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あくまでも裏の英雄はじめます。  作者: 茉莉鵶
Chapter 3.成長期編
23/52

Episode 23.今夜は色んな事が起きて大変です。


 「ハハハハハハハハ!!馬鹿な女どもめ!!」


 家の外からイチオの大きな声が聞こえてきました。


 「イチオ様!!イチオ様!!」


 リスティスがそう言いながら…アヴィルグや私を無視して、一糸纏わぬ姿で玄関の方へ走り出そうとしました。


 「おかあさま!!イチオはアルシェおねえちゃんを…ころそうとした!!みて!!このち!!」


 そう言ってアヴィルグは、私が羽織っていて血に染まった肩掛けと、床に垂れた血をリスティスに見せました。


 「イチオ様!?イチオ様の血ですか??イチオ様は大丈夫なのですか!?イチオ様!!イチオ様!!」


 リスティスの目つきや表情はおかしくなっていて、完全にイチオに心も…身体も…支配されてしまっているような感じでした。


 「あの…リスティスおばさん??アヴィルグくん下手したらイチオってやつが投げた刃物に当たって死んでたかも知れないのに、何も心配しないのですね??ああ、そうでした。長い間育児放棄されてますもんね?」


 私は、リスティスのこの状態では無駄とは分かっていましたが、この数年間のアヴィルグの境遇を思うとぶつけるしかありませんでした。


 「無礼者!!イチオ様がそんな酷い事するわけありません!!イチオ様は私の為を思って、子供の世話はもうしなくて良い、俺の世話だけしてれば良いと言って下さったのです!!」


 「酷い!!アルリスもアヴィルグも、あなたがユーレと愛し合って望んで出来た子供ですよね??今アルリスはどうしているかご存知ですか?」


 もう…リスティスに何を言っても無駄かもしれないと思いました。


 「アルリスおねえちゃん、どこかいっちゃった。おうちにもういない。」


 アヴィルグが割って入るように、そうリスティスに声をかけました。


 「何を言うんですか!!イチオ様が毎日アルリスを学院に連れて行っているはずです!!嘘を言うんじゃありませんよ!!」


 アルリスはレスティアお母様が今、寮の私の部屋で面倒をみてくれています。

 イチオが連れて行っているとか、本当に馬鹿らしくて笑えてきます。


 「学院ってどこの事ですか?英雄学院の事でしょうか?」


 「そう、英雄学院にイチオ様は連れて行って下さっているの!!」


 アルリスは女学院の小等部です。

 どこをどうしたら、そう言う話になるのでしょうか?


 「アルリスは、私と同じ女学院ですし、寮に入れられているのをご存知ないのですか?馬鹿も休み休み言ってください。」


 リスティスは思考が停止したように一瞬固まりました。


 「誰がアルリスの面倒を見ていると思います?レスティアお母様がされているんですよ?」


 畳み掛けるようにリスティスに向かいそう言いました。


 この時…私は悟りました。

 女学院にアルリスを入れ更に家から追い出したのも、英雄候補学院の寮にアヴィルグを追い出そうとしたのも、イチオの仕業だったのでしょう。


 「イチオ様は、アルリスを英雄学院に連れて通ってると言ってました!!お姉様の世話になってる訳ありません!!ほら、アルリス!!アルリス!!」


 当然の事ながら、いくら呼んでもアルリスが来る気配はありませんでした。


 「お祖父様なら、アルリスが英雄学院に通っている事を証明してくれます!!お祖父様!!お祖父様!!」


 いつもなら声を張れば、リスティスの言うお祖父様であるひいお祖父様が現れるはずでしたが、全く来る気配がありません。


 「おかしいですね。お父様!!お父様!!」


 次に、リスティスは自分の父親を呼びましたが、これも当然ですが、全く反応がありませんでした。


 「ひいおじいさまも、おじいさまも、おばあさまもでてっちゃった。」


 見かねたのかアヴィルグはリスティスにそう伝えました。


 「そんな事ある訳ありません!!お母様!!お母様!!」


 もうここまで来ると、リスティスの態度も狂気の沙汰です。


 「だあれもいない。ぼくはひとり。ほんがおや。」


 「何を言うんですか!!イチオ様がアヴィルグの事を面倒見てると言っておりました!!失礼ですよ!!イチオ様に謝りなさい!!」


 ――バシンッ!!


