Episode 34.孫娘の私への偏愛が怖いのです。
――リンリン!リン!リン!
私の部屋の玄関の呼び鈴を誰かが鳴らしています。
「はーい!!どちら様でしょうか??」
朝起きれない私の代わりに誰かが玄関の扉の前に行き、声をかけてくれています。
――ギィィィィッ…
寝室の扉が開く音が聞こえました。
「もう!アルシェ?起きなさいよ!!」
寝室の扉を開け、ベッドで半分まだ寝ている私に声を掛けてきた声の主は、フィーナでした。
何故、フィーナが私の部屋の中に居るのか…この時点では全く理解出来ませんでした。
私は、ある事に気づいてしまい…飛び起きました。
「フィーナ?何で…私の部屋の中入れたの?」
「ヴィレースさんがね?アルシェのお友達のフィーナさんでしょ?って、部屋に入れてくれたけど?」
やはり…ヴィレースが犯人でした。
何故ヴィレースが私の部屋に居るかと言いますと、実はあれから半年が経ち、今や私も高等部です。
クロヴィスが執事になった件はと言うと、最初の一ヶ月程は問題無さそうだったのですが、側近や眷属からの色々な意見が徐々に積もり、表向きはですが代わりに孫娘のヴィレースが私の付きメイドに選ばれました。
フィルネルス女学院は流石に高等部ともなると、付きメイド一人まで全ての場所への同伴が許されている為、講義も一緒に受けております。
それに加えてヴィレースはアーシェを軽く凌駕するアヴィレネーナっ子で…どこまでも付いてきて困るくらいです。
「フィーナさんを部屋に入れて静かにさせておきませんと…アルシェ様が周囲のお部屋から騒音で怒られてしまいます。」
「何よそれ!!私がうるさいって言いたい訳??」
ヴィレースはにこやかに無言で何度も頷きました。
「まぁまぁ…二人とも朝からやめよ?」
いつもの事なので、程良い頃合いを見計らって間に入るのです。
こんな私の気を引きたいが為の小競り合いは本当に可愛いものです。
この半年の間に、魔人の動きが活発になってきておりました。
クロヴィスは黒幕がまだ分からない以上、表立っての行動が難しい為、私とアヴィルグことヴィルジェスで、アビスディストピアとして…影の英雄として、魔人の対応をしてきました。
とは言え…二人とも普通に通学しているので直ぐには行動できない為、後手にまわることが多く、犠牲者が出てしまった後での登場が殆どで…モヤモヤさせられておりました。
そう言えば、リーズランデ家についてなのですが、リスティスは最近魔界での“リズの部屋”の営業行為から、当主としては不適格と、レスティアお母様との当主の交代を余儀なくされたようです。
“リズの部屋”は聞く所によれば、序列上位の悪魔等が続々と訪れる程の人気ぶりのようで連日行列が絶えないようです。
そう言う背景もあってからなのか、以前のようにアルリスとアヴィルグの世話を、アーシェとレスティアお母様が代わりにされていると人伝に聞きました。
また男衆の件についてですが、リーズランデ家に婿入りしたヴィルディスお父様は、アルディスの自警団は辞め、リーズランデとして自警団を起こし、ユーレをお父様の補佐に置いているとのことです。
あとは…クロヴィスについては、表向きは関与しないとの事でしたが…相変わらず執事のクローズとして、度々登場しては私に付き纏っており、それがヴィレースの悩みの種のようです。
「ねぇ?ねぇ…って!!」
私が考え事をしながら制服に着替えていると、フィーナが声をかけてきました。
「なぁに?私、着替えてるんだけど?」
「アルシェは…いつになったら…私のこと…。」
「あー!!もー!!」
――ドンッ!!
