13-2.呪怨の発生(呪怨視点)
お待たせ致しましたー
*・*・*(呪怨視点)
ああ、ああ。
喰らいたい、喰らい足りない。
何を。
何が。
肉を。
血を。
魂を。
喰らうに喰らいまくって。
呪怨は、本来の目的をまた忘れかけていた。
喰らい過ぎて。
味を、味わい過ぎて。
味をしめて。
ああ、この満足感は何時以来か。
昔、昔。
ああ、昔だ。
巫蠱の呪詛を、愚かにも見様見真似でやろうとしていた、万乗の女がきっかけだった。
まだ呪怨として間もなかった、呪詛の塊だった呪怨を生み出して。愚かにも取り込まれてしまった、哀れな女。
あの時に、柔らかい肉と甘い血の味を知ってしまった。
それから、喰らいに喰らいまくったが。
いつのまにか飽きてきて。満足してしまったから、しばらく飽きてしまったのだ。
だが、それは違った。
単純に、毒のように溺れたくなかったからだ。
呑まれてしまいたくなかった。今のように。
だから、今近づいている懐かしい気配に、すぐに気づけなかった。
「…………呪怨、お前をここで倒す!」
濃い。
濃い、霊力を持った女だった。
人間にしては美しい女。
そして、十束剣を宿した、あの女とは違う万乗と同じ血を持つ女。
素直に、喰らってしまいたいと思った。
【……我を、倒すだと?】
「お前は、昔も今も、世に必要とされない存在だ!」
【……くくく】
たしかに霊力は素晴らしいが、立ち向かう勇気とやらが足りないように思える。震える魂が、呪怨の目に映ったからだ。
おこがましい。
弱い、弱い。
なら、喰らうまでだ、と。
屠ってた肉を、ひと口で口に入れた。
「水無、由良!!」
「「はっ!!」」
女の背後にいたのか、二人の黒ずくめの男が出て来た。
女の命に従い、呪怨の方になにか呪を施してきた。呪術師としては、手練れなのか。拘束の札みたいなものを飛ばしてきて、呪怨の足を止めようとしたつもりだが。
弱い、まだまだ弱い。
【……たわいもない!】
そんな弱い拘束など、力を得ている呪怨にはなんの効果もない。
そう思っていたのだが。
「……それは時間稼ぎ。本命はこちら!!」
女の声がした途端。
呪怨の上から、稲妻が降り注いできたのだった。
次回はまた明日〜




