Episode 12.子孫は当主に、始祖はメイドです。
不本意ながらも、私にスライムとの交際を祖父にバラされたリスティス叔母様と、“名付き”スライムのユーレは、私に強制的に『空間転移』させられ、今リーズランデ家の玄関前に居ます。
「アルシェ様…酷いです。私、心の準備出来てないです。」
そうリスティス叔母様が言った瞬間でした。
――ギィィィィッ…。
玄関の扉が開きました。
「ひぃぃぃぃっ…。」
リスティス叔母様の表情は引き攣っており、ユーレに至っては姿が見えません。
恐らくユーレは、リスティス叔母様の身体に纏わりついて隠れているのだと思います。
「何だ??目の前にいるのが、我が子孫のリスティスか?ほぼ私ではないか。」
扉が完全に開き、まず出てきたのはアーシェでしたが、開口一番、後から出てきた、ひいお祖父様に対し痛烈な一言でした。
「え…?ひいお祖父様…?この方、私にそっくり…ですが?」
「おお!リスティスよく戻ってきたのう。まぁ、家の中に入って話そう。」
リスティス叔母様はアーシェの姿を見て、目をぱちくりしています。
まぁ…無理もありません、リスティス叔母様は子孫の中で一番アーシェに似ているのかも知れません。
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「はっはっはっ!!子孫驚いたか?“悪魔”のアーシェとは我の事ぞ??」
障壁の無くなったアーシェの部屋で、ひいお祖父様、アーシェ、リスティス叔母様、ユーレ、私が、各々好き勝手に椅子やベッド等に腰掛けています。
「あ…あの…アーシェ様…?」
「何だ?お前の身体、スライムの臭いがプンプンしておるぞ?まさか、さっきまで子作りに励んどったのか??」
確かに…リスティス叔母様の身体からスライムの臭いが凄くしてきていました。
事後だったとはいえ、お風呂に入る余裕も与えず連れてきてしまった私も悪いのですが…。
「はい…二人の赤ちゃんが欲しくて。」
リスティス叔母様は顔を赤くしながらも、アーシェの目を見て答えました。
「アルシェ様!!最中の二人連れてきてはいないですよね…??」
「だいじょぶ、じご。」
アーシェは私をどう思っているのでしょうか。
「なぁ?リスティスと言ったか?お前さん、今からリーズランデ家の当主だ。このじいさんが全面的に補佐をしてくれるから安心しろ。」
リスティス叔母様はまた目をパチクリパチクリしています。
母が存命で居るのに、憧れの“悪魔”のアーシェその人から自分が当主に指名された訳ですから。
「ありがとう…ございます。ですが、アルシェ様のお世話はどなたが…?」
「はっはっはっ!!我が、アルシェ様の付きメイドになるから安心しろ!!」
リスティス叔母様の表情が一瞬曇りました。
「メイドや乳母として、デルジェイム家に入る際…当主に試験と称して…身体を一晩中好きにされます…。私も…そうでした。」
「何だと!?デルジェイムはそんな卑劣な真似をしておるのか…。知らずに可愛い孫娘を送り込んでしまったのだな…。リスティス…本当にすまぬ事をした…。」
ひいお祖父様が本当にすまなそうな表情で、リスティス叔母様に深々と頭を下げました。
「お祖父様、私は大丈夫です。そうです!アーシェ様、私のフリをされては如何でしょう?」
「馬鹿め!!お前は当主になるのだぞ??まぁ、人間の男なんぞ、我の力でした事にさせるから平気だ。ところで、そこのスライム!!我が子孫の具合はどうだ?良いか?」
アーシェは話をまとめると、急にユーレに話を振りました。
「ハイ!!リスティス、スゴクキモチイイデス!ヤミツキデス!」
「ははは!!これからも、子孫のこと可愛がってやってくれよ?と言うか、もう仕込んだみたいだな?」
アーシェは上機嫌でユーレと言葉を交わしています。
「ハイ。」
「リスティス、ユーレ。楽しみにしておるぞ?」
アーシェはこんなに大人だったのかと、思わされました。
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「リーズランデ家の当主になられたリスティス様に代わり、本日からアルシェ様のお世話をさせていただきます、シェンティ=リーズランデと申します。」
アーシェはシェンティと偽名を使い、リーズランデ家の分家筋と言う事で私の付きメイドとなりました。
お父様は、まんまとアーシェに記憶操作され、シェンティとは既に事後という扱いになっているようです。
お母様は、愚妹と思っていたリスティス叔母様が、リーズランデ家の当主になった事に、嫉妬に狂っているようです。
シェンティは、お母様の妹だったリスティス叔母様とは違う扱いとなり、服装はメイド服のみしか着れないようです。
「アルシェ様、このメイド服の下…裸なんです!!下着つけさせて貰えないんです!!」
初日からシェンティは不満炸裂させています。
「シェンティ?だいじょうぶ?」
そんな時は、五歳女児の私が声をかけながら、見つめてあげれば良いのです。
「アルシェ様…。」
私をギュッと抱きしめると、シェンティは落ち着きを取り戻したように見えました。
「ああああ!!」
ダメみたいです。
でも、こうしてまた二人で一日中過ごせるのは本当に幸せな事です。
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シェンティが私の付きメイドになって、早いもので十ヶ月が経とうとしていた時の事でした。
「アルシェ様?リスティス様のお腹の子が産まれそうとの知らせが参りました。」
「シェンティ?おいで?」
ユーレとの子どもは順調に育ってくれたようです。
私はシェンティの手を握ると…。
「ふふっ?『空間転移』!!」
――ビュンッ!
