も》失敗するけどね」
そう言い残すとサラは、何事も無かったように奥に消えていった。
(どういう意味よ?・・・失敗するって何を?)
そのサラの不思議な雰囲気に、アミュは飲み込まれそうになった。




