表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
57/168

10-5.渇き(呪怨視点)

お待たせ致しましたー






 *・*・*(呪怨視点)










 ああ、足りない。


 ひとり、またひとり、と。


 呪怨は屠っていく。


 人間を。


 男女、年齢関係なく。


 見つけては、引きずり込んで。


 影の影で、屠って、骨まで残らず喰らう。


 そんな日々を繰り返していたら。


 ああ、己はなんのために存在しているのか。


 喰らうが喰らう。


 血を、骨を、魂を。


 貪りに貪って、いつのまにか存在の意味を忘れそうになっている。


 なんだったか、なんだったか。



【……………………ああ、ああ。思い出した、万乗(ばんじょう)だ】



 天津神(あまつかみ)を宿している女。


 呪怨を呪怨に仕立てることになった、あのにっくき万乗の家の者。


 天津神に愛される存在。


 許すまじ、許すまじ。


 だが、なんだったか。


 人間達の、血を、肉を、骨を、魂を。


 喰らうにつれ、その目的が薄らいできている。


 であれば、もうこのままでもいいかもしれないと思うほど。



【……いいや。……いいや、いいや。あれの肉も喰らいたい】



 成熟には程遠いが、柔らかく旨そうな肉と血の香りがしそうだった。


 しかも、天津神を宿しているのであれば、霊力もたんまりと蓄えていることだろう。



【…………くく。くくくく……あーはっはははは!?】



 そうだ、何も呪怨の分身を差し向けなくともよかったではないか。


 わざわざ、遠巻きに攻撃せずとも良いではないか。


 ならば、まだまだ喰らおう。


 力をつけるために。


 瘴気()をつけて、あの女の血肉を喰らうためにも。


 まだまだ喰らおうではないか。



【……ああ、ああ。ならば、霊力がある人間も喰らおうではないか】



 多少抵抗はされるだろうが、喰らって損はない。


 向かおう。


 街へ。


 そして、血潮を求めて。


 万乗の女を、この牙で引き裂くためにも。


 呪怨は根城に溜め込んでいた、死体などをすべて喰らい終えてから。


 まだまだ、渇きが落ち着かないまま、街へと空を駆けたのだった。

次回はまた明日〜

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