Episode 35.叔母の豹変ぶりに驚愕です。
私は学校からの帰り…ヴィレースに魔界に連れて来られ、アヴィレネーナにまで変身させられております。
おまけに…良いものを見せると言われ、ヴィレースに手を引かれて歩いておりました。
「ほら、あのお店見てください。」
そう言われて目の前に見えたのは、”リズの部屋“でした。
小屋の入り口の前の扉には、悪魔達が順番待ちをして並んでおりその数は二十近くに及んでおりました。
「アヴィレさん?お客の中には序列上位の悪魔も居るみたいですよ?」
「ほう?そうなのかい?噂には聞いていたが…リスティス、なかなか盛況してるじゃないか?」
「あの人間もどきの女とお知り合いなのですか?!」
クロヴィスはヴィレースに教えていなかったのでしょう、軽蔑する目で私を見ております。
「なんだその目は?リスティスは、私の弟子のアーシェの子孫じゃ。」
「アーシェ様とは…どなたでしょうか?」
困ったものでクロヴィス…アーシェの事もヴィレースに教えておりませんでした。
「アヴァルウ同様、幼い孤児だったアーシェを私が拾い…育てたのだ。」
「そうでしたか…知りませんでした。ですが…あの人間もどきの周囲からアヴィレさんに似た色香がほんの微かですが出ておりまして…それが惹き付けているのではと…。」
アーシェと私の血の繋がりは無いと思います。
何せアーシェは孤児でしたし、拾ったのは私が五百歳近くなった時です。
「リスティスはアルシェの乳母だったからな?それで少し私の魔力に触れて色香が移ったのでは無いのか?」
「いえ…そう言う外的要因の感じでは無いのです…。孫の私以外にアヴィレさんに似た色香を纏う…人間もどきの分際が、悪魔達を侍らせて居る事が許せなくて!!」
完全にリスティスに対する嫉妬とやっかみが、ヴィレースを支配している…と、この時は勝手に思っておりました。
「ちょっと覗いて来るから、ヴィレースは良い子にしてるんだよ?」
「えっ?!アヴィレさん!?ダメですよ!!」
ヴィレースをそこに置いて、“リズの部屋”の行列に近づいて行きました。
「お前さん達?リスティスの具合はどうなんだい?」
「あ゛?…!?…いえっ!失礼しました!!おい…お前ら、アヴィレネーナ様だぞ?」
悪魔達の目線が私の顔ではなく…身体に集中しました。
「リスティスちゃんは、今や俺たちが一番手に入れたいモノですね。色んな事試してますが、なかなか堕ちなくて皆んな通い詰めてます。」
「おい…。アヴィレネーナ様の居る前で失礼だろ?」
「いや、全然構わないよ?ただ…リスティスを無理に従わせようなんて考えないでおくれよ?」
つい、イチオの一件が頭をチラチラと過ぎってしまいます。
「そこら辺は、ここを通ってる奴らは心得てますよ!だって…ここの所有者はクロヴィス様ですからね?下手な真似したら命が無いですから。」
「どんなことしてるか気になるようでしたら、アヴィレネーナ様も…ここから少し覗いてご覧になれば良いですよ!」
小屋のある部分に覗き穴が付けられており、見たい者は中の様子を覗き見れるようになっておりました。
「中の様子を外から覗き見られたくない奴は、追加で料金を払って一定時間塞ぐ事も出来るんですよ?まぁ、殆どの奴らは、見せつけたいので塞がないですがね?」
「そうなのか…?じゃあ…覗かせて貰うとするか…。」
私は覗いていた悪魔に代わって貰い、覗き穴に顔を近づけました。
「え…。」
そこにはとても口では言えないような光景が繰り広げられておりました。
「リスティスちゃん凄いでしょう?」
「これが…普通なのか?」
「リスティスちゃん…あれぐらいしないと全然満足してくれないですよ。おい…?そうだよな??」
