15-4.誕生日パーティー③
お待たせ致しましたー
料理も、豪勢だった。
ピザはいつもの宅配ピザでも、デラックスサイズで食べ応えがありそうなもので。
だが他は、多分巧の手製かもしれない。
唐揚げ。
フライドポテト。
クリームコロッケ。
ポテトサラダ。
フィッシュ&チップス。
などなどなど。
ジャンキーな食べ物だらけだった。
もちろん、バースデーケーキもあったのだが。
それは注文したものだと思われるが、サイズが。
今まで、ごく普通の家庭で育ってきた穫には、信じられないサイズだった。テレビで芸能人が扱うようなメートルサイズのバースデーケーキ。
秋苺たっぷりで、穫の大好きなチョコクリームがふんだんに使われていて、とても美味しそうだった。
「今日ぐらいはって、僕が注文したんだよ?」
「笑也さんが?」
「そりゃ、彼氏ですからこれくらいは?」
茶化して言うが、笑也が言うのだからちっとも嫌味っぽくない。
グラスを持っていなければ絶対抱きつきに行ったが、今は我慢だ。
巧が付属にと買っておいたらしいろうそくは、本数ではなく数字のタイプ。2と0のろうそくを、ケーキの真ん中あたりに刺して、すぐにチャッカマンで火を点けた。
「ほな、照明一回消すで?」
巧が少し奥に行くと、一気に広いバーラウンジが真っ暗闇になった。見えたのは、穫の目の前にあるケーキのろうそくの灯りだけ。
と思っていたら。
目の前を、蛍のような灯りが通り過ぎたのだった。
「みのりんのパーティーなんだから、ちょっとしたデモンストレーションよん?」
エミが何かしてくれたようで、蛍の光みたいな灯りがどんどん増えていき。
上に登っていくと、まるで天の川のようになっていた。
「さ、穫ちゃん? 火を消して?」
笑也に言われてから、穫はふっとろうそくに息を吹きかけて。
火が消えて、天の川の光だけになったら、わっと声が上がった。
「では、穫ちゃんの誕生日を祝して。乾杯!!」
笑也が音頭を取れば、他のメンバーも乾杯と言い合い。
穫は、巧に作ってもらったグラスを笑也の細長いグラスとかち合わせて。
人生で初めての、お酒を飲むことにした。
ゆっくりとグラスを傾けて、ピンク色の液体を口に含むと。
桃の甘味に、ほのかに苺の味がして。
とてもフルーティーで、飲みやすいお酒だった。
「美味しいで……!?」
笑也にそう言おうとしたら。
天の川の光で照らされた彼の顔が、ぐにゃりと歪んで見えたのだった。
「穫ちゃん?」
【……穫】
笑也は普通に返事をしただけなのに。
彼の声に重なって、別の誰かが穫を呼んだ。
その声が聞こえた直後から。
穫の意識が途絶えた。
次回はまた明日〜




