Episode 11.メイドを雇う事に決めたのです。
私がアーシェの真名を囁くと、アーシェの身体を覆っていたヴェールを模したような障壁が消えていきました。
「アヴィレネーナ様!!アーシェ様のお身体が露わに!!」
「ああ、そろそろ目覚めるだろうよ。」
私とひいお祖父様は、ベッドの傍で固唾を呑んでアーシェが目覚めるのを待っていましたが、なかなか目を開ける気配がありません。
「なぁ…?お前さんはこの状況、どう思う?」
私はひいお祖父様に意見を聞いてみることにしました。
すると、ひいお祖父様が私に耳打ちしてきたのです。
「アーシェ様は…アヴィレネーナ様に目覚めてからキスをされていないので、待たれておるのでは?」
「ああ、そう言う事か…思い出した。昔もよく手を焼かせておったわ。ありがとう。」
ひいお祖父様の助言に昔のことを思い出し、ひいお祖父様に耳打ちして礼を伝えました。
「さて…。私の可愛いアーシェ。待たせて悪かったな?」
――チュッ!
私はアーシェの唇に唇を思い切り重ねました。
その唇は、呪いが解ける前とは違い、しっかりと血の通った柔らかな唇でした。
そして、そっとアーシェの唇から顔を離した時でした。
「本当に来るの…遅いですよ…??アヴィレ様…逢いたかったです!!」
アーシェの目が開いて急に喋り出すと、私に抱きついてきました。
「おいおい!居なくなったのはアーシェの方だぞ?私は…三百年もの間探し続けていたのだぞ…。バカ…。」
「え…。三百年…?!ど…どう言うことですか!?」
私の三百年と言う言葉にアーシェは驚きを隠せないようでした。
「口を挟んで申し訳ありません。今は…アーシェ様がお眠りになられてから三百年後の世界なのですよ…。」
「誰?!人間の男?でも…あの時の私のツガイでは…。」
「私は、現在のリーズランデ家の当主代行を務める婿養子でございます。貴女様の眠るこの部屋は…代々当主とその夫が守って今日まで参りました。」
「なるほどな…。私の子孫のツガイであったか。今日まで護衛ご苦労であったな。礼を言うぞ。」
アーシェは理解したようでした。
「アヴィレ様…。私は…人間の男に娶られ、交わり…その子供まで産みました。代々女子のみ、私の面影を残すように呪いをかけました。こんな私でも…また一緒に居て頂けますか?」
私が言うまでもなく、アーシェは自分の身の上の事を素直に私に白状してきました。
「ああ、許してや…!?」
――シュウゥゥゥッ…。
「あれ!?へんしん、もどった!?」
時間切れでしょうか…変身が解けてしまい、私は五歳女児の姿に戻ってしまいました。
「ええええっ!?」
部屋にアーシェの驚きの声が響きました。
――――
アーシェが私の顔をジーッと見つめてきています。
「なぁ…?お嬢ちゃん、お名前なんて言うの?」
「わたし、アルシェ!!アヴィレネーナ、わたし。」
アーシェは私の言葉に、何か気づいたような顔をしました。
「アルシェかぁ。お嬢ちゃんの身体から…アヴィレ様のいい匂いするんだよね。ねぇ?私のアヴィレ様隠してなぁい?お腹裂いてもいいんだよ?」
アーシェはピントがズレすぎで暴走しやすく、非常に危険で周りに迷惑をかけないよう…私の家に幽閉していた事忘れていました。
「アーシェ様!その女子は、私のひ孫のアルシェでございます。ですが、アーシェ様の主人アヴィレネーナ様でもあるのです。異世界より転生してこられたそうで…。」
咄嗟にひいお祖父様が私のフォローをしてくれました。
変身する所を見せた上、身の上話しておいて正解でした。
「危なかった!!お嬢ちゃんのお腹裂くとこでした!!アルシェ様が、アヴィレ様なんですね…。」
「うん!!」
やはり…アーシェは思い込みが激しいのは、未だに治って無さそうです。
「これから…アーシェ様はどうされるおつもりですか?既にこの世界では、“悪魔”のアーシェは亡くなっている扱いなのですが。」
ひいお祖父様がそうアーシェに現実を伝えたのです。
「そうだ、私が望んで…ツガイに死んだ事にしてもらったのだったな…。」
「はい。七英雄の一人が蘇ったとなれば、魔神の勢力も変な気をまた起こすかも知れません…。」
ひいお祖父様はいつにもなく真剣な眼差しでした。
「私、アルシェ様のメイドになりたいです!!ずっとアヴィレ様のお世話してきましたから…。」
突然思いついたようにアーシェはそんな事を言い出しました。
「リスティスおばさま、スライム、あかちゃん、つくる!!」
私も今できるのはこの情報を、おばさまの祖父に当たる、ひいお祖父様に伝える事でした。
「何だって?!リスティスはスライムと子作りしているのですか!?」
一番可愛い孫娘のリスティスがスライムと愛し合っているとの話を聞き、流石にひいお祖父様はショックを隠せない様子でした。
「にんげん、にてる、はなす、スライム!なまえ、ユーレ!」
とりあえず、ただのスライムと思っているので、流石にそれは誰でもあり得ないと思うので、フォローを入れておきました。
「人間に似た姿の話せるスライムなのですか!?興味が湧いてきました。」
「ユーレ、リスティスおばさま、すくった!きしだん。」
ひいお祖父様は武勇伝に弱いので、ユーレのことをダメ押しです。
「ユーレは、騎士団時代のリスティスを救ったのですか!?まさに、我が混血の一族に相応しい…ですよね?アーシェ様。」
既に、リーズランデ家自体、アーシェが悪魔なので魔物の血が流れているので、ひいお祖父様はユーレがどんな存在なのか知りたかっただけかも知れません。
そこに急に話を振られて慌てるアーシェでしたが、コクンと頷きました。
「リスティスとやらは、今どこで何をしておるのだ?」
「アルシェの乳母をして…!!ああ、そうです!!リスティスとユーレを我が家の正統な後継として据える為に、リーズランデ家に戻し、代わりにアーシェ様をアルシェの付きメイドとして送り込むのは如何でしょうか?」
ひいお祖父様は、貿易関係で財を一代で成しただけあり、流石頭の回転が早いことが分かりました。
「それで良いぞ?まず、リスティスとユーレに会いたいがな?」
「わたし、いっしょ、くる!!」
「あぁ…アルシェ様…可愛すぎます。しかも、私の子孫になるなんて…。運命ですよね??」
アーシェは小さい私に萌えてるようだが、この姿どう見てもアーシェの子供時代にしか見えません。
とりあえず、私がリスティス叔母様を連れてくる事にしました。
「いってきます!!『くうかんてんい』!!」
――ビュンッ!!