悪魔達は皆ニヤけ口元を緩ませると…口々にリスティスの好きなことを私に伝えてきました。
「そういや、リスティスちゃんがお外で楽しみたいって言うから、今度ここの常連達でパーティをするんですよ?リスティスちゃん、喜んでくれると良いんですけどね?」
最近、クロヴィスが調べた所によると…私が死に序列三位が空位になってから…魔人という存在が生まれたようです。
この魔界にも魔人が出入りしているようなので…何か起きなければ良いのですが…。
――ギィィィィッ…
私が悪魔達と話をしていると”リズの部屋“の扉が開きました。
すると小屋の中から、序列九位の最上級悪魔ヤズィルが眷属の中級悪魔や下級悪魔を従えてスッキリした顔で出てきたのです。
「リスティスちゃん?また直ぐに来るからな?」
「はい!今日は楽しめました!でも…次はもう一人…追加良いですか??お代は一緒にするので?」
「欲張りだなー?分かった!!」
「ヤズィルさん、ありがとうございました!!では、お次でお待ちの方??」
リスティスが顔を出して、軽くやり取りをすると次を直ぐに呼び出しました。
「待ってたぜ?リスティスちゃん!!」
「あぁ…凄い!!どうぞお入り下さい!!」
太鬼二人がリスティスと共に小屋の中に消えて行きました。
「なぁ、ヤズィル?こんな所来てて良いのかい?」
「んだ?誰だ…いやいや嘘です嘘、冗談ですよ?アヴィレネーナ様…何でまた…こんな所に?」
私に下手な事を言って怯えるヤズィルとは好対照に、ヤズィルの眷属達は…私の身体に釘付けになっておりました。
「お前さん人間と悪魔の混血の妻が居たろ?あの子はどうしたんだい?」
「つ…妻には言わないで下さい!!アヴィレネーナ様…お願いします!!」
ヤズィルの妻は私から見てもかなりの美人で、リスティスなど足元にも及ばないくらいの筈です。
「あんな美人の子がいるのに…何でまた…?」
「妻とはかなりご無沙汰でして…。妻にはもうその気は無いようなので…リスティスちゃんの所で、思う存分楽しませて貰ってるんです…。」
それぞれの夫婦には色々な価値観があるので、今回は中々踏み込めない内容の話でした。
「そういう訳だったのかい…。なら、まぁ…あの子には言わないでおくけど、程々にするんだよ?」
「はい、ありがとうございます。でも、リスティスちゃんは…ここに通ってる誰もが、我がモノにしたいと思ってる相手なんです…。」
なんかこれ以上ここに居る奴を老婆心で相手にしても…同じ事を言うので無意味と判断し、私はこの場を後にしました。
――――
「アヴィレさん!!お帰りなさい。どうでした?」
「何か…リスティスが偶像化されてて、凄く…気持ち悪かったな…。」
「ほらほら!!アヴィレさんも思いましたか??私はそれをアヴィレさんに伝えたかったのですよ?」
私の記憶の中のリスティスとは…まるで別人のようになっていてショックを受ける結果となりました。
流石にリスティスがあの状態では、アーシェもお母様もアルリスとアヴィルグの世話を引き受けると言う筈です。
「なぁ?ヴィレース。リスティスは家には帰っておるのか?」
「時間になると店は閉められるそうですよ?家に帰って居るかまでは分かりませんが。」
アルリスとは女学院内で会おうと思えば会えるので、明日アルリスの居る小等部に行ってみることにします。
「じゃあ、このままヴィレースの家にでも寄るか?」
「はい!お祖父様に逢われてくのですね?」
私はヴィレースに向かい首を大きく横に振りました。
「いいや!!ヴィレースの部屋で、少しゆっくりするのだぞ?」
「あ…。私の部屋で…アヴィレさんと…ゆっくりするのですか…?」
全く、何を考えて居るのか…ヴィレースは顔を赤らめてモジモジとしておりました。




