Episode 10.始祖の真名を知るのは私だけです。
日記が保管されているという部屋まで、ひいお祖父様に抱き抱えられながら連れていって頂いている最中なのですが、相変わらず…過剰過ぎる身体への接触は止まりません。
「アルシェちゃん?大丈夫?お尻とか痛くない?」
抱き抱えられているのにお尻が痛くなるわけ無いのですが、全く私が五歳女児で何されているか分からない事知っている上での接触…これさえ無ければ本当に良いひいお祖父様なのです。
「だいじょうぶ!!いたくない!!」
「そうかそうか。そろそろお部屋に着くからね?」
私の言葉に少し残念そうな表情を、ひいお祖父様はしましたが、目の前に一際厳重そうな区画が現れました。
私の目には見えているのですが…ただの人間では見えない障壁が張られておりました。
「ここはね?当主及び当主代行しか来れない場所なんだよ?アルシェちゃんは特別だからね?」
そう私に笑いながら伝えた直後、ひいお祖父様は何か呟きました。
次の瞬間、ひいお祖父様と私はその障壁の内側におりました。
「アルシェちゃん?ここにはね?アーシェ様が自らの魔法で三百年もの間、お眠りになられていらっしゃるんだよ?本当に美しくてね!!やはり本物の悪魔の女性は、人間の女なんかと違うんだよ!!」
今、ひいお祖父様は本物の悪魔と言いました。
しかも自らの魔法でアーシェ様が眠っていると…。
「アルシェ、にっき、よむ!!」
アーシェ様も見てみたいのですが、はやる気持ちを抑えました。
まずは、アーシェと呼ばれる悪魔の遺した日記を読まなくてはと、私は何故か思いました。
「そうだった!!アーシェ様の日記は、こっちの机の上にあるよ?」
障壁の内側は、広い部屋になっており、本棚や机、ベッドや、家具などが置かれ生活感の残る煌びやかな装飾の部屋でした。
机の上に古びた日記帳が置かれておりました。
日記帳の表紙には、この世界の言葉で、アーシェと書かれています。
「にっき、ふつう、ことば?」
「いやいや、アルシェちゃん、開いてみてごらん?」
そう言われたので私は魔法でこの日記帳を開く事にしました。
「『ほんよみ』!!」
――フワッ!
日記帳の表紙が優しく包まれるように捲られました。
「アルシェちゃん!?そんな魔法知らないよ?!」
まぁ…古い魔法なので、誰も知らないはずです。
ですが、これで日記帳は私の意のまま、古い日記帳を傷つけることなく頁を送りを自由自在にする事ができます。
「アルシェちゃん?一番最後の頁は読めない言葉で書いてあるだろう?」
確かに、一番最後の頁は、何故か…私の居た世界の悪魔が使う古代共通語で書かれていました。
[一番最後の頁の手記]――
アヴィレ様…アヴィレ様…アヴィレ様…。
貴女の居ない世界なんて…。
生きている価値もありません。
でも…。
もしも、いつか貴女がこの世界に来てしまった時…。
貴女の所有物の私が生きていないと知ったら…。
貴女を悲しませてしまうでしょう。
なので、貴女がいらっしゃるその日まで…。
私は眠りにつきます。
貴女からの口づけ…。
貴女から真名を呼ばれる…。
この二つの条件で目覚める呪いを掛けておきます。
追伸
私の子孫は私の面影を残すようにしておきました。
手記を読めていると言うことは、辿り着いたのですね。
アヴィレネーナ様、お待ちしておりました。
私の心は、貴女様だけのものです。
心より愛を込めて。
アーシェ=リーズランデ
――
思い切り私の名前が書かれており、アーシェの正体がアイツだと言うことが分かりました。
居ないと思ったら、こんな異世界に飛ばされて居たとは思いもしませんでした。
元の世界で私は三百年以上、来る日も来る日もアイツを探し回りました。
そして、探すことを一度やめ、人間達と暮らし始めたのです。
アイツがいつ戻ってきても、人間達と平和に暮らせるようにです。
「ひいおじいさま?にっき、アーシェさま、おきる、ほうほう、ある!」
ひいお祖父様相手なので、正直に伝えました。
「おおおお!!アルシェちゃん!!アーシェ様はどうすれば、お目覚めになられるのかな?」
「ひいおじいさま、アルシェ、ひみつ、まもる?」
ひいお祖父様は私の言葉を聞いて、唾をゴクンと飲み込んで真剣な表情になりました。
「アルシェちゃん、約束しよう。」
「ありがとう!!ひいおじいさま、みてて?『へんしん』!!」
――ピカッ!!