 アヴィルグが凄むリスティスの右の頬を、本の表紙の面で思い切り殴りました。

 リスティスは何でアヴィルグに殴られたのか理解できない表情でした。


 「おかあさま、あたまおかしい。いくじほうき、せかいがちがえばしざい。」


 確かに…私の居た世界では、人間の法では、理由無く育児放棄した場合は死罪でした。


 ――バシンッ!!


 「あ。これはアルリスおねえちゃんのぶん。ぼくら、おかあさまのあい、ずっともらえなかった。」


 そう言って、アヴィルグはリスティスの左の頬も、本の表紙の面で思い切り殴りました。


 「アヴィルグ!!何をするの!!イチオ様は嘘をつかないお方です!!あなた達が嘘をついているのです!!恥を知りなさい!!」


 ここまで来ると…リスティスのその態度はご立派としか言いようがありませんでした。


 「おい…ユーレ。思っていたより深刻のようじゃ。お前さんが居らんと子供達も、この女も…この家族終わってしまうぞ?」


 沈黙を守っていた、シェンティことアーシェが急に口を開くとそんな事を言い始めたのです。

 

 ユーレについては、確か聞いた話では、アヴィルグがリスティスのお腹にいる時に、他の女と浮気しているのを見たとアーシェに断罪され、消されたとの事でした。


 「ユーレすまん。『封印解除』!!」


 シェンティは、リスティスに向かいそう唱えました。

 するとリスティスの体内から、見たことのある鮮やかな色の液体が流れ出てきたのです。


 「アヴィルグよすまなかったのう…。お前さんの父と私でな?居なくなってもリスティスは平気か?と言う賭けをしたのじゃ。お前さんの父は駄目だと賭け、私は大丈夫だと賭けたのだ。四年前までは大丈夫そうに見えたんじゃが…相当な鬼畜野郎のイチオに支配されてしまったんじゃろな。」


 そうシェンティが言ったかと思うと、鮮やか色の液体は一瞬スライムになり、次の瞬間人の形となりユーレの姿に戻りました。


 「アヴィルグ、ホントウニスマナイ。リスティスガメイワクヲカケタ。」


 「おとうさま!!おかあさまを…たすけてあげて!!」


 ユーレはアヴィルグの頭を優しく撫でると、リスティスを自分の身体で覆い被せました。


 ――――



 外では何か起こっている様子なのですが、騒ぎ出す直前に障壁を張っていた為、家は何もイチオの影響を受けていないようです。


 「ユーレ達はここに居てくださいね?アーシェ?守ってあげてください。」


 私はそう言って一人外へ向かいました。


 「アヴィルグ!!ダメダ!!アルシェサマニ、ツイテイッテハ!!」


 「だいじょうぶです。おとうさま。」


 すると背後からそのような会話が聞こえてきたのですが、私は玄関の外に空間転移する直前でした。


 「さいやくのこあくま?またあえてうれしいです。」


 私が玄関の外に空間転移しているのに、アヴィルグの声が聞こえました。

 ふと横を見ると、アヴィルグが私を見上げて微笑んでいたのです。


 「アヴィルグ?あなたは誰なのですか?」


 「みていてね?『へんしん』!!」


 アルリスが変身を使えることは知っていましたが、アヴィルグも使えるとは知りませんでした。

 アヴィルグは眩い程の光に一瞬飲み込まれました。

 私の変身する時とは正反対ですので、悪魔ではない筈と思っていたその時でした。


 「アヴィレネーナさん…。あの時は…僕達の為に…」


 私の目の前に居たのは、私を捕らえ首都まで連行する任務を負っていたあの勇者でした。


 「恥ずかしいから…もう言わないで下さい。」


 「これだけは言わせて下さい。結局…あの悪魔がアヴィレネーナさんと偽り悪事を重ねておりました。だから、あの世界では…もう“災厄の小悪魔”ではなく、自分の命を犠牲にして勇者一行を守った“英雄”なのです。」


 なんかそれを聞いた私は、もっと恥ずかしくなってしまいました。


 「何故…あなたはこの世界に生まれ変わってきたのですか?通常なら、あの世界で輪廻を繰り返す筈…。」


 「それ…聞いちゃいますか?理由は二つです。一つ目は…あなたにもう一度会いたかったから。二つ目は…あなたに名前を名乗るのを忘れていたから…です。この世界に来るの大変でしたよ?どこかに居るという女神を探すのに八年かかりました。やっと…頼み込んで、アヴィレネーナさんを転生させた世界に転生させて貰いましたから。」


