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6-5.実は大学の友人が

お待たせ致しましたー






 *・*・*








 小さな、小さな疑問。


 それは何だったのか、(みのり)にはわからなかった。


 けれど、食と住が大幅に変わったのだ。その反動でのストレスかもしれない。


 そう思って、教授の講義を受けに行った後に。ゼミ生の同級生に声をかけられた。



「一躍有名人だよ? 万乗(ばんじょう)氏?」



 彼女は、琴波(ことは)佐和(さわ)


 少し不思議な話し方をするが、ただの同級生じゃない。教授が笑也(えみや)を紹介してしてくれるきっかけとなった、恩人でもあるのだ。



「有名人?」

「うん。万乗氏らしい容姿の側に、とてつもなく顔が優れた同伴者がいたと。僕は知らなかったが。そんな知り合いが出来たのかい?」



 そして、女なのに僕っ子であるのだ。


 けれど、彼女に嘘はつきたくない。こう見えても、今年一緒のゼミ生になってから。大学入学以来別れた友人並みによく一緒にいるからだ。



「出来たけど。佐和ちゃんが紹介してくれた人だよ?」

「んん? では、達川(たちかわ)氏か? 僕、実は直接会ったことはないんだが、そんなにも麗しい容姿の持ち主だったのかい?」

「笑也さんに会ってないの?」

「ああ。いつも、メール程度のやりとりだ。教授も、ほとんど電話だったそうだが」

「ここの四年上の先輩だったんだって」

「ほう! 興味深い!……で、君の悩みの方は?」



 佐和にはどこまで話していいものか。


 まだ、前のアパートにも数回上げた程度だが。笑也と同じ高級マンションに住むことになったり、ハウスキーパーになったことをどう伝えればいいのか。


 言いふらす女の子ではないのを知っているので、言ってもいいかもしれないが。



【穫。此奴(こやつ)も何かしらの術者だ。話しても問題はないだろう】

【なんか、すっげー力感じる!】



 宿っている二人に言われたら、大丈夫かと安心は出来たが。


 とりあえず、空っぽになるゼミの教室で話すことにして。


 飲み物だけ買ってきてから、佐和に切り出すことにした。



「あのね? 信じられないかもだけど。私、家自体が能力者の家系だったそうなの」

「ふむ、やはりか? 万乗の名前は界隈じゃ有名だからね?」

「知ってたの?」

「ああ。だが、万乗氏自身は術師ではなかった。だから言わずのままいただけさ」

「佐和ちゃんは……何か出来る人なの?」

「んー? まあ、僕自身は大した術師ではない。一応、陰陽師の家系の傍流の傍流さ?」



 佐和自身が、家系の中では比較的強い術師らしく。


 穫の呪怨などの不吉な気配をすぐに察知は出来たが。


 (おおやけ)の場で、いきなり術を使うわけにも行かず。かと言って、出会ったばかりの穫にも信頼を得ないと助けの手を差し出せない。


 だから、一年半。可能な範囲で除霊をして、少しずつ友人関係を築き。


 呪怨は、佐和一人では手に負えないので笑也を紹介出来る車谷(くるまや)教授を、佐和経由で紹介したわけである。



「……助けてくれてたんだ」

「最初は興味本位だっただけさ? あとは、君と関わった故での心配からだね? けど、今の君は週末と全然違うね? まるで、神に愛されたような神々しい光に包まれている」

「眩しい?」

「僕の『目』で視てもだね? 達川氏に何か施してもらったのかい?」

「えっと……ね?」



 咲夜(さくや)達にもう一度確認を取ってから。羅衣鬼(らいき)は影から、咲夜は穫の背から出てきて。


 それぞれ穫の両隣に顕現したのだった。



「! ほう……右の少女は美しいね? まるで、剣のようだ。左の鬼君は……凄まじい雷の気を感じる」

「笑也さんに、こっちの咲夜は私の体に封じられてたつるぎで。その封印を解いてもらったの。万乗の問題で私が狙われてたのは、この咲夜がいるからだって」

「万乗は時代の波に揉まれつつも、怨みなどは僕のとこの本家並みに酷いらしいからね?」

「で、こっちは羅衣鬼君って言うんだけど。元は小さな鬼君で私の幼馴染みだったの。笑也さんの指示で、私の守護鬼になってくれたのよ」

「雑鬼から、守護鬼。……さすがは達川の人間だね?」



 末恐ろしや、などと口笛を吹きながら佐和は感心したのだった。


 とりあえず、二人にはまた宿ってもらうのにそれぞれ戻った。



「けど。まだ問題は解決してないから。笑也さんの提案で同じマンションに引っ越して、依頼料がわりにハウスキーパーをすることになったんだ」

「術師は、とにかく法外の金を要求するからね? それだけ準備などが必要だからだけど。そうかそうか。万乗氏の安全が確保出来たのなら、僕も嬉しいよ」



 だから、大学に登校中は出来るだけ穫の護衛につこうと言い出した。



「え? 咲夜達がいるから大丈夫だよ?」

「とは言っても。君は本家とは違って、術式とかを何も知らないのだろう? 可能な範囲で、結界を張るくらいさ。僕も咲夜氏の手解きを見てみたいしね?」



 術者故の好奇心らしい。


 ちなみに、料金とかはその事態発生があった後とかに、コンビニとかのドリップのカフェラテを奢るだけでいいそうだ。

次回はまた明日〜

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