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あくまでも裏の英雄はじめます。  作者: 茉莉鵶
Chapter 3.成長期編
33/52

Episode 33.私には可愛い孫娘が居るみたいです。


 「クロヴィス様、ダメです!!アヴィレネーナ様は、書類上お亡くなりになっておりますし、その仮初のお身体は”ほぼ“人間ですので…。」


 魔界には各世界毎に管轄があったようで…悪魔以外はその管轄以外には持ち出せない規則になっているようです。


 先程、魔界のアヴァルウが管轄する場所から、クロヴィスの居城のある別の管轄へ空間転送の門を使って、移動を試みたのですが、私だけが門を潜っても転送されず、その場に取り残されてしまいました。

 後から続いてこない私を心配して戻ってきたクロヴィスが、アヴァルウをその場に呼び出し…詰め寄っている所でした。


 「ここに居るアヴィレネーナは、其方の母親とも呼べる師匠ではなかったのか?母親同然の師匠に対する、其方の非情なる仕打ちと捉えるがそれでも良いのだな?」


 クロヴィスはアヴァルウへ畳み掛けました。


 「アヴァルウ…。私の可愛い子孫達に逢ってみたいの…。」


 クロヴィスから居城には子孫と暮らしていると聞いたので、今更行くのも最低なのですが…折角の機会に行かないと言う選択肢は私にはありませんでしたので、魔法で涙を流してアヴァルウに訴えかけました。


 「それは…。師匠…泣かないで下さいよ…。ずっと仰ってましたもんね…。私には昔貴方くらいの子供がいたのって。だから私はその子供への愛を貴方達に注ぐのって。だけど…うーん…。あ!そうだ!!そうですよ、私も一緒に行くって事でどうでしょう?特例なので短時間にはなりますが。」


 アヴァルウを拾うまで私は荒れた生活をしておりましたが、幼いアヴァルウを拾ってからは生活を改めて…アヴァルウを我が子のように育てました。

 その際、無意識のうちにアヴァルウに言ってしまっていたのだと思いますが、アヴァルウが覚えていてくれた事に感謝したいです。


 「おお!流石、アヴィレちゃんの弟子だな?賢明で寛大な判断感謝するぞ?」


 「ゴメンね…?アヴァルウ。でも…ありがとう!!」


 ――ギュウウウウッ…


 久しぶりにアヴァルウを抱きしめたのですが…いつの間にか私よりも逞しく成長していて、驚きました。


 「いつの間にか…私より小さくなっちゃいましたね?お母さん。」


 最初に拾ったアヴァルウには、お母さんと呼ばせていた時期もありましたが、久しぶりに聞いて照れ臭くなってしまいました。


 ――ツンツン…


 誰かが、アヴァルウと抱き合っていた私の背中を指で軽くつついてきました。


 「誰??」


 「アヴィレちゃん…?そろそろ…いいかな?」


 私が声を張り上げると、クロヴィスの声がしました。


 「もう!!相変わらず、そのせっかちな性格…どうにかならないの?クロヴィス。」


 自分の思い通りにクロヴィスは進まないと気が済まないので…寝ている私に対してことに及ぶ場面も一緒に暮らしていた頃はありました。


 「今日…アヴィレちゃんお昼過ぎから講義だから、急がないと!!」


 朝からクロヴィスの調子に巻き込まれていて、今日が平日だとすっかりと失念しておりました。


 「急がせてゴメンね?アヴァルウ」


 「それでは、クロヴィス様。ご案内頂けますでしょうか?」


 クロヴィスは気を取り直して、先程私が潜る事の出来なかった、空間転送の門を改めて出現させました。


 「まずは…アヴィレちゃんから行ってみようか?転送出来なきゃまた…怒鳴らなきゃならないけどね?」


 「じゃあ…行ってみるね?」


 心配そうに見つめるクロヴィスと、色んな意味で心配そうに見守るアヴァルウを尻目に、私は空間転送の門を潜りました。


 ――ビュンッ!


 私は無事、門を潜り抜ける事に成功したようでした。


 ――スタッ…


 空間転送された先は…絢爛豪華な内装や調度品のある部屋でした。

 目の前に…私の面影を残した一人の成人女性が立っておりました。


 「お祖母様!!」


 「え?!お、おばあさま…!?」


 「アヴィレちゃん、ゴメンゴメン!!いきなりビックリしたでしょ?」


 私に続いて門から出てきたクロヴィスがそう言ってきました。


 「その子はね?ボク達の長男の一人娘で…」


 「ヴィレースです!!お祖母様…ずっとお逢いしたかった…。」


 クロヴィスの言葉を遮って、私に近づくと…名乗ってきました。


 「ヴィレースちゃん?おいで?」


 私は両手を広げるとそう言いました。


 「はい!!お祖母様!!」


 ――ギュウウウウッ!


 ヴィレースは私に思い切り飛び付いてきました。


 「よしよし…よしよし。寂しかったのかい?」


 「小さい頃はずっとお祖父様と二人きりでした…。」


 私達の子供達の身に…このヴィレースが幼い頃、何か重大な事が起きたことが容易に想像出来ました。


 「クロヴィス!!一体、私達の子供達に何が起きたの??」


 「まぁまぁ…。アヴィレちゃん怖いって…!!そんなに魔力全開に出さなくても…。」


 そう言いながらも、クロヴィスは別の部屋に私達を案内しました。

 その部屋は恐らく食堂のような場所で、主に来客した際に食事を振る舞うような大きな円卓が部屋の中心に置かれており、椅子が人数分置かれておりました。


 「朝食まだだからさ、アヴィレちゃん?ここで食べていこうね?」


 部屋の入り口付近に立っていると、メイドの服を着た女の悪魔がたくさん入ってきました。

 私とアヴァルウはメイドに座るように促され、それぞれ案内された椅子に腰掛けました。

 私の左隣にクロヴィス、私の右隣にヴィレースが後から椅子に腰掛けました。


 「じゃあ、用意してくれるかい?」


 「はい!」


 クロヴィスの掛け声で、メイド達が朝食を食卓に用意し始めました。


 「さて…アヴィレちゃんに話すとしようか…?我が家に起こったそれは悲しい話を…。」


 そう言うと、クロヴィスが私の左手をそっと握りました。

 すると…それを見ていたヴィレースが私の右手を握ってきました。


 「あれは…ヴィレースが三歳くらいになった頃だったか…。私はヴィレースに…アヴィレちゃんの幼い頃を重ねていてね?二人の思い出の場所へヴィレースだけを連れて出掛けていたんだ。」


