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あくまでも裏の英雄はじめます。  作者: 茉莉鵶
Chapter 3.成長期編
24/52

Episode 24.新たな裏の英雄の誕生です。


 「私の母とあなたの母は姉妹だから…」


 「それなら何も問題ありません!!歳の差だって気にしません!!そして…遅くなり申し訳ありません。僕の名はヴィルジェスです。出自が農民なので苗字なくて…。」


 私が言い終わる間も無くアヴィルグがグイグイ来ました。

 まぁ…首都までのあの道中、少し二人の距離が縮まっていたのは私も否定はしません。

 この世界で男の人と仲良くしたいと思っているけど…女学院で出会いもないので、良いかなと思ってしまいました。


 「この世界では末永く…よろしくね?アヴィルグ…?ヴェルジェス…?」


 「絶対幸せにします!!アヴィレネーナさん!!変身したら、前の名前で…呼びましょうか?」


 私は、アヴィルグの言葉に大きく頷きました。


 私の張っている障壁のおかげで、周囲で色んな事が巻き起こっておりましたが、一切イチオからの攻撃の影響を受けておりませんでした。

 所謂、イチオを完全無視状態でおりました。


 「アヴィレネーナさん?」


 「どうしたのですか?」


 イチオが何やら『隕石召喚』をし始めたので、ジッと見守っていたのですが、アヴィルグに名前を呼ばれたので声の方に振り向きました。


 「やっぱり…あなたは可愛いです。」


 「な…。」


 不意に…男性から言われた事もない事を言われて…心臓がドキドキしてきてしまいました。


 「今は良いですから!!あいつを倒す事だけ考えましょう!!」


 色々な事に、少し時間をかけ過ぎてしまったみたいで…私の変身していられる時間が残り僅かだと感じました。


 ――ゴオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!


 轟音が聞こえたので夜の空を見上げてみると…隕石が三つもこの場所に向かって来ているのが確認できました。


 「アヴィレネーナさん!!あれ…大丈夫ですか?」


 ――バヂッ!!バヂッ!!バヂッ!!


 三つの隕石は、障壁にぶつかると消滅したのですが、恐らく私の変身解除と共にこの強大な障壁も消えることになります。

 それまでに、片をつけたかったのですが…イチオの姿が見え隠れしており、照準が定まりません。


 ――スッ!


 「イチオさん!!大人しくしなさい!!」


 私は思い切ってイチオが隠れて居ると思われる場所に瞬間移動しました。


 「お?熟れたメスの良い匂いがするぞ?この肌の感触も良いなぁ??あのメス豚、全く孕みもしないしよぉ?散々楽しませて貰ったが、流石にもう使い過ぎて飽きてきたとこだったからなぁ?今度は…お前で楽しませて貰うとするか!!」


 私は瞬間移動後の僅かなスキを狙われ…気がつけば後ろからイチオに組み付かれ…首に暗器の刃を当てがわれております。


 「あの…変なところ…触らないで下さい…。」


 「あ?触らないでだぁ??お前、さっきはよくもやってくれたなぁ?流石の俺でも冷たかったぜ??」


 ――ブヂッ!!


 私の着ている露出度の高い衣装の下腹部を覆う紐を切られたようでした…。


 「やめなさい…!!そんな事しても…私には無意味です!!」


 私の身体の紐の切れた場所を…手でまさぐってきました。


 「ほらほら?そんな虚勢張らなくても良いんだぜ?なぁ、聞けよ?あのメス豚はさぁ?俺に毎日のように使われながらヒイヒイ鳴いて喜んでたぜ?」


 ――チクッ…。


 「いたっ…!?」


 私の身体に針のような細い何かが刺さった感じがしました。


 「何を…したの…?」


 「怖がることないぜ?この薬は打つと即効性があってな?身体中が敏感になって、頭の中は俺と楽しむことしか考えられなくなるだけだからよぉ?あのメス豚は、このおかげでガキを見捨てることが出来たんだからさぁ?」


 リスティスは卑劣なイチオに…会うたびこの薬を打たれ続けていたのでしょう。

 あいにく私の身体には…何も効果はありません。

 ですが、イチオがリスティスを堕とした手口を私は知りたかったのです。


 「じゃあ、そろそろ楽しませてくれよ?」


 そう言って私の背後でイチオは何やらモゾモゾさせました。

 すると…何かが私のお尻辺りに押しつけられました。


 ――スッ!