――――
――スタッ!
「アルシェ、とうちゃく!!」
いつものように私は『空間転移』後の決めポーズを取りました。
ですが、目の前のもの凄い光景に私は唖然としました。
リスティス叔母様がとてつもなくあられもない姿で…ベッドの上で肩で呼吸していました。
「おばさま、どうした?!」
「アルシェ様…赤ちゃん、出来そうです…。」
思わず声をかけた私でしたが、リスティス叔母様の力ない返事で悟りました。
恐らく、私が出て行った後、ユーレと大いに半年ぶりに楽しんだのでしょう。
その結果がこの姿であると言う事をです。
「おばさま、ユーレ、ひいおじいさま、よんでる!!」
リスティス叔母様は慌てて身体を綺麗にし始めました。
「え!?どうしましょう…。ユーレ?リーズランデ家の当主代行がお呼びなの…。って、え?!ユーレの事、何故!?」
「ひいおじいさま、ユーレ、みとめた!!」
リスティス叔母様はドレスを着終わると、ユーレを抱きしめて喜んでいます。
私は抱き合う二人に抱きつきました。
「しゅっぱつ!!『くうかんてんい』!!」
――ビュンッ!!
リスティス叔母様はやられたと言う表情を見せました。
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この話の主な登場人物
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名前 :アルシェ=デルジェイム
年齢 :5歳
性別 :女
種族 :人間
職業 :なし
魔力量:50
魔法 :未知の魔法
スキル:未知のスキル
肌 :肌色(ブルベ系)
髪 :ボブ(黒色)
目 :焦茶
その他:七英雄の一人、魔法騎士アルディスの末裔。
七英雄の一人“悪魔”のアーシェの末裔。
異世界転生者。
元災厄レベルの悪魔。
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名前 :アヴィレネーナ=ディズフィア
年齢 :不明(推定1000歳以上)
性別 :女
種族 :悪魔
職業 :不明
魔力量:測定不能
魔法 :未知の魔法
スキル:未知のスキル
肌 :白
髪 :ボブ(金色)
目 :真紅
その他:災厄の小悪魔。
アルシェの異世界転生前の姿。
アルシェの変身魔法で10分変身可能。
次に変身可能になるまで6時間必要。
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名前 :リスティス=リーズランデ
年齢 :28歳
性別 :女
種族 :人間
職業 :アルシェの乳母兼護衛
魔力量:303
魔法 :中級魔法全般
スキル:剣士スキル全般
肌 :肌色(ブルベ系)
髪 :ロング(黒色)
目 :焦茶
その他:七英雄の一人“悪魔”のアーシェの末裔。
元国の騎士団所属の魔法剣士。
アルシェの叔母(母の妹)。
グラマラス&スレンダー。
アルシェ崇拝者。
ユーレとは恋人同士。
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名前 :ユーレ
年齢 :不明
性別 :無性
種族 :スライム(のはず)
職業 :不明
魔力量:不明
魔法 :不明
スキル:不明
肌 :水色
髪 :長髪のような形
目 :◉
その他:リスティスが名付け親の”名付き“。
頭や髪や四肢のようなものがある。
リスティスとは恋人同士。
アルシェの部屋に密かに居候。
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名前 :ウッドヴェル=リーズランデ
年齢 :78歳
性別 :男
種族 :人間
職業 :リーズランデ家当主代行
魔力量:302
魔法 :初級魔法全般
スキル:商人スキル全般
肌 :肌色(イエベ系)
髪 :白髪
目 :青茶
その他:アルシェのひいお祖父様。
リーズランデ家の婿養子。
リスティスとアルシェがお気に入り。
過剰な身体への接触行為が玉に瑕。
アーシェ崇拝者。
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名前 :アーシェ=リーズランデ
年齢 :不明(推定500歳以上)
性別 :女
種族 :悪魔
職業 :賢者
魔力量:計測不能
魔法 :未知の魔法
スキル:未知のスキル
肌 :肌色(ブルベ系)
髪 :ロング(黒色)
目 :焦茶
その他:七英雄の一人“悪魔”のアーシェ。
300年以上前、アヴィレネーナの
元から突如、異世界転移してしまう。
魔神討伐後、自ら呪いをかけ眠った。
真名はアーシェンテア。
アヴィレネーナの所有物。
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