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10-1.決断(斎視点)

お待たせ致しましたー






 *・*・*((いつき)視点)









 最悪の事態になった。



「……呪怨が、無差別に人間を食べている?」




 側仕えである、水無(みなし)由良(ゆら)からの報告に。斎は二人の前だからこそ、椅子からずり落ちてしまった。



「斎様!?」



 完全にラグの上に膝をついた斎に、水無はまだ慣れないのか。少し取り乱しながらも、斎に駆け寄ってくれた。



「だい……じょうふ」

「ですが」

「斎様、紛れもない事実です。警察などは無差別殺人事件として扱っているようですが」

「……そうね。万乗(ばんじょう)として、私達も動かなければいけない」



 若い当主として。


 結界師の長として。


 本家として、見過ごすわけにもいかない。


 分家の少女自身の方が辛いのに、斎一人が弱気になってもいけないのだ。


 二人にも手伝ってと言えば、二人とも瞬時に跪いてくれた。



「「なんなりと」」

「思うのだけど。本家の長として、あの穫と言う少女に会うのはダメかしら?」

「あの女に?」

「謝罪で済むか分からないけれど、彼女に事実上一任させてしまっているもの。彼女の祖母には一度拒否してしまったけど……」



 あの時は、今みたいに心の余裕がなかった。


 呪怨による血の呪いを受けているのは自分だけと思っていたのに。


 実際は、穫が一人で引き受けていたのだ。金剛刀(こんごうとう)の所持者であるが故に、何もかも一人で。


 今は、達川(たちかわ)の人間に助けてもらっていても、放っておく理由にはならない。


 いずれ、呪怨を倒した反動で斎の命が潰えることになろうとも。



「我らはどこまでも」

「貴女様のご意向に従います」

「ええ。達川の当主にも、謝罪しなくてはいけないわ」



 過去、一度だけあの青年には会ったことはある。


 稀代の当主の中で、男なのにイタコの素質がある存在。


 そんなことがあっていいのか、と斎は昔思ったが。まさか、今こちらの分家の人間と関わることになろうとは。


 謝罪どころか、平伏しなければいけないかもしれない。


 とにかく、アポイントを取らなくては。と、あのマンションの管理を任されている六条(ろくじょう)の人間に、由良に連絡をさせた。


 水無の場合、口が悪いからだ。いい人間であるのは、斎もよく知っているが。



「……今週末、ならと」

「では、手土産に。……私が作りましょうか」

「斎様が手ずから!?」

「あら、水無。私の趣味はお菓子作りよ?」



 年相応の趣味だが、あまり長としてはいい印象を持たれていなかった。


 けれど、今役に立つのなら。


 それを厭わない、と斎は喜んで自分専用の台所に向かうのだった。

次回はまた明日〜

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