私の言葉と共に、部屋の中が眩い光が包み込まれました。
――――
「あ…あ…。」
ひいお祖父様は私の姿を見て言葉が出ないようです。
眩しい光が消えた後…私の姿は、”災厄の小悪魔“アヴィレネーナ=デイズフィアの姿に変身しておりました。
悪魔の女性が大好きなひいお祖父様にとっては、何よりのご褒美の他ない筈です。
「アルシェちゃん…なのかい?」
「いいや?私の名は、アヴィレネーナ=ディズフィアさ?お前さん、悪魔見ても怖くないのかい?」
よく見ると、ひいお祖父様の穿き物の股間のあたりが非常に盛り上がっております。
まぁ…憧れだった生きた悪魔の女性を目の当たりにしてるのだから仕方のない事かも知れません。
「アヴィレネーナ様、失礼承知なのですが…私の大切なひ孫をどこに隠されたのでしょうか…。」
やはり、根は凄く良いひいお祖父様でした。
私の事を心配してくれているようです。
「すまんな?アルシェは私の今の姿なのだ。本来、私はこの姿をしておったのだが、この世界に転生してな?」
「アルシェちゃん!?はぁ…はぁ…。夢を見ているみたいです…。美麗な悪魔の子孫が、こんな淫靡な悪魔の生まれ変わりだなんて。うっ…。」
結構の歳なのですが、ひいお祖父様の穿き物の股間の部分が少し滲みてきました。
今、アイツのことは美麗と言ったのに、私のことは淫靡と言われ少し落ち込みました。
確かに私は際どい格好はしていますが、アイツが美麗だなんて、男から見ればそう見えるのでしょうか。
「それでだ。お前さん、この秘密守れるかい?」
「守れます!!」
ただ口約束だけでは心許なかったので、ひいお祖父様には悪いのですが、誓約させることにしました。
「ほら、私のココに…誓いの口づけをしな?」
「よ、喜んで!!」
そう叫ぶと、ひいお祖父様は私の大事な所に思い切り吸い付いてきました。
「誓約完了だな。破れば直ぐさまお前さんの身体は塵一つ無くなるからね?」
吸い付くだけでは飽き足らず…舌まで挿れてきました。
「なぁ…?悪魔の女の味は堪能できたかい?」
私の言葉に、ひいお祖父様はハッとして吸い付くのをやめました。
「アヴィレネーナ様!!最高でした!!」
さて…私にはアイツを…アーシェを、起こす使命があります。
「ウッドヴェル?私はアーシェを起こすから、じっとしてておくれよ?」
「はい!!」
私はアイツの眠るベッドの傍までやって来ました。
頭の角、背中の翼、尻尾を上手く魔法で隠しているようですが、どこからどう見てもアイツでした。
「遅くなったね?私の可愛い子…。」
――チュッ!
アイツの唇にそっと私の唇を重ねると、アイツの身体が光に包まれました。
「アヴィレネーナ様!!お気をつけて!!そこまでは何人もの当主や当主代行が試みて居るのです…。その後で上手くいかず、光が消えるのと同時に試みた者は命を奪われるのです。」
当主とは女系子孫のことで、当主代行とは婿養子の事を指します。
「大丈夫じゃ。何せ私はコイツのご主人様だからな?」
私は、アイツの耳元で囁きました。
「アーシェンテア。私の可愛い子。」
真名を囁いた瞬間、部屋中に眩し過ぎるくらいの光が溢れていきました。
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この話の主な登場人物
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名前 :アルシェ=デルジェイム
年齢 :5歳
性別 :女
種族 :人間
職業 :なし
魔力量:50(二匹のゴブリンで19増えた)
魔法 :未知の魔法
スキル:未知のスキル
肌 :肌色(ブルベ系)
髪 :ボブ(黒色)
目 :焦茶
その他:七英雄の一人、魔法騎士アルディスの末裔。
異世界転生者。
元災厄レベルの悪魔。
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名前 :アヴィレネーナ=ディズフィア
年齢 :不明(推定1000歳以上)
性別 :女
種族 :悪魔
職業 :不明
魔力量:測定不能
魔法 :未知の魔法
スキル:未知のスキル
肌 :白
髪 :ボブ(金色)
目 :真紅
その他:災厄の小悪魔。
アルシェの異世界転生前の姿。
アルシェの変身魔法で10分変身可能。
次に変身可能になるまで6時間必要。
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名前 :ウッドヴェル=リーズランデ
年齢 :78歳
性別 :男
種族 :人間
職業 :リーズランデ家当主代行
魔力量:302
魔法 :初級魔法全般
スキル:商人スキル全般
肌 :肌色(イエベ系)
髪 :白髪
目 :青茶
その他:アルシェのひいお祖父様。
リーズランデ家の婿養子。
リスティスとアルシェがお気に入り。
過剰な身体への接触行為が玉に瑕。
アーシェ崇拝者。
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名前 :アーシェ=リーズランデ
年齢 :不明(推定500歳以上)
性別 :女
種族 :悪魔
職業 :賢者
魔力量:計測不能
魔法 :未知の魔法
スキル:未知のスキル
肌 :肌色(ブルベ系)
髪 :ロング(黒色)
目 :焦茶
その他:七英雄の一人“悪魔”のアーシェ。
300年以上前、アヴィレネーナの
元から突如、異世界転移してしまう。
魔神討伐後、自ら呪いをかけ眠った。
真名はアーシェンテア。
アヴィレネーナの所有物。
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