ミレイの誤算①
(どういう事よ!彼女って地頭凄かったんじゃん?)
しばらくは牽制仕合をして過ごして来た2人だったが、学校の試験発表で驚いてしまった。
自分より成績が良くないと思っていたアミュが自分と同等であり、クラスで上位だったからだ。
(コレって油断してたら私が負けるかもじゃないの?一体いつの間に勉強していたのよ?)
家ではそんな様子はなかった。
さすがにアミュも家では養女の為、ミレイを立ててくれはしたが、あのアミュだから裏では着々と工作を練っているのだろう。
それはミレイも一緒で、前世同様に味方を増やす方向に持っていっている。
ただし侍女の支配は、彼女の母が侍女の長なのでアミュに軍配が上がってしまう。
アミュの母親はミレイの母と違って、出世欲に満ちた人の様でアミュの計画に乗っかって来ているようだ。
ただし、アミュの母親はオシリス大卿と関係を持つ事は無さそうだ・・・
というのは、ミレイの母とは本当に相思相愛で常にベタベタしていたからだ。
娘のミレイですら、付け入る隙が無い位なのだから・・・
ふとミレイは、前世のオシリス夫婦の様子を思い出してみた。
前世の正婦人は確かにオシリス大卿を愛していたとは思うが、今ほどベタベタしていた記憶は無い。
常に控えめに旦那様を支え、家の事を把握し指示してきたし、しっかりとした人だった。
(誰もが『これが貴族の夫婦』って感じの夫婦だった気がするわ)
ミレイも養女になってからも、いくら擦った所で正娘のサラより可愛がられた記憶は無かった。
その分、オシリス大卿には可愛がられたからこそ、サラを罠に嵌めて大罪人に出来たのだが・・・
最後まで、サラを信じていたのも・・・あの婦人だった。
(あれ?コレって・・・)
その時、ふとミレイがトップ5の名前を見ると・・・
そこにサラの名前が有った。
No.3 サラ・リガレンダル
(リガレンダルって、前世のアミュの実家じゃないの?・・・)
その時、前世でアミュが後妻の連れ子だった話を思い出した。
「・・・そうよ。前世の母の前の妻は父と離婚させたられたそうよ・・・オシリス様の親の権力で・・・」
そう言って現れたのは、例のごとくアミュだった。
「無理やりにオシリス様とは結婚させられたの・・・でも、今回はオシリス様が強引に身分が低い侍女の貴女の実母と結婚したようよ!」
そのアミュの言葉で、あの2人の関係性がわかる気がした。
(だから、私から見ても仮面夫婦っぽかったのかもしれないわね・・・えっ?待って、って事は・・・)
「・・・そうよ!前世は早々に退場させた筈のサラが、私の時と同じ流れならば『王家の嫁入り候補の最終エントリー者』になる可能性があるわ!」
その言葉に、ミレイも頭が痛くなった。
あの時もアミュと事前交渉し、被らない様にしたからアレインを手に入れられたのだ。
「そこで、残念なお知らせで〜す!
アレイン様は私がもらいま〜す。何だったらブラウドと結ばれるようにしてあげようか?」
その意気揚々としたアミュの宣言に、密かにミレイは希望が生まれた。
「そうね・・・共倒れは嫌だから、それも面白いわね・・・じゃあ、貴女の知っているブラウド攻略を教えてよ」




