ミレイの気が付き①
(サラは、確かに《皆が〇ぬ事はなかった》と言ったわよね?)
皆とはどういう事だろう?・・・
自分達以外にも、あの件で〇んだ人がいたのだろうか・・・
そういえばミレイがアレイン王子と婚約してた頃、ゴルゴット家での思い出が無い。
アレイン王子を攻略する為、王城の1角に居座っていて、ゴルゴット家には殆ど帰らなかった。
『好きにやりなさい』
あの頃のオシリスはミレイに凄く優しかったが、何処か病んでいた様な気がする。
(無理はないわよね・・・大切な人を次々と失っていたのだから・・・)
最終的には自分すらも、オシリスの元を去ってしまったのだから・・・その心の傷は計り知れない。
ふと、ミレイは我に返った・・・
考えてみたら、自分にとって大切な人など居たのだろうか?と・・・
王子達ですら、自分が成り上がる為に『利用する道具』でしか無かった。
友達もただの表面的な友好関係で、利用価値が無くなれば切り捨てて来た。
騙し騙されまいと、関係情報を掻き集め、周りに対抗してきた。
自分の母ですら《障害》になると切り捨てた・・・そんな自分が王子達に切り捨てられるのは当然なのかもしれない。
(私の《願い》ってなんだろう?)
前世では、大卿の愛人の侍女長の娘でしかない事を妬んでいた。
他の貴族の娘達が何の苦労もしないで、レール通りの幸せそうな顔に虫酸が走った・・・
自分では何一つ出来なく、落ちていく醜い姿に笑いが堪えられなかった事もあった。
だが、実際はどうだったのだろう?
オシリス大卿は、ミレイを自分の娘としてサラ以上に育ててくれたのではないか?
それはサラを貶める前から、何一つ変わらなかったのではないか?
なのに自分は《もっと自分だけ愛されたい》《誰よりも評価されたい》とサラを勝手に敵視して貶めていた。
そのわりに、正娘に成ったら成ったで、ミレイはその事を気にもかけていなかった。
今考えてみると・・・もしかしたら、それがあの結末を生んだのかもしれない。
今世は、ミレイは大卿の本当の娘・・・他から、その地位を狙われる立場なのだ。
もしこの地位から落ちれば、王子に会う事すら難しくなる・・・大卿の娘だからこそ王家のお眼鏡に引っ掛かる事が出来たのだ。
(あれ?そういえば・・・私を王家に推薦した祖父を見てないわね?)
祖父は、地位にこだわる厳格で、家の者に厳しい人だった。
いつも何かに、怒ってる印象だった。
ゆえに、今世の様に家族(使用人を含む)が笑い合っているのを見た事も無かったような気がする。
(・・・そうだ!私がサラを敵視したのは、貶めたかったのは・・・祖父の影響だ!)
祖父はミレイ母子の存在を嫌っていた。
不貞の子と罵られた事もあった。
直接手を出された記憶は無いが、母はよく叩かれていた。
(・・・だから、ゴルゴット家の正式な娘の地位を確実にしたかったんだ・・・)
そして『戦略結婚の駒』として、祖父はアレイン王子に近付かされたのだ。
(自分の意思でしたがったと思っていたけど・・・もしかして祖父に刷り込まされていたのかもしれないわね)




