17-1.不安でいっぱい
お待たせ致しましたー
*・*・*
怖い。
怖い怖い怖い怖い怖い。
穫は怖かった。
呪怨の時だって、ずっと怖かったのに。
今回は違う。
下手すると、死にかけたのだ。
自分の意思ではなく、相手。
八岐大蛇と言う化け物によって。
「あそこにいた時は、変な感じなんてしなかったのに……」
けど、相手の意思で。穫は生命を失いかけた。
エミと佐和がいなければ、二度と笑也の腕の中に戻って来れなかった。
その奇跡に感謝こそするが、同時に酷い不安に襲われてしまった。
また、八岐大蛇に連れて行かれたら、もう二度と戻って来れないかと思うと。
怖くて怖くて。
自室に戻ってから、穫は咲夜や羅衣鬼に抱き締めてもらっていた。二人の霊力と神気を外側と内側、両方に浸透させるためだ。
普段から、彼らの加護は受けているが、今日は異例中の異例。
対策は出来ることはした方がいいと笑也に言われたので、自室に戻ってから小一時間実行していたのだ。
だが、じっとしながらも考えてしまうのは不安について。
終わってからも、穫は安心出来なかった。
「……穫」
咲夜が動かない穫の肩をぽんっと叩いてきた。
「笑也のとこに行くといい」
「……咲夜?」
「私や羅衣鬼ではダメだ。穫の心を癒すことが出来るのは、笑也だけだ」
「そうだな! 俺もそう思う!」
さあさあ、と二人に手を引かれ。
携帯だけ持たされ、笑也の部屋の前に立つ時に羅衣鬼がインターホンを押してしまったので、笑也がすぐに出てきて。
あとは頼んだ、とだけ二人はさっさと戻って行ってしまい。残ったのは、穫とまだぽかんとしている笑也だけになった。
「……どうしたの?」
完全に二人だけが帰ってから、笑也は穫の顔を覗き込んできた。
目が合うと、穫はなんだか縋りたい気持ちに駆られてしまい。
「笑也さん!」
「わ!?」
笑也に抱きつき、堪えてた涙がこぼれてきて笑也のシャツを濡らした。
笑也はもうフォーマルスタイルのスーツではなく普通の部屋着だったので、遠慮なく泣いてしまったのだ。それでも良くはないが。
笑也は、穫が泣き出すと。穫の足に手を伸ばして抱き上げてくれた。
玄関の扉を閉めて、穫を抱き上げたままリビングに向かい。
ソファに腰掛ける時に、穫を膝の上に下ろした。
「…………ごめん、なさい。いきなり、泣き出して」
「……いいんだよ。怖い思いしたんだから、当然だ」
そうして、穫の額に軽くキスをしてから。よしよし髪を優しく撫でてくれた。
その気遣いに、また涙が溢れてきたが、穫はもう泣くだけ泣いて。
泣き止んでからは、笑也といっぱいいっぱいキスをして。笑也に泊まるか、と言われたので素直に頷き。キス以上のことはせずに、笑也のベッドで一緒に共寝することになったのだった。
次回はまた明日〜




