Episode 38.私と弟子は血族かも知れないのです。
「リスティス?済まなかったね…。お前さんの事…全然分かってなかった。ほら、ヴィレースも謝りな?」
「すみませんでした…。」
私とヴィレースはリスティスに頭を深く下げました。
「あの…。アルシェ?その姿は一体…何な…の?」
「私かい?アーシェの育ての親で…この前のクロヴィスの元妻のアヴィレネーナさ。それで…この子はヴィレースと言って…クロヴィスとの間の子供の一人娘でね?」
私はリスティスにヴィレースも含めて軽く紹介をしていたのですが、リスティスが強く発情し始めました。
「アルシェは…悪魔な…の?あ…あ…身体が…あつい…あついの!!…ユーレ?ユーレ!!お…お願い!!」
ここは当主の部屋なのですが、リスティスは我慢の限界を迎えてしまったようでした。
「リスティス…?ガマン…デキルカイ?」
すかさず、ユーレがリスティスに声をかけました。
「我慢…出来…ない!ユーレ…む…り!!無理!!ユーレ!!お願い!!」
リスティスは口から涎を垂らしながら、片方の手で自分の身体を触り…もう片方の手でユーレを手招きし始めました。
「困った子だね?ンッ…」
私はリスティスの唇を自分の唇で塞ぎました。
――――
リスティスに掴まれて濃厚な口付けになっておりました。
「アルシェ…?今…私に何をしたの?!」
急にいつものリスティスに戻ると…私の唇から離れました。
ダメ元で…リスティスの口から今発動している『発情』の残り分を吸い取ってみたのですが、成功したようなのです。
「はぁ…。一体これはどう言う事だろうね…。」
アーシェとヴィレースはリスティスの様子から察したようでした。
「時間切れみたいだ…。『変身解除』…。」
私の身体から多くの闇が解き放たれると、元の十六歳の高等生の姿へと戻りました。
「アヴィレネーナ様が自らの血族だけに出来る『吸取』で…リスティスから『発情』の残量を吸い取れたと言う事ですよね?!」
アーシェは驚きを隠せない様子で、興奮気味でした。
「アーシェ…?実は…私の血が入っているんじゃない??」
「それって、私が…アヴィレネーナ様の血族ってことですよね?!でも…私、親の顔も知らない…産み落とされていた孤児ですよ??」
私とアーシェのやり取りを聞いていたヴィレースは何か気づいた表情を浮かべました。
「そう言えば…私の叔母様は何者かに連れ攫われて生死も不明なので…もしかしたら…。」
「うんうん。クロヴィスが言っていた話だよね?でもね、五百年以上前、私が幼いアーシェが一人でいる所を見つけて、養子にしたから…。」
私達は…考え込んでしまいました。
「間違いなく言えることは…アーシェに連なる子孫全ては…私の子孫ってことだよね?」
「あぁ…!アヴィレネーナ様の血が私達にも!!」
その話に目を輝かせるのはアーシェだけだろうと思っていましたが、レスティアお母様は何故か私の手を握り…うっとりしております。
「アヴィレネーナ様?昔、血脈を調べる事が出来る悪魔居ましたよね?」
その隣で、アーシェが数百年も昔の話を急にしてきました。
「確かに…名前はニューゼルだったよね?私とアーシェだけで、少し魔界に探しに行く?」
「あのぉー?お祖母様は元いた世界には行けませんよー?ほぼ人間ですから!」
私と探しに行く気満々のアーシェでしたが、それを聞いてがっくりと肩を落としました。
「ヴィレース?悪いけど…アーシェとニューゼルを探しに行って来てくれる?」
「お祖母様の頼みあらば…誰とでも参れますよ?では…行きましょうか?アーシェちゃん。」
アーシェとヴィレースの二人については、どうも気が合わなそうな感じなので少し心配です。
とは言え、魔界の他の地域に私は行くことは容易には出来ないので、仕方ありませんでした。
「じゃあ…二人ともお願いね?」
二人は頷くとヴィレースが空間転送の門を出してアーシェが先に入って行きました。
「お祖母様?良い子にしてて下さいね?」
「それはこっちの台詞だよ!アーシェと仲良くね?ヴィレースの方がお姉さんなんだから。」
ヴィレースは何も答えず門の中へ消えていきました。
「ユーレ?…身体がゾワゾワする…。」
「リスティス、マッテテ?」
リスティスが身体の違和感をユーレに訴えると、ユーレがリスティスを覆ってあげようと体勢をとりました。
――ビュンッ!
