細心の注意を
我らが主人に招待状が届いた。
それの意味することは何か。
「御披露目はまだ先の予定でしたが」
「どこから情報が出たのか、ですね」
「私たちは話してません」
「自分達も」
「疑ってなどいませんよ」
「考えられるとしたら、仕立て屋とかの業者か」
「完全には消せれないですから」
「……変えますか?」
「いや、それはしないですよ。あの方のお気に入りですから。だから、守ってきたのですから」
「届いたものについて考えても仕方ありません。ここからの話をしましょう。どうされるか聞いていますか?」
「はい。興味を示されていました。招待を受けられるでしょう」
「では! 新しい服のお仕立てを!」
「それは、あまり好ましくないかしれません」
「なぜ?」
「あるもので可能ならそれがよいようでした」
「既製品であればいくつかありますが、主人にあわせてというのは、ないのでは?」
「お茶会のような場に出るのでは、仕立てるべきかと」
「その辺りは私から説明しましょうか」
「カンパニュラ様」
「お金のことも気にされているでしょうし、歴代の主人も同様にされていたとお伝えすれば、自分だけではないと思って、甘えてくださると思いますが」
「……カンパニュラ様のお言葉であれば耳を傾けてくださるかもしれませんね」
「ナズナさん。あなたがよければそうさせてください」
「……主人のためであれば、私が口を出すことなどございません」
「ありがとうございます」
「……さて」
共有しておくべきことは話さなくては。
「どこから、何があったとしても、予想外のことがあろうと、我々ごとき、あの方、主人の身に起こることは、すべて当たり前。当然のこととしましょう。我々には分からぬことだらけで、当然です。尊い御身。あの方を守ることが我々のつとめです。細心の注意を。よりいっそ、気を引き締めて」
どこからの、情報であろうと。
あの方の前ではけして、取り乱さない。
何があっても平然と。
当然のごとく。
自然体で。
招待先の思惑をすべてへし折っていきましょう。
それが、主人のそばにいるための理由なのです。
我々ごときをお側に置いてくださる主人への、感謝と敬意。
そして、アイのために。