 私は咄嗟に身の危険を感じ、アヴィルグの居る所へ瞬間移動で戻りました。


 「ふぅ…危なかった…。」


 「お帰りなさい!!アヴィレネーナさん?先程何か抱きつかれてましたよね??大丈夫ですか??」


 見守っていたアヴィルグがそう声を掛けてくれました。


 「もう…私、時間切れみたいです…。」


 私の身体から闇が解き放たれると…一瞬にして変身が解除され、ただの十五歳の少女の姿へと戻りました。

 それと時を同じくして、アヴィレネーナの力で家全体を覆うように張られていた障壁も見る見るうちに消えていきました。


 先程のイチオの言葉を思い出すと…リスティスは依存症にされてしまった可能性があります。

 ですが、そんな事を思い出して考察している余裕は、私には本当はありませんでした。


 「はぁ…はぁ…。アヴィルグ…?あと…頼めるかな…?」


 先程、当主の部屋の前でイチオから私に向かって投げつけられた刃物で負った傷から…出血をしておりました。

 しかも…刃にさっきの薬が塗られていたようで…身体がおかしくなってきておりました。


 「アヴィ…ルグ…。身体が…。」


 「アルシェ…お姉ちゃん!!無理しないで!!」


 私は腕の患部からの痛みと出血、それに…イチオの薬のせいで…正気を保つのがいっぱいでした。


 「頭が…おかしい…。アヴィルグ…助けて…。」


 そう言いながら…玄関前に私はうずくまってしまいました。


 「僕の大好きな…アルシェお姉ちゃんをよくも!!」


 私を介抱していたアヴィルグの姿はそう言うと、側から消えておりました。


 「そこの魔人!!私の名はヴィルジェス!我ら…アビスディストピアの名の下…お前を倒す!!」


 意識が徐々に混濁し始め…更に出血が止まらずに薄れゆく意識の中、”勇者“ヴィルジェスの姿をしたアヴィルグが、魔人の姿をしたイチオに一人対峙して、名乗りをあげている声が聞こえました。



 ――――



 「…おねえちゃん?」


 遠くで私を呼び続けている幼い声が、聞こえてきました。

 私はゆっくりと目を開けると…どこかのベッドの上でした。


 「アルシェおねえちゃん!!おかあさま!!おかあさま??アルシェおねえちゃんがおきた!!」


 私が目を開けたことに気がついたのか私の隣から大きな声が発せられました。

 その声の方を向くと…アヴィルグが一緒に横で寝転んでいました。


 ――ギィッ!


 アヴィルグの声に気づいた誰かが部屋の扉を開けました。


 「アルシェ様!!目覚めたのですね…?よかった…。」


 「心配かけたね?シェンティ。」


 入ってきたのはシェンティだけでした。

 恐らくここはリーズランデ家のどこかの部屋だと思うのですが、いまいちどこだかハッキリしませんでした。


 「ぼく…アルシェおねえちゃんにいわれたとおり、まじん…たおせたよ?」


 「アヴィルグ?凄いよ!!偉かったね…?」


 ――チュッ…


 私の届く位置に居た、アヴィルグの頬に私は軽く…口づけをしてあげました。


 「わぁ!!やったぁ!!」


 アヴィルグが…ここ最近見たことなかった満面の笑みを浮かべました。


 「あの…アルシェ様?これを…『記憶共有』!!」


 シェンティが私の額に手を当てました。


 すると、私が意識を失った時点から少し経った光景が、私の頭の中で記憶として共有されていきます。

 恐らく、この視点から考えても、シェンティがアヴィルグに合流したのだと思います。

 シェンティは初めは、ヴィルジェスがアヴィルグの変身した姿とは分からずに身構えておりました。

 ですが、前の世界ではアヴィレネーナの知人だったこと、アヴィルグが変身した姿という事が説明されました。

 すると、アーシェはヴィルジェスことアヴィルグを、二人目の裏の英雄に任命したのでした。


 その後は…アーシェが障壁を張るのを待ってから、ヴィルジェスは私に代わって魔人のイチオと交戦し始めたのです。


 ヴィルジェスについては、特に武器らしいものを何も携行していないように見えたのですが…気がつくと光で出来た長剣のような形状の武器を左手に持って戦っていました。


 「ブレイヴジャスティ・スラアアアアッシュゥゥゥゥッ!!」


 急に、ヴィルジェスがそう叫び光の武器を斜めに振り下ろすと…巨大な光の衝撃波が、イチオを目掛けて飛んで行き身体を両断したのでした。


 ――ピロン


 魔人となって討たれたイチオの遺骸は、国の騎士団までシェンティの手で運ばれました。


 これが、私が倒れていた間に起きた出来事の全容みたいです。

――――

この話の主な登場人物

――――

名前 :アルシェ=リーズランデ

年齢 :15歳

性別 :女

種族 :人間

職業 :フィルネルス女学院中等部

魔力量:309

魔法 :未知の魔法

スキル:未知のスキル

肌  :肌色(ブルベ系)

髪  :ロング(黒色)

目  :焦茶

その他:七英雄の一人、魔法騎士アルディスの末裔。

    七英雄の一人“悪魔”のアーシェの末裔。

    異世界転生者。

    裏の英雄組織“アビスディストピア”の主人。

――

名前 :アヴィレネーナ=ディズフィア

年齢 :不明(推定1000歳以上)

