9-1.呪怨の過去と(呪怨視点)
お待たせ致しましたー
*・*・*(呪怨視点)
己が、己となったのは。
何時だったか、何時だったか。
もう、はるか遠い昔だった記憶はあるのだが。
呪怨とも呼ばれる、怨恨の象徴。
数多の呪いに塗れた、獣や蟲、人間達の怨恨。
それが積もりに積もって、『呪怨』を生み出した。
そして、当然のように『万乗』への凄まじい憎悪を抱えて存在していた。
だが、何時だったか。何時だったか。
どうして、それが呪怨として当たり前のように存在していたのか。
わからない、わからない。
ただ、万乗を殺すため。
一番、強い術師の力を秘めた人間を殺すため。
なら、万乗でなくとも良いが。あの女はダメだ。
天津神そのものを宿している、あの女。
あれは殺さねばならない。
殺さねば、呪怨自身が消される。
だが、そう思って分身をけしかけても、天神そのもの達まで邪魔をしてくるのだ。
今日も消されかけたし、どうすれば。
【殺す……殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す!!】
絶対に、絶対にあの女を殺す。そして、万乗諸共根絶やしにしてやるのだ。
根城に、何とか戻った呪怨は力を癒すために、虎の姿のまま横になり。しばし、寝ていたが。
適当なゴミ置き場の中にいたせいか、誰かがやって来たのだ。
「……ねえ、こんなムードもないとこでスるの?」
「だってよ。我慢出来ねーの、お前もって言っただろ?」
「そーだけど……」
霊力も呪力もない、ただの虫けらのような人間の男女。
だが、呪怨にとっては好都合。
何せ、今は腹が減っていた。
「あ……れ? なんか匂わね?」
「ゴミ置き場だからでしょ?」
「そうじゃなくて、なんか……」
ああ、遅い。
もう遅い。
お前達は、呪怨の糧となるのだから。
呪怨が姿を見せた直後、郊外のゴミ置き場から人間が二人も消えたとは、誰も知らないだろう。
次回はまた明日〜