そうでした。
悪魔は私以外にもシェンティことアーシェが居ました。
私の唱える前に、シェンティに先に唱えられてしまい、リーズランデ家の当主の部屋に転移しました。
「わぁ!?」
声をあげたのは、私の祖母でリスティス叔母様の母ラスティナその人でした。
「えへ?」
「悪いな?我が子孫よ。」
シェンティがアーシェだと言うのは、私のお母様以外周知事項となっていました。
「アーシェ様。我が孫、アルシェをお連れいただいて…ありがとうございました。」
私が悪魔のアヴィレネーナと知っているのは、ひいお祖父様とアーシェのみなので少しややこしいのです。
アヴィレネーナ>アーシェ>リーズランデ家
こう言う力関係なのですが、まぁ致し方ないです。
当主の部屋の中の扉付近に今私達は居るのですが、奥の寝室にリスティス叔母様は居るようです。
当主の部屋は大きな部屋でしたが、アーシェが目覚めてから改装が行われました。
部屋は、二つに区切られ最初の部屋は執務室、次の部屋がリスティス叔母様とユーレの愛の巣の寝室になりました。
――ギィィィィッ!
シェンティが寝室への扉を開けてくれました。
部屋の中には、ベッドに横になり苦しそうなリスティス叔母様と、その側で見守るしかないユーレの姿がありました。
リスティス叔母様のお腹はとても大きくなっており、時折蠢いています。
「子孫?来たぞ。私もな、三百年以上前ここで産んだのだ…。頑張るんだぞ?」
こう見えてシェンティも元人妻で経産婦だったことに気付かされました。
私は前の世界では一度も産むことなく生涯を終えることになったので、お産の経験がありません。
「アーシェ様、アルシェ様?言われた通り、元気な赤ちゃん…産まれそうです。」
私は少し心配している事がありました。
それは、リスティス叔母様は悪魔と人間の混血なのですが、“名付き”スライムとの間にはどんな子が産まれるのか見当もつきません。
恐らく悪魔の血がある事で、スライムの子を妊娠出来たのだと思います。
「おばさま、あかちゃん、がんばれ!!」
私には祈る他に術はありませんでした。
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この話の主な登場人物
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名前 :アルシェ=デルジェイム
年齢 :5歳
性別 :女
種族 :人間
職業 :なし
魔力量:50
魔法 :未知の魔法
スキル:未知のスキル
肌 :肌色(ブルベ系)
髪 :ボブ(黒色)
目 :焦茶
その他:七英雄の一人、魔法騎士アルディスの末裔。
七英雄の一人“悪魔”のアーシェの末裔。
異世界転生者。
元災厄レベルの悪魔。
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名前 :アヴィレネーナ=ディズフィア
年齢 :不明(推定1000歳以上)
性別 :女
種族 :悪魔
職業 :不明
魔力量:測定不能
魔法 :未知の魔法
スキル:未知のスキル
肌 :白
髪 :ボブ(金色)
目 :真紅
その他:災厄の小悪魔。
アルシェの異世界転生前の姿。
アルシェの変身魔法で10分変身可能。
次に変身可能になるまで6時間必要。
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名前 :リスティス=リーズランデ
年齢 :28歳
性別 :女
種族 :人間
職業 :リーズランデ家当主
魔力量:303
魔法 :中級魔法全般
スキル:剣士スキル全般
肌 :肌色(ブルベ系)
髪 :ロング(黒色)
目 :焦茶
その他:七英雄の一人“悪魔”のアーシェの末裔。
元国の騎士団所属の魔法剣士。
アルシェの叔母(母の妹)。
グラマラス&スレンダー。
アルシェ崇拝者。
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名前 :ユーレ=リーズランデ
年齢 :不明
性別 :無性
種族 :スライム(のはず)
職業 :リーズランデ家当主の夫
魔力量:不明
魔法 :不明
スキル:不明
肌 :水色
髪 :長髪のような形
目 :◉
その他:リスティスが名付け親の”名付き“。
頭や髪や四肢のようなものがある。
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名前 :ウッドヴェル=リーズランデ
年齢 :78歳
性別 :男
種族 :人間
職業 :リーズランデ家元当主
魔力量:302
魔法 :初級魔法全般
スキル:商人スキル全般
肌 :肌色(イエベ系)
髪 :白髪
目 :青茶
その他:アルシェのひいお祖父様。
リーズランデ家の婿養子。
リスティスとアルシェがお気に入り。
過剰な身体への接触行為が玉に瑕。
アーシェ崇拝者。
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名前 :アーシェ=リーズランデ
年齢 :不明(推定500歳以上)
性別 :女
種族 :悪魔
職業 :賢者
魔力量:計測不能
魔法 :未知の魔法
スキル:未知のスキル
肌 :肌色(ブルベ系)
髪 :ロング(黒色)
目 :焦茶
その他:七英雄の一人“悪魔”のアーシェ。
300年以上前、アヴィレネーナの
元から突如、異世界転移してしまう。
魔神討伐後、自ら呪いをかけ眠った。
真名はアーシェンテア。
アヴィレネーナの所有物。
シェンティ=リーズランデとして、
アルシェの付きメイドに。
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