 クロヴィスの言うその場所は恐らく…孤児だった幼い私が一人遊んでいた水辺で…二人が出逢った場所だと思います。


 「ヴィレースは…まるで幼い頃のアヴィレちゃんみたいに無邪気に私と遊んでくれたんだ。そして…楽しい気分のままヴィレースと住処に帰ると…息子夫婦は惨殺されていてね?一緒に住んでいた娘も…連れ攫われてしまった。」


 「なんで…?!なんで…その時、私に教えてくれなかったの…??」


 私はクロヴィスを責めたくなかったけれど…この感情はどうしても抑える事が出来なくて…クロヴィスに当たってしまいました…。


 「アヴィレちゃんをボクは捨てて、子供も二人とも取り上げて出て行ったんだよ?だから…アヴィレちゃんに合わせる顔が無くてね…?」


 「一言、クロヴィスが言ってくれたら…一緒に復讐だって…娘を探す事だって出来たんだよ?私だって…お腹を痛めてあの子達を産んだ母親なんだよ??」


 「お祖母様…お祖父様をあまり責めないであげて下さい。お祖父様は…大好きなお祖母様の血を引く、残された幼い孫の私だけは守りたかったんだと思います。」


 ヴィレースの言葉に私はハッとしました。

 確かに…駆け出しの頃の私達には味方はおらず…生存競争に必死でしたので、幼な子を連れてではクロヴィスも相当大変だったと思います。


 「ヴィレースは優しい子だね…?クロヴィスの育て方が良かったのかもしれないね?私達の大切な孫娘だもんね…。クロヴィス?今まで…ヴィレースのこと大切に守ってきてくれてありがとうね?」


 「アヴィレちゃんにそう言われると…何故か泣けてきた…。」


 序列二位の悪魔が涙を流した瞬間でした。

――――

この話の主な登場人物

――――

名前 :アルシェ=リーズランデ

年齢 :15歳

性別 :女

種族 :人間もどき

職業 :フィルネルス女学院中等部

魔力量:909

魔法 :未知の魔法

スキル:未知のスキル

肌  :肌色(ブルベ系)

髪  :ロング(黒色)

目  :焦茶

その他:七英雄の一人、魔法騎士アルディスの末裔。

    七英雄の一人“悪魔”のアーシェの末裔。

    異世界転生者。

    裏の英雄組織“アビスディストピア”の主人。

    ヴィルジェスの許嫁。

――

名前 :アヴィレネーナ=ディズフィア

年齢 :不明(推定1000歳以上)

性別 :女

種族 :最古級悪魔

職業 :裏の英雄

魔力量:測定不能

魔法 :未知の魔法

スキル:未知のスキル、カラミティデモネズ・シリーズ

肌  :白

髪  :ツインテール(金色)

目  :真紅

その他:災厄の小悪魔。

    アルシェの異世界転生前の姿。

    魔界の序列元三位。

    クロヴィスは兄的存在にして元夫。

    苗字はその時貰ったのでそのまま使用。

    アルシェの魔力量で容姿・年齢が変化。

    露出の極めて多い際どい衣装を着用。

    変身魔法で10分変身可能(魔界では無限)。

    次に変身可能になるまで1.5時間必要。

――――

名前 :クロヴィス=ディズフィア

年齢 :不明(推定1050歳以上)

性別 :男

種族 :最古級悪魔

職業 :魔界の最高幹部

魔力量:測定不能

魔法 :未知の魔法

スキル:未知のスキル

肌  :白

髪  :長髪(蒼色)

目  :碧色

その他:魔界の序列二位。

    アヴィレネーナの兄的存在にして元夫。

    アヴィレちゃんと呼ぶ唯一の存在。

    二人の間に二人の子供がいた。

    子供二人を連れて一度は出て行った。

    ヴィルジェスとは共に組み戦った仲。

    今は別れた事を後悔しているようで、

    クローズと言う名の執事に化け側に。

――――

名前 :ヴィレース=ディズフィア

年齢 :不明(推定950歳以上)

性別 :女

種族 :最上級悪魔

職業 :家事手伝い

魔力量:測定不能

魔法 :未知の魔法

スキル:未知のスキル

肌  :白

髪  :ツインテール(蒼色)

目  :真紅

その他:クロヴィスとアヴィレネーナの孫娘。

    アヴィレネーナの面影を残す美人。

    魔界の序列十一位。

――――

この話の登場人物

――――

名前 :アヴァルウ=ディズフィア

年齢 :不明(推定700歳以上)

性別 :男

種族 :最上級魔人

職業 :魔界の地域責任者

魔力量:不明

魔法 :不明

スキル:不明

肌  :褐色

髪  :長髪(赤色)

目  :緑色

その他:アヴィレネーナの最初の養子。

    アーシェの兄弟子。

    幼い頃、アヴィレネーナが拾った孤児。

    アルシェの世界に繋がる、魔界の地域の責任者。

――――

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