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あくまでも裏の英雄はじめます。  作者: 茉莉鵶
Chapter 4.青春期編
37/52

Episode 37.叔母が悩んだ末の行動だったのです。


 私はリスティスに対して、非難の言葉を投げかけながら変身を解いたのです。

 だからリスティスは私である事に気がついたようです。


 「ねぇ…?昔みたいな優しいリスティス叔母様はどこに行ったの??ねぇ…アルリスは?アヴィルグは?ユーレは?どうしてるの??」


 「…。」


 私の問いかけに、リスティスは無言で俯きました。


 「ねぇ?リスティス叔母様?家、帰ってるの??」


 「…。」


 二度目の問いかけにも、リスティスは無言を貫こうとしました。


 「アルシェ様はお優しいかも知れませんが、私はクロヴィスの孫娘ですので?」


 ヴィレースはそう言いながら、リスティスの頭頂部に右手を当てがいました。


 「何故でしょう?この女、『記憶読取』が出来ないどころか…『記憶改竄』も出来ないように魔法で障壁が張られております。」


 このままでは何もリスティスは口を割らないと思いました。

 その行き場の無い怒りからか…私の身体はアヴィレネーナの姿に戻っておりました。


 「へぇ?なかなか仕組まれているじゃないか?誰がお前さんを裏で糸を引いて操っているんだろうね?」


 私はそう言うと…リスティスとヴィレースの身体に手で触れました。


 ――スッ…


 次の瞬間…私達はリーズランデ家の廊下に空間転移し、現れた所でした。


 「誰か居ないのかい??」


 凄まじい二人の魔力を感じ取ったのか、アーシェが飛び出て来ました。


 「アヴィレ様?!何故…リスティスを連れておいでなのですか!?」


 リスティスの姿を見るなり、アーシェは驚きの声をあげました。

 すると当主の部屋から、レスティアお母様も顔を見せました。


 「アヴィレネーナ様…どうしてリスティスを?もう…リスティス?暗い顔してどうしたの??」


 「…。」


 やはりお母様も、私がリスティスを連れて来ていることには驚きの声をあげていました。

 お母様はリスティスに対し、心配そうに優しく声をかけたのですが…俯いたまま無言でした。


 ――スタッ…


 「リスティス?カオイロヨクナイヨ?ダイジョウブカイ?」


 アーシェは急いで、自警団までユーレを迎えに行ってくれたようです。


 「…。」


 こちらも、夫であるユーレの言葉に対しても…リスティスは俯き無言のままでした。


 ですが私は感じた事が一つありました。

 何故か、魔界に入り浸りのリスティスに対し…リーズランデ家の大人は温かく見守ってあげているようでした。


 「なぁ?私が聞きたいのは…一体この何月かの間でリスティスの身に何があったのだ?」


 「あ…。その件は、アヴィレ様?私から…詳しくご説明させていただきたいと思いますが…宜しいでしょうか?」


 リスティスを庇うように私の前に出て来たアーシェがそう言ったので、私は軽く頷きました。

 するとアーシェは、私、ヴィレース、リスティス、ユーレを当主の部屋に招き入れたのです。



 ――――



 アーシェは当主の部屋で、リスティスが今の事態に陥った経緯を話し始めたのです。


 イチオの洗脳が解け、魔瘴気も取り除かれ正気に戻ったリスティスは、ユーレやアルリス、アヴィルグと再び暮らし始めました。

 その日のうちに、ユーレはお父様が団長をつとめる自警団へ入団しました。

 アルリスは女学院へ家から送迎で通学、アヴィルグも英雄候補学院へ家から送迎で通学するようになりました。


 最初の異変は、リスティスが当主の部屋の執務室に一人で居た時の事でした。

 身体に手が這いまわる感覚があったそうなのですが、その時はそれ程気にはとめなかったようです。


 暫くして、寝室で横になった際、再度身体に手が這いまわる感覚がしたそうです。

 その時は治るどころか無数の手の感覚に変わり、ベッドから起きようとした所、身体が後ろに強く引き摺り込まれる感覚があったようです。


 ふと気づくと…見た事もないような悍ましい場所の地面に寝ていたのです。

 すると…数名の悪魔、小鬼、太鬼がリスティスの周りを取り囲んでおりました。

 リスティスはあまりの恐怖に手も足も出せず…その場に居た者達の言いなりになるしか道はなかったようですが、思いの外、その者達は敵意は全く無く…逆に手慣れた感じでリスティスを楽しませてくれたそうです。