「リスティス!!」
「これって…リスティスの身体に紐付けられてた、魔界の小屋に置かれてる空間転送の門が壊れてないってこと?何で?!」
今この場にいて戦力になるのは…私とユーレくらいしかおりません。
「ユーレ?行くよ??」
「ハイ!アヴィレネーナサマ。」
そう言うと、ユーレの手を繋いだのですが…結構冷んやりしており変な感触です。
「コレベンリデスヨ?ミエナクナレマス。」
そう言うとユーレは私の身体を覆いました。
「…ヒヤッ?!ユーレ冷たいよ…。」
「アタタメテアゲマスヨ?」
ユーレが言った直後、じんわり身体が温まってきましたが、こんな事してる場合じゃありません。
「お母様?アーシェ達が戻ったら伝えて??魔界にリスティス助けに向かったって!『空間転移』!!」
――ビュンッ!
私とユーレの姿は当主の部屋から消えました。
――スタッ…
「リスティスちゃん?今夜は俺の所…」
丁度、私とユーレの姿が現れた時、リスティスは小屋の中で複数の上級悪魔に詰め寄られておりました。
「…に来る約束だったよね?」
「あの…発情期終わりましたので、今日から暫く休もうかなって…。」
「え、終わったの?実は、今日はこれからリスティスちゃんが主役のパーティを外でするんだけどなあ?」
ユーレが、降り立った瞬間『透過』を使っており私達は向こうからは見えなくなっておりました。
「『変身』!!」
いつものように闇が私の周囲を覆いました。
「おい!!誰だ!!」
――ブンッ!!
リスティスに詰め寄っていた上級悪魔の一人が、私を覆う闇に攻撃を加えましたが、空を切りました。
「な…何なんだこれ!?」
――ブンッ!!
今度は別の上級悪魔が攻撃を加えましたが、こちらも同様の結果になりました。
その隙にリスティスは後退りをしながら、クロヴィスが床に埋めた門の方を目指しておりました。
――ギュッ!!
「いやあっ!!」
「ダメダメ?リスティスちゃんは、今からパーティの主役なんだからさ?」
リスティスの行動は上級悪魔達に見抜かれてしまい、手足を押さえつけられてしまいました。
私とユーレはと言うと、変身の際の闇が私の身体に取り込まれる際、私の身体を覆い守ってくれていたユーレも一緒に取り込まれてしまったのです。
「もう!!女の子にそんな無粋な真似するんじゃないよ?」
――ズシャッ!!
リスティスを掴んでいた一人の上級悪魔の頭を、私の腕が突き抜けました。
――ピロン!
「おや?一体何だいこの腕は??」
腕をよく見ると、ユーレのような色の鋭利な刃物に変化しており、それが上級悪魔の頭を貫通していたのです。
「お…おい!!そいつを離せ!!」
「ああ。」
――シュッ…!
音と共に上級悪魔の頭から刃物となった腕がスルッと抜けると、元の私の腕に戻りました。
――ドサッ…。
「し…死んでるぞ!!」
頭を貫通された上級悪魔が支えを失い、床へ倒れ込みました。
貫通された周囲の部位から崩壊が始まっておりました。
「さて?次は誰が相手だい??そこのお前さん、リスティスから汚い手を離しな?」
「喰らえ!!」
――ビュンッ!!
一人の上級悪魔が至近距離で私に向かい攻撃魔法を放ちました。
――ドスッ!!
「やったぞ!!」
私のお腹の辺りに魔法が命中してしまい…身体に大きな穴が空いてしまいました。
「ゴフッ…。当たっちまったみたいだね…。ゴフッ…ゴフッ…。」




