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12-5.立ち向かうため

お待たせ致しましたー






 *・*・*










 吐き気がしそうだった。


 あの水無(みなし)と言う男性から、(いつき)に報告はあったが。


 エミが(みのり)佐和(さわ)を、おそらく瞬間移動で連れてきたところは。


 血の臭いで充満していた道路のど真ん中だった。



「うぷ……!?」

「酷い血臭だ!? むせ返りそうだよ!」

(いくさ)とか戦争ならともかく……これは最悪だわねえ?」



 エミは穫達とは違い、しかめっ面になっていない。身体は笑也(えみや)の物でも、この惨状に慣れているのか。少し、ぞっとしたが気味悪がっている場合じゃない。



「エミ、さ……呪怨もですが、斎さん達はどこに……?」

「うーん……あたし程じゃないけど、高速で移動してるわねん? どーする? 追いかける?」

「……ここで、死んでしまった人達は」

「……うーん。ゲームみたいに復活とかは出来ないわ。あたし達神でも、余程のことがない限り……蘇りは許されていないもの」



 無条件に死者を蘇生させては、あの世が混乱するからだとか。


 だが、今回は単純に死を迎えたよりも厄介らしい。


 呪怨が、力を得るのに魂まで取り込んでいるそうだから。



「それは厄介ですねぇ? 下手すると、輪廻転生……生まれ変わるのも叶わなくなる」

「だから、呪怨本体を倒すしかないわ〜? みのりん、全力でサポートはするけど……呪怨を倒せそう?」

「私……がですか?」

「今のみのりんなら、十束(とつかの)(つるぎ)をうまくコントロール出来てると思うの。あの泣き虫当主とかにも、呪詛返しされないと思うわ」

「……私、が」



 この惨状を終わらせることが出来るのであれば。


 斎達、万乗(ばんじょう)の本家の人達が死なないのなら。


 可能性があるのなら、逃げ腰にならずに立ち向かう。


 斎だって怖いはずなのに、当主として呪怨に立ち向かっているのだから。


 だから、穫も頑張ろうと。


 咲夜(さくや)を剣で、羅衣鬼(らいき)を青年サイズで顕現させた。



「なら、僕も式神を出そう!」



 佐和はキュロットのポケットから、人型の札を取り出して。頭上高くばら撒いた。



「……探せ、捜せ。悪しきもの、この世を乱すものを! 我が命に従い、探し出せ!」



 浮いた札が、どんどん膨らんでいき。それぞれ違う人間のような姿に変化していく。


 一度佐和を見て頷いたら、無言で彼らは四方八方に飛んで行ったのだった。



「薬師如来の力を借り受けた式神達だ。すぐに見つけてくれるだろう!」

「やるわねぇ、さわちん?」

「恐悦至極。とは言え、遠方過ぎたら戻って来ないかもしれないですねぇ? コンタクトを連携はしているので、とりあえず進みましょう」

「そうねん? 須佐(すさ)達も調べているでしょうけど」

「探しましょう、エミさん!」



 これだけ血生臭いのに、マスコミや警察がいないのは須佐達のお陰かもしれない。


 その気遣いが無駄にならないように、三人で血溜まりの上を走ったのだった。

次回はまた明日〜

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