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ミレイが〇〇された日①

(ようやく、念願だったこの『地位』に上り詰められたわ!)

ミレイは控え室で上機嫌になった。

もうすぐ自分はこの国の第一王子(次の国王確定)と婚約する。

この国の大卿の愛人の子に過ぎなかった自分が、大卿に見初められ、正妻の娘を蹴落とし、正式な大卿の娘となり、今度は王子に愛され王妃になれるのだ。

これ以上の、シンデレラストーリーはないだろう。

(これも、私の美貌と知力のおかげね・・・)

それまで蹴落として来た義理母、その娘・・・そしてライバル達の末路を思い出すと笑えて来た。

(私と争おうとする事が、アンタラの最大の間違いだったのよ!)

ミレイは生まれた時から、特別だった。

たしかに実母は大卿の愛人だった侍女長だったかもしれない・・・

だが、この家族の全てを把握していた立場だった。

大卿も、ミレイを我が子の様に接してくれ、ワガママを許してくれた。

正妻の母娘も、こんなミレイを《妹》の様に受け入れる『お人好し』だった。

(ホント、やり易かったわ・・・)

大卿の信頼を勝ち取り、裏で正妻の娘を苦しめた挙句に、大罪をでっちあげて・・・実娘を大卿に失望させて家を追い出させた。

(誤算だったのは実母が、怪しんだ事よね〜

ま〜始末したから良いけどさ)

実母は真面目で、「オシリス様(大卿)に仕えさせて貰えただけでも幸せです」とか「一時でも、オシリス様と添い遂げられただけで十分です」という謙虚な人だったので、ミレイの悪事に気が付いていたのかもしれない。

告発されるのを恐れたミレイが、野党を雇い実母を始末したのだ・・・

(実母とはいえ、この私の《計画》を邪魔する者は、消えてもらうのよ!)

実母を消し、正妻の娘を追い出し、その《傷心》を装い大卿を洗脳して地位を確実なモノにした。

ちなみに大卿の正妻は娘を失った事に病気になり、床に伏せた後に亡くなっている。

それで満足出来なかったミレイは、大卿の娘という地位を使い、王子を誘惑する事にしたのだ。

(王子と実娘が面識が有ったのはラッキーだったわね・・・おかげでスタートから他の奴らよりリード出来たわ)

実娘の妹です。から始まり、実娘の不点を刷り込み、自分を売り込む事が出来た。

他の候補者に対しても大卿の娘の権力と情報力を使い、蹴落とす事に成功した。

(それに協力者のアミュには感謝しないとね・・・いや、婚姻が決まった今は《消す》べきかしらね?)

ミレイはそう考え、自分の侍女に命令しようとした時だった。

「ミレイ大卿嬢・・・悪いのですが、この婚約の儀は中止です。」

そう言って、乱暴に扉を開けて入って来たのは、この国の警部の男性達だった。

「ミレイ大卿穣・・・貴女には幾つかの罪状の疑いがございます。ご同行をお願いしたします」

正面の男がそう言うと、後ろに控えていた男達が縄でミレイ達を縛ろうとする。

「待ちなさい!私が誰か分かっているのですか?」

そう自分は大卿の娘だ!証拠隠滅もしっかりしていた筈だ・・・捕まる事は無い!

そう思った時だ・・・

(えっ?何であの子が・・・)

そう扉の向こうに居たは協力者のアミュだった。

(・・・勘付いたのか?クソっ!先手を出されたのか?)

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