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あくまでも裏の英雄はじめます。  作者: 茉莉鵶
Chapter 3.成長期編
30/52

Episode 30.私は勇者の許嫁にされたようです。


 話はどんどんと進んでいき、気がつけばヴィルジェスを食堂に招いて簡単な食事会にまで発展してしまいました。

 イチオのせいで、リーズランデの家の中には殆どメイドが居なくなってしまっていた為、お母様とアーシェが食事の支度を始めております。


 「あの…元々…魔瘴気の治療をする為だけで、こんな長居するつもりはありませんでしたので…。もう、お気遣いなく…。」


 ヴィルジェスがアヴィルグに戻るタイミングを完全に失ってしまっておりました。


 「今日は泊まっていくと良い!!勇者様は、娘を貰ってくれるのですからな?少しでも娘のことをお知りになられた方が良かろう?」


 お父様はもう上機嫌でした。

 ですが、この家の当主はリスティスなので…勝手に話を進めて良いものかと考えていた…その時でした。


 ――ギィィィィッ…


 食堂の扉が開くと、虚な目のリスティスがユーレに支えられて入って来ました。


 「勇者様…。この度は…私の身体から魔瘴気を祓っていただき…心より感謝申し上げます…。申し遅れました、リーズランデ家当主のリスティスと申します…。」


 ヴィルジェスの前まで来て感謝を伝えると、深く頭をリスティスは下げたのです。


 「僕は…困っている人を助けたいだけなんです。だから…感謝されるような事は何もしてはおりません…。勇者として当然の事をしたまでですから…。顔を上げて下さい。」


 「流石…勇者様…素晴らしい信念をお持ちですね…。私も…英雄の子孫の端くれです…。何をされようとも…悪に屈してはいけませんよね…。」


 リスティスはヴィルジェスの姿を見て、堕ちてしまった自分を奮い立たせようとしているのが見て取れました。


 「あなたのご子息は、きっと分かってくれると思います。だから…会えたら優しく抱きしめてあげて下さい。」


 ヴィルジェスは何を思ったか、リスティスが育児放棄をした事に急に触れてきました。


 「アヴィルグ…!!私の可愛いアヴィルグ…!!お母さん謝るから…。アヴィルグ…ゴメンなさい…。ねぇ…??どこ…??どこに行ってしまったの…??」


 実は…最近、アヴィルグの姿をリーズランデの家の中で見た者は居なかったそうです。

 アヴィルグは英雄学院まで、自分で通って居たようですが、それ以外の時間は…ヴィルジェスに変身し…必死にアヴィレネーナを探す旅をしていたそうです。

 そして、私がアヴィルグの目の前でアヴィレネーナに変身したのを見て、アヴィルグの旅は終わりを告げたのです。


 「リスティス様?その弱ったお身体では…絶対に無理なさらず、今日はゆっくりお休み下さい。僕がアヴィルグくんを探して来ますので!!『強制安眠』!!」


 ヴィルジェスはそう言うと、リスティスを強制的に安眠状態で眠らさせました。


 「ユーレ殿?今日一日だけでも…リスティス様のお身体を労ってあげて下さいね?宜しくお願いします。」


 ユーレはヴィルジェスの言葉に頷くと、リスティスの身体を包み込んで、食堂を後にしました。



 ――――



 それから、食堂ではヴィルジェスを囲み、シェンティとお母様が作った食事が振る舞われました。


 「ヴィルジェス殿、今日からアルシェの許嫁という事で宜しくお願いしますぞ?」


 「はい。娘さんが成人した暁には、私はお迎えに伺いましょう。」


 和やかな雰囲気になって来た時、お父様がヴィルジェスと約束を交わしたのでした。

 この時、私は嫌な胸騒ぎがしてしまい、食堂を抜け出すとユーレとリスティスの居る当主の部屋に向かいました。


 ――ギィィィィッ…


 私が当主の部屋の寝室への扉を開けた時でした。

 微かですが…寝室の中から懐かしい匂いがしてきたのです。

 その匂いというのは…魔界のなんとも言えない匂いでした。


 イチオはこの部屋の何処からか魔界への門を繋ぎ、リスティスと行き来していた事までは、リスティスから読み取った記憶から分かっていました。

 ですが、何処から行き来していたのかは不明でした。


 「ユーレ?起きてる?」


 「アルシェサマ!ワタシハオキテイマス。」


 「魔界の匂いするよね?何処からだと思う?」


 魔物であるユーレなら分かるかと思い聞いてみました。


 「タシカニ!!カスカニ…マカイノニオイガ…。ン?!ベッドカラ…ニオイガ…。」


 「ベッド?!ユーレ…?何かベッドに仕掛けがあるかも知れないから、気をつけてベッドから降りようか?」