壁を背に立っていたフィーナの顔の横の壁を左手で勢いよく押さえました。
「ひゃっ…?!」
「こう言うのが、フィーナはお望みなんだろ?」
――クイッ…
「アルシェ…な…何…?」
いきなりの事で顔を赤らめているフィーナの顎を右手で軽く押し上げ…私は顔を近づけました。
――チュッ…
「んっ…。」
私はフィーナの唇にゆっくりと唇を重ねました。
フィーナはそっと目を閉じてしまいました。
「アルシェ様!!」
背後からヴィレースの声がしましたが、私は構わずフィーナへの口づけを続けました。
「もうっ!!私にはして下さらないのに!!」
何か怒られるのかと思いきや、ただのやきもちでした。
あまり続けるとヴィレースは非常に面倒なので、私はフィーナの唇からそっと離れました。
「アルシェ…。」
するとフィーナは目を開け…惚けた顔で私の名前を呼びました。
「どう?フィーナは満足したかな?」
「うんっ…。」
私がそう言うと小さな声で照れくさそうに頷きました。
小等部、中等部と仲の良かった四人は、高等部に上がる際に…フィーナ以外は、別の女学院や英雄候補学院へ編入して行ってしまいました。
まぁ…フィーナは自分の祖先が起こした女学院ですから、それ以外の選択肢は無いのでしょうけど。
フィーナの祖先フィルネルスは、アーシェの義妹でもあるので、私とフィーナは遠い親戚関係でもあるのです。
「私は満足しておりません!!」
そしてこの私の付きメイドで…クロヴィスとアヴィレネーナの孫娘のヴィレースもまた…私からの口付けを熱望してくるのです。
「いー!!だ。いいでしょー?私、アルシェにしてもらっちゃったし!」
フィーナがヴィレースを煽ります。
「ほら?学校行くよ??」
何だかんだで時間を食ってしまい、やっと制服に着替え終わったのでそう言いました。
「朝食食べて行きませんと…倒れてしまいますよ?」
そのまま玄関の方に向かったら、ヴィレースに止められてしまい、玄関の手前の食堂の椅子へ座らされました。
食卓を見ると既に一人分が用意されておりました。
「私は先に頂きましたので、大丈夫ですよ?」
「本当に?嘘ついてない??」
たまに食べたフリをしている事があるので、ヴィレースは油断出来ません。
「今日は本当に頂きましたので、お気遣いなく。」
それを聞いてから、私は朝食に手をつけ始めました。
――――
「アルシェ?早く!!遅刻しちゃうよ?」
「平気です。」
そう言ってヴィレースは空間転送の門を出現させました。
「流石!!ヴィレース。偉い偉い!!」
「いえ…滅相もございません。」
褒めてあげるとヴィレースは顔を赤らめて首を軽く横に振りました。
「じゃあ、フィーナもヴィレースも行くよ?」
――ビュンッ!
そう言って私は空間転送の門の中へと消えて行きました。
――――
「今日も疲れたよね?ヴィレース。」
「私は…アルシェ様のお側に居られるだけで幸せですので…。」
フィーナは流石フィルネルスの子孫だけあって、生徒会に選出されており…放課後は一緒になる事は殆どと言っていい程ありません。
その為、ヴィレースにとっては私を独り占め出来るいい時間帯でもあるのです。
――ビュンッ!
ヴィレースは私の手を取り何処かへ空間転移しました。
――スタッ…。
ヴィレースと共に転移した先は…どこからどう見ても魔界でした。
「ここなら…あの小娘も手出し出来ませんので…。それに…良いものお見せしたいので…お姿戻られても宜しいですか?」
「『変身』。…良いものって何だい?」
私の身体は一瞬にして闇に覆われ、その闇が身体に取り込まれアヴィレネーナに戻りました。
するとヴィレースの目の輝きが増した感じがしたのです。
「あの…お祖母様?アヴィレさんってお呼びしてもよろしいでしょうか?」
「ああ、良いよ?お前さんは私の孫娘だからね?あまり気を使わないでおくれよ?」
私の言葉にヴィレースは凄く頷いて嬉しそうでした。
――――
この話の主な登場人物
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名前 :アルシェ=リーズランデ
年齢 :16歳
性別 :女
種族 :人間(悪魔の血が混ざっている)
職業 :フィルネルス女学院高等部
魔力量:2436
魔法 :未知の魔法
スキル:未知のスキル
肌 :肌色(ブルベ系)
髪 :ロング(黒色)
目 :焦茶
その他:七英雄の一人、魔法騎士アルディスの末裔。
七英雄の一人“悪魔”のアーシェの末裔。
異世界転生者。
裏の英雄組織“アビスディストピア”の主人。
ヴィルジェスの許嫁。
――
名前 :アヴィレネーナ=ディズフィア
年齢 :不明(推定1000歳以上)
性別 :女
種族 :最古級悪魔
職業 :裏の英雄
魔力量:測定不能
魔法 :未知の魔法
スキル:未知のスキル、カラミティデモネズ・シリーズ
肌 :白
髪 :ツインテール(金色)
目 :真紅
その他:災厄の小悪魔。
アルシェの異世界転生前の姿。
魔界の序列元三位。
クロヴィスは兄的存在にして元夫。
苗字はその時貰ったのでそのまま使用。
アルシェの魔力量で容姿・年齢が変化。
露出の極めて多い際どい衣装を着用。
変身魔法で10分変身可能(魔界では無限)。
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名前 :クロヴィス=ディズフィア
年齢 :不明(推定1050歳以上)
性別 :男
種族 :最古級悪魔
職業 :魔界の最高幹部
魔力量:測定不能
魔法 :未知の魔法
スキル:未知のスキル
肌 :白
髪 :長髪(蒼色)
目 :碧色
その他:魔界の序列二位。
アヴィレネーナの兄的存在にして元夫。
アヴィレちゃんと呼ぶ唯一の存在。
二人の間に二人の子供がいた。