 暫くの間、悪魔達が代わる代わるリスティスを楽しませていると…騒ぎを聞きつけたアヴァルウが補佐を巡回に行かせたとの情報が入り、悪魔達はリスティスにここへ来る方法と帰る門の位置を教え、帰させたそうです。


 悪魔達に楽しませて貰っていた際、リスティスの体内に悪魔の魔力が流れ込み…蓄積され、血の中で眠っていたスキルの『吸精』『発情』を目覚めさせてしまったのです。

 『発情』スキルは…本来悪魔や魔物固有スキルで一度発動すると二月程は効果が継続される為、悪魔の身体ならそれ程問題はありません。

 ですが、本来想定されていないほぼ人間のリスティスにとっては堪え難い身体の疼きで、楽しませてもらう事以外考える余裕が無くなっておりました。

 因みに『吸精』とは、自らの身体に男性の精液を取り入れる事で、身体の体力・怪我の回復、一時的な魔力量の増加、身体の栄養に転換され飲食不要、吸精時は妊娠不可と利点しか無いのです。


 リスティスは家に戻り…何とか当主の仕事をこなしましたが、平静を装うのは限界で…その夜ユーレを何度も求めてしまいました。


 翌日からは、日中の職務を早々に切り上げると…先日教わった魔界へ行く方法を使い魔界へ自ら出向いては、ユーレや子供達が帰るまでの間…耐え難い身体の疼きを忘れる為、悪魔達に楽しませて貰っていたようです。


 暫くすると魔界では噂が広がり…お金がかからず人間の女と楽しめるともあって、連日長蛇の列が出来る程になってしまっておりました。

 クロヴィスはリスティスがその様な状態と知っていて、わざと私を…悪魔達が行列を作り、リスティスと楽しんでいる場所へと連れて見せたのだと今分かりました。

 更に私の前でクロヴィスは、転送の門の位置を移動させた上で、配下にそこに小屋を造らせ“リズの部屋”と名付けて、リスティスに与える様に…更にお金を取る様に言い伝えるよう指示させておりました。


 クロヴィスから“リズの部屋”という小屋を与えられたリスティスは、自分の身体のスキルを活かし…家の為にお金を少しでも稼ごうと決めたのでした。

 リスティスは、リーズランデ家の食堂に大人の家族を集めると…自分が発現した二つのスキルの事、その影響により今まで魔界で行っていた事、これから自分のしたい事を包み隠さず、涙しながら打ち明けたのです。

 この事で、このままリスティスが当主として続けるには対外的にも不適格として、姉のレスティアお母様が当主となりました。


 リスティスの夫であるユーレは、この日まで魔界でリスティスが自分以外の者達と楽しんでいたことについて…かなりショックを受けたようです。


 次の日からリスティスは、ユーレと子供を送り出してから、魔界に赴き“リズの部屋”の営業を開始しました。

 金額については、入店時にリスティスへどう楽しませるかを申告する方式が取られておりました。

 実際の支払う金額は、楽しんだ後退店前にリスティスにより告げられておりました。


 営業を始めて半月が経つ頃には、常連の悪魔や魔物が現れる様になりました。

 常連の中には、魔界の序列上位に名を連ねるものもチラホラとおりましたが、魔界の事情に無知なリスティスは知る由もありませんでした。


 困った事も起こり始め…常連客の殆どがリスティスに好意や所有したいと思う者ばかりで、営業を始めて一月も過ぎる頃には…店外や場外で小競り合いが絶えなくなって来たのです。


 しまいには一部の常連の間で、リスティスを店外に連れ出し、常連を集めてパーティをすると言う企画まで持ち上がっていたのです。


 そして…今日、このままではリスティスや家族に危険が及ぶと判断したクロヴィスが動いたのでした。


 リスティスについて…よく理解できていなかったのは、私とヴィレースだけのようです…。

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