性別 :女

種族 :最古級悪魔

職業 :裏の英雄

魔力量:測定不能

魔法 :未知の魔法

スキル:未知のスキル、カラミティデモネズ・シリーズ

肌  :白

髪  :ツインテール(金色)

目  :真紅

その他:災厄の小悪魔。

    アルシェの異世界転生前の姿。

    アルシェの魔力量で容姿・年齢が変化。

    露出の極めて多い際どい衣装を着用。

    アルシェの変身魔法で10分変身可能。

    次に変身可能になるまで4.5時間必要。

――――

名前 :レスティア=リーズランデ

年齢 :43歳

性別 :女

種族 :人間

職業 :アルシェの付きメイド

魔力量:330

魔法 :初級魔法全般

スキル:癒し手スキル全般

肌  :肌色(ブルベ系)

髪  :セミロング(黒色)

目  :焦茶

その他:七英雄の一人“悪魔”のアーシェの末裔。

    アルシェの母親。

――――

名前 :リスティス=リーズランデ

年齢 :38歳

性別 :女

種族 :人間

職業 :リーズランデ家当主

魔力量:369

魔法 :中級魔法全般

スキル:剣士スキル全般

肌  :肌色(ブルベ系)

髪  :ロング(黒色)

目  :焦茶

その他:七英雄の一人“悪魔”のアーシェの末裔。

    元国の騎士団所属の魔法剣士。

    アルシェの叔母(母の妹)。

    アルリス、アヴィルグの母だが、育児放棄中。

    ユーレが死んだとされた後、

    幼馴染のイチオと付き合い同棲し、

    心も身体も完全に堕とされ支配された。

――――

名前 :ユーレ=リーズランデ

年齢 :不明

性別 :無性?

種族 :中級スライム

職業 :リーズランデ家当主の夫

魔力量:不明

魔法 :不明

スキル:不明

肌  :水色

髪  :長髪のような形

目  :◉

その他:リスティスが名付け親の”名付き“。

    頭や髪や四肢のようなものがある。

    リスティスの婿養子。

    アルリス、アヴィルグの父親。

    アーシェによりリスティスの胎内に、

    封印され死んだ事にされていた。

――――

名前 :アーシェ=リーズランデ

年齢 :不明(推定500歳以上)

性別 :女

種族 :上級悪魔

職業 :英雄

魔力量:測定不能

魔法 :未知の魔法

スキル:未知のスキル

肌  :肌色(ブルベ系)

髪  :ロング(黒色)

目  :焦茶

その他:七英雄の一人“悪魔”のアーシェ。

    300年以上前、異世界転移してきた。

    魔神討伐後、自らの呪いで眠っていた。

    真名はアーシェンテア。

    “悪魔”のアーシェ時代、

    アヴィレネーナから盗んだ衣装を着用。

    シェンティ=リーズランデとして、

    アルシェの付きメイドに。

    裏の英雄組織“アビスディストピア”の秘書。

――――

名前 :アヴィルグ=リーズランデ

年齢 :6歳

性別 :男

種族 :人間(スライムとの混血)

職業 :ウェイン・ミレィナ英雄学院

魔力量:360

魔法 :変身魔法、その他不明

スキル:不明

肌  :白

髪  :短髪(金色)

目  :真紅

その他:七英雄の一人“悪魔”のアーシェの末裔。

    リスティスとユーレの実子で長男。

    イチオの策略でリスティスに育児放棄された。

    裏の英雄組織“アビスディストピア”に所属。

――

名前 :ヴィルジェス

年齢 :20歳

性別 :男

種族 :人間

職業 :別の世界の勇者、裏の英雄

魔力量:9999

魔法 :勇者専用魔法

スキル:勇者専用スキル、ブレイヴジャスティ・シリーズ

肌  :白

髪  :長髪(金色)

目  :蒼色

その他:勇者。

    アヴィルグの異世界転生前の姿。

    アヴィレネーナを捕らえ、

    首都に連行する最中に恋心が芽生えた。

    アヴィレネーナに再び出逢う為、

    女神に頼み込み同じ世界に転生した。

    アヴィルグが制限なく変身できる。

――――

この話の登場人物

――――

名前 :イチオ・サノ

年齢 :38歳

性別 :男

種族 :中級魔人

職業 :元アルディスの自警団の団員

魔力量:不明

魔法 :不明

スキル:不明

肌  :肌色(イエベ系)

髪  :短髪(黒色)

目  :茶色

その他:七英雄の一人”影“のユキタダの末裔。

    いつの間にか魔人の力を得ていた模様。

    幼馴染のリスティスと付き合い同棲し、

    心も身体も完全に堕とし支配していた。

――――

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