 なんか…凄く…色んな意味で重い話しを聞かされたような気がします。


――――

この話の主な登場人物

――――

名前 :アルシェ=リーズランデ

年齢 :15歳

性別 :女

種族 :人間

職業 :フィルネルス女学院中等部

魔力量:309

魔法 :未知の魔法

スキル:未知のスキル

肌  :肌色(ブルベ系)

髪  :ロング(黒色)

目  :焦茶

その他:七英雄の一人、魔法騎士アルディスの末裔。

    七英雄の一人“悪魔”のアーシェの末裔。

    異世界転生者。

    裏の英雄組織“アビスディストピア”の主人。

――

名前 :アヴィレネーナ=ディズフィア

年齢 :不明(推定1000歳以上)

性別 :女

種族 :最古級悪魔

職業 :裏の英雄

魔力量:測定不能

魔法 :未知の魔法

スキル:未知のスキル、カラミティデモネズ・シリーズ

肌  :白

髪  :ツインテール(金色)

目  :真紅

その他:災厄の小悪魔。

    アルシェの異世界転生前の姿。

    アルシェの魔力量で容姿・年齢が変化。

    露出の極めて多い際どい衣装を着用。

    アルシェの変身魔法で10分変身可能。

    次に変身可能になるまで4.5時間必要。

――――

名前 :リスティス=リーズランデ

年齢 :38歳

性別 :女

種族 :人間

職業 :リーズランデ家当主

魔力量:369

魔法 :中級魔法全般

スキル:剣士スキル全般

肌  :肌色(ブルベ系)

髪  :ロング(黒色)

目  :焦茶

その他:七英雄の一人“悪魔”のアーシェの末裔。

    元国の騎士団所属の魔法剣士。

    アルシェの叔母(母の妹)。

    アルリス、アヴィルグの母だが育児放棄中。

    ユーレが死んだとされた後、

    幼馴染のイチオと付き合い同棲し、

    心も身体も完全に堕とされ支配された。

――――

名前 :ユーレ=リーズランデ

年齢 :不明

性別 :無性?

種族 :中級スライム

職業 :リーズランデ家当主の夫

魔力量:不明

魔法 :不明

スキル:不明

肌  :水色

髪  :長髪のような形

目  :◉

その他:リスティスが名付け親の”名付き“。

    頭や髪や四肢のようなものがある。

    アーシェによりリスティスの胎内に、

    封印され死んだ事にされていた。

――――

名前 :アーシェ=リーズランデ

年齢 :不明(推定500歳以上)

性別 :女

種族 :上級悪魔

職業 :英雄

魔力量:測定不能

魔法 :未知の魔法

スキル:未知のスキル

肌  :肌色(ブルベ系)

髪  :ロング(黒色)

目  :焦茶

その他:七英雄の一人“悪魔”のアーシェ。

    300年以上前、異世界転移してきた。

    魔神討伐後、自らの呪いで眠っていた。

    真名はアーシェンテア。

    “悪魔”のアーシェ時代、

    アヴィレネーナから盗んだ衣装を着用。

    シェンティ=リーズランデとして、

    アルシェの付きメイドに。

    裏の英雄組織“アビスディストピア”の秘書。

――――

名前 :アヴィルグ=リーズランデ

年齢 :6歳

性別 :男

種族 :人間(スライムとの混血)

職業 :ウェイン・ミレィナ英雄学院

魔力量:60

魔法 :変身魔法、その他不明

スキル:不明

肌  :白

髪  :短髪(金色)

目  :真紅

その他:七英雄の一人“悪魔”のアーシェの末裔。

    リスティスの子供。

    イチオの策略でリスティスに育児放棄された。

――

名前 :不明

年齢 :20歳

性別 :男

種族 :人間

職業 :勇者

魔力量:999

魔法 :勇者専用魔法

スキル:勇者専用スキル

肌  :白

髪  :長髪(金色)

目  :蒼色

その他:勇者。

    アヴィルグの異世界転生前の姿。

    アヴィレネーナを捕らえ、

    首都に連行する最中に恋心が芽生えた。

    アヴィレネーナに再び出逢う為、

    女神に頼み込み同じ世界に転生した。

――――

この話の登場人物

――――

名前 :イチオ・サノ

年齢 :38歳

性別 :男

種族 :人間?

職業 :アルディスの自警団の団員

魔力量:不明

魔法 :不明

スキル:不明

肌  :肌色(イエベ系)

髪  :短髪(黒色)

目  :茶色

その他:七英雄の一人”影“のユキタダの末裔。

    幼馴染のリスティスと付き合い同棲し、

    心も身体も完全に堕とし支配していた。

――――

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