 私にそう言われ、ユーレが先にベッドから降りた時でした。

 ベッドが突如として空間転送の門と化し、その門から無数の手が伸び…リスティスの身体を掴むと門の中へ引き摺り込もうとしてきました。


 「『位置交換』!!」


 咄嗟にリスティスに触れて私と位置を交換しました。


 「ユーレ!!ヴィルジェスを!!」


 私は門に引き摺り込まれながらもユーレに指示を出しました。


 「『変身』!!」



 ――――



 門を潜ると…地面にうつ伏せの体勢になっておりました。

 こちらの空間転送の門は地面に設置され、引き摺り込むとこの様に地面の上にうつ伏せで現れるような仕掛けになっておりました。

 リスティスの記憶の中で、地面の上で魔人や魔物に四つん這いの体勢で囲まれていたのは、恐らくこの場所なのでしょう。


 「おい…人間の女じゃないぞ…。」


 私の背中越しに…魔界の言葉が聞こえてきました。


 「こっち向け!!」


 無理矢理人間では無い手で、私は顔を声のする方へ向けさせられました。


 「ヒィィィィッ!!何してるんだ馬鹿!!アヴィレネーナ様だぞ!!」


 「お前さん達、私の事知ってるのかい?」


 そこに居たのは中級悪魔を筆頭に、下級悪魔、小鬼、太鬼でした。


 「てっきり、イチオとかいう中級悪魔が、ここ何年も毎日連れてきてる人間のメス豚かと思いやして…。知らないも何も、逆にアヴィレネーナ様を知らない魔界の民の方がモグリですぜ?」


 「ここの地域の責任者は居るのかい?」


 久しぶりの魔界の魔瘴気を浴びて、私の身体に魔力が満ち溢れてくるような感覚がしました。

 中級悪魔がここの地域の責任者を呼びに行ってから帰ってくるまでに暫く時間がかかりました。

 恐らく優に十分は超えているはずですが、変身が解けることは無いようでした。


 「お前嘘ついているだろう?この地域に来れるはずがない…しっ…師匠!?」


 中級悪魔に連れられて、文句を言いながら前方から歩いて来たのは…アーシェの兄弟子の、アヴァルウでした。


 「なんだ、アヴァルウじゃないかい?久しぶりだねぇ?」


 「師匠…偽者の凶魔でお亡くなりになられたとばかり…。」


 ――ギュゥゥゥゥッ…


 私はアヴァルウに近づくと…思い切り抱きしめてあげました。

 アヴァルウもアーシェと同じく孤児の悪魔で、私が魔界で拾った時、髪は赤色、目は緑色、肌は褐色の男児でした。


 「久しぶりです…師匠の温もりを感じられたのは…。」


 「ところで…。最近、人間界に魔人と呼ばれる輩が現れているのはどうしてだい?ここにも我が物顔で来ているのだろう?」


 アヴァルウがこの地域の魔界の責任者と言う話なので、最近起きている事を問いただしてみました。


 「実は…人間界で魔人と呼ばれている輩は、殆どは…人間に成り代わった悪魔達なのです。」


 「ん?殆どは、と今…言ったか?」


 アヴァルウは私から問われ困った表情となりました。


 「師匠…この地域は危険です。なので…」


 「お?良い女居るじゃないか?」


 アヴァルウと私の会話に割り込んできた輩がおりました。

 アヴィレネーナの存在を知らない存在…その風体はこの世界の“元”人間のようです。


 「おい!!魔人やめとけ!!」


 アヴァルウの補佐の上級悪魔が叫びました。

 気づけば私の身体に触れようと、魔人と呼ばれる人間らしき者が手を伸ばしておりました。


 ――ス…


 次の瞬間、魔人の身体は消え去ると…首だけの姿になりました。


 「へぇ?首だけでも生きてるとはね?あんたが魔人て言うのかい?どうやってなれたんだい?」


 「言う訳…」


 次の瞬間私は魔人の頭を掴んでいました。

――――

この話の主な登場人物

――――

名前 :アルシェ=リーズランデ

年齢 :15歳

性別 :女

種族 :人間

職業 :フィルネルス女学院中等部

魔力量:609

魔法 :未知の魔法

スキル:未知のスキル

肌  :肌色(ブルベ系)

髪  :ロング(黒色)

目  :焦茶

その他:七英雄の一人、魔法騎士アルディスの末裔。

    七英雄の一人“悪魔”のアーシェの末裔。

    異世界転生者。

    裏の英雄組織“アビスディストピア”の主人。

    ヴィルジェスの許嫁。

――

名前 :アヴィレネーナ=ディズフィア

年齢 :不明(推定1000歳以上)

性別 :女

種族 :最古級悪魔

職業 :裏の英雄

魔力量:測定不能

魔法 :未知の魔法

スキル:未知のスキル、カラミティデモネズ・シリーズ

肌  :白

髪  :ツインテール(金色)