子供二人を連れて一度は出て行った。
ヴィルジェスとは共に組み戦った仲。
今は別れた事を後悔しているようで、
クローズと言う名の執事に化け側に。
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名前 :ヴィレース=ディズフィア
年齢 :不明(推定950歳以上)
性別 :女
種族 :最上級悪魔
職業 :家事手伝い
魔力量:測定不能
魔法 :未知の魔法
スキル:未知のスキル
肌 :白
髪 :ツインテール(蒼色)
目 :真紅
その他:クロヴィスとアヴィレネーナの孫娘。
アヴィレネーナの面影を残す美人。
魔界の序列十一位。
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名前 :レスティア=リーズランデ
年齢 :44歳
性別 :女
種族 :人間(悪魔の血が混ざっている)
職業 :主婦
魔力量:340
魔法 :初級魔法全般
スキル:癒し手スキル全般
肌 :肌色(ブルベ系)
髪 :セミロング(黒色)
目 :焦茶
その他:七英雄の一人“悪魔”のアーシェの末裔。
アルシェの母親。
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名前 :ヴィルディス=リーズランデ
年齢 :46歳
性別 :男
種族 :人間
職業 :自警団の団長
魔力量:999
魔法 :中級魔法全般
スキル:魔法騎士スキル全般
肌 :白
髪 :短髪(金色)
目 :翡翠色
その他:七英雄の一人、魔法騎士アルディスの末裔。
アルシェの父親。
デルジェイム家は息子二人に任せて婿入り。
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名前 :リスティス=リーズランデ
年齢 :39歳
性別 :女
種族 :人間(悪魔の血が混ざっている)
職業 :リーズランデ家当主
魔力量:378
魔法 :中級魔法全般
スキル:剣士スキル全般
肌 :肌色(ブルベ系)
髪 :ロング(黒色)
目 :焦茶
その他:七英雄の一人“悪魔”のアーシェの末裔。
元国の騎士団所属の魔法剣士。
アルシェの叔母。
アルリス、アヴィルグの母。
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名前 :ユーレ=リーズランデ
年齢 :不明
性別 :無性?
種族 :中級スライム
職業 :リーズランデ家当主の夫
魔力量:不明
魔法 :不明
スキル:不明
肌 :水色
髪 :長髪のような形
目 :◉
その他:リスティスが名付け親の”名付き“。
頭や髪や四肢のようなものがある。
リスティスの婿養子。
アルリスとアヴィルグの父親。
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名前 :アーシェ=リーズランデ
年齢 :不明(推定500歳以上)
性別 :女
種族 :上級悪魔
職業 :英雄
魔力量:測定不能
魔法 :未知の魔法
スキル:未知のスキル
肌 :肌色(ブルベ系)
髪 :ロング(黒色)
目 :焦茶
その他:七英雄の一人“悪魔”のアーシェ。
300年以上前、異世界転移してきた。
アヴィレネーナの養子。
アヴァルウの妹弟子。
裏の英雄組織“アビスディストピア”の秘書。
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名前 :アルリス=リーズランデ
年齢 :10歳
性別 :女
種族 :人間(悪魔と魔物の血が混ざっている)
職業 :フィルネルス女学院小等部
魔力量:100
魔法 :変身魔法、その他不明
スキル:不明
肌 :肌色(ブルベ系)
髪 :ボブ(黒色)
目 :焦茶
その他:七英雄の一人“悪魔”のアーシェの末裔。
リスティスとユーレの実子で長女。
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名前 :アヴィルグ=リーズランデ
年齢 :7歳
性別 :男
種族 :人間(悪魔と魔物の血が混ざっている)
職業 :ウェイン・ミレィナ英雄学院小等部
魔力量:1870
魔法 :変身魔法、その他不明
スキル:不明
肌 :白
髪 :短髪(金色)
目 :真紅
その他:七英雄の一人“悪魔”のアーシェの末裔。
リスティスとユーレの実子で長男。
裏の英雄組織“アビスディストピア”に所属。
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名前 :ヴィルジェス
年齢 :20歳
性別 :男
種族 :人間
職業 :別の世界の勇者、裏の英雄
魔力量:9999
魔法 :勇者専用魔法
スキル:勇者専用スキル、ブレイヴジャスティ・シリーズ
肌 :白
髪 :長髪(金色)
目 :蒼色
その他:勇者。
アヴィルグの異世界転生前の姿。
アヴィレネーナを捕らえ、
首都に連行する最中に恋心が芽生えた。
クロヴィスとは共に組み戦った仲。
アヴィレネーナに再び出逢う為、
女神に頼み込み同じ世界に転生した。
アヴィルグが制限なく変身できる。
アルシェの許嫁。
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この話の登場人物
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名前 :フィーナ=フェルドルグ
性別 :女
その他:アルシェの級友。
七英雄の一人”癒し風“のフィルネルスの末裔。
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