アミュが〇〇された日②
「ブラウド様、私も騙されたのです!あの悪女の策略なんですよ!」
ミレイが囚われた後、アミュも警部の1部屋に入っていた。
そこに現れたのは、アミュの婚約者であるブラウド王子だった。
「・・・無駄な足掻きはよしなよ・・・全て最初から分かっていた事なんだから」
深いため息を付きながら、ブラウドは持っていた資料をアミュに突き付けた。
「ま〜王家自体が転覆する様な大事では無いけど・・・責任は取らないといけないよね?」
その言葉には、それまでアミュに見せていた優しい甘過ぎる表情は一切ない。
「・・・私はただ貴方様と結ばれたかった!・・・それだけなのに・・・」
アミュは、本気で泣き崩れた。
「僕を得てどうするつもりだった?・・・病弱な兄のかわりに僕が王に成るのを待っていた?」
そのブラウドの言葉に、アミュはピクリと動いた。
「兄の病気の件を知っていた君は凄いけど・・・逆に愚かだね」
兄の婚約者であるミレイも、知らされていない話なのだから・・・・
「・・・もし、それが《真実》なら、どうして父は兄に王位を譲ると宣言したとおもう?」
そのブラウドの問いにアミュは首を傾げた。
(国王様が、その事を知らなかったか?いや、周りが話さない訳はないだろう・・・)
ブラウドとは1年以上の付き合いで、王家には弟であるブラウドを次の王に推薦している者も多数いた筈と聞いている・・・そういった連中が黙っている理由は無い。
「答えは簡単。それが流した嘘だったからだよ・・・確実に兄に王位につかせる為のね」
そのブラウドの言葉に、アミュは再び首を傾げた。
それが流した嘘ならば、兄であるアレインはその嘘により王位継承戦に不利になる筈だ。
「兄と争う気が無いからだよ」
兄が病弱ならば、弟派の者達も継承戦に勝つ為にと兄に強引な手出しはしないだろう。
そうすれば、争う事なくお互いが安泰なのだ。
その間に、弟派の過激な連中を除外して、兄がしっかりと地に足を付けて王位につけば良いのだ。
「それに・・・この際だから言っちゃうけど・・・僕は兄の戴冠の後はこの国を去ろうと考えているんだ」
そのブラウドの言葉に、アミュは驚愕した。
「まさか・・・始めから私は王妃には成れなかった訳なの?」
思わずアミュは口走ってしまった。
考えてみたら、王家なのにこの婚約まで大した妨害も圧力や障害も無かった。
「・・・王にはその話は、君と付き合う前からしてあるし・・・実は既に承諾も戴いていたよ。
ま〜《条件》付きだけどね〜」
そう言うとブラウドは立ち上がって、アミュの元を立ち去っていった。
おそらく、その話をした裏には、アミュの魂胆を見抜いてだろう・・・
もし、冒頭の言葉のままの意味なら、「貴方が王位に就けなくても付いて行きます」的な言葉を期待していたのかもしれないが・・・
残念ながらアミュにはそんな気は無かった。
そこも、ブラウドには見透かされていたのだろう・・・
(私の完全な選択間違いだった・・・・)