目  :真紅

その他:災厄の小悪魔。

    アルシェの異世界転生前の姿。

    アルシェの魔力量で容姿・年齢が変化。

    露出の極めて多い際どい衣装を着用。

    アルシェの変身魔法で10分変身可能。

    次に変身可能になるまで3時間必要。

――――

名前 :レスティア=リーズランデ

年齢 :43歳

性別 :女

種族 :人間

職業 :アルシェの付きメイド

魔力量:330

魔法 :初級魔法全般

スキル:癒し手スキル全般

肌  :肌色(ブルベ系)

髪  :セミロング(黒色)

目  :焦茶

その他:七英雄の一人“悪魔”のアーシェの末裔。

    アルシェの母親。

    ヴィルディスとよりを戻した。

――――

名前 :ヴィルディス=デルジェイム

年齢 :45歳

性別 :男

種族 :人間

職業 :自警団の団長

魔力量:999(人間の上限)

魔法 :中級魔法全般

スキル:魔法騎士スキル全般

肌  :白

髪  :短髪(金色)

目  :翡翠色

その他:七英雄の一人、魔法騎士アルディスの末裔。

    アルシェの父親。

    レスティアとよりを戻した。

――――

名前 :リスティス=リーズランデ

年齢 :38歳

性別 :女

種族 :人間

職業 :リーズランデ家当主

魔力量:369

魔法 :中級魔法全般

スキル:剣士スキル全般

肌  :肌色(ブルベ系)

髪  :ロング(黒色)

目  :焦茶

その他:七英雄の一人“悪魔”のアーシェの末裔。

    元国の騎士団所属の魔法剣士。

    アルシェの叔母(母の妹)。

    アルリス、アヴィルグの母。

――――

名前 :ユーレ=リーズランデ

年齢 :不明

性別 :無性?

種族 :中級スライム

職業 :リーズランデ家当主の夫

魔力量:不明

魔法 :不明

スキル:不明

肌  :水色

髪  :長髪のような形

目  :◉

その他:リスティスが名付け親の”名付き“。

    頭や髪や四肢のようなものがある。

    リスティスの婿養子。

    アルリスとアヴィルグの父親。

――――

名前 :アーシェ=リーズランデ

年齢 :不明(推定500歳以上)

性別 :女

種族 :上級悪魔

職業 :英雄

魔力量:測定不能

魔法 :未知の魔法

スキル:未知のスキル

肌  :肌色(ブルベ系)

髪  :ロング(黒色)

目  :焦茶

その他:七英雄の一人“悪魔”のアーシェ。

    300年以上前、異世界転移してきた。

    魔神討伐後、自らの呪いで眠っていた。

    真名はアーシェンテア。

    “悪魔”のアーシェ時代、

    アヴィレネーナから盗んだ衣装を着用。

    シェンティ=リーズランデとして、

    アルシェの付きメイドに。

    裏の英雄組織“アビスディストピア”の秘書。

――――

名前 :アヴィルグ=リーズランデ

年齢 :6歳

性別 :男

種族 :人間(スライムとの混血)

職業 :ウェイン・ミレィナ英雄学院

魔力量:360

魔法 :変身魔法、その他不明

スキル:不明

肌  :白

髪  :短髪(金色)

目  :真紅

その他:七英雄の一人“悪魔”のアーシェの末裔。

    リスティスとユーレの実子で長男。

    イチオの策略でリスティスに育児放棄された。

    裏の英雄組織“アビスディストピア”に所属。

――

名前 :ヴィルジェス

年齢 :20歳

性別 :男

種族 :人間

職業 :別の世界の勇者、裏の英雄

魔力量:9999

魔法 :勇者専用魔法

スキル:勇者専用スキル、ブレイヴジャスティ・シリーズ

肌  :白

髪  :長髪(金色)

目  :蒼色

その他:勇者。

    アヴィルグの異世界転生前の姿。

    アヴィレネーナを捕らえ、

    首都に連行する最中に恋心が芽生えた。

    アヴィレネーナに再び出逢う為、

    女神に頼み込み同じ世界に転生した。

    アヴィルグが制限なく変身できる。

    アルシェの許嫁。

――――

この話の登場人物

――――

名前 :アヴァルウ=ディズフィア

年齢 :不明

性別 :男

種族 :最上級魔人

職業 :魔界の地域責任者。

魔力量:不明

魔法 :不明

スキル:不明

肌  :褐色

髪  :長髪(赤色)

目  :緑色

その他:アヴィレネーナの養子。

    アーシェの兄弟子。

    幼い頃、アヴィレネーナが拾った孤児。

    アルシェの世界に繋がる、魔界の地域の責任者。

――――

名前 :男の魔人

性別 :男

種族 :中級魔人

魔力量:不明

魔法 :不明

その他:詳細は不明だが、

    アヴィレネーナの身体を不用意に、

    触れようとして身体を吹き飛ばされた。

――――

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