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5-5.冷凍餃子でタッカルビ②

お待たせ致しましたー






 *・*・*







 達川(たちかわ)宅にやって来てからは、小鬼がずっとびくびくしていた。


 笑也(えみや)(みのり)達がやって来てからは、即座にエミに変わって。


 そして、穫が連れてきた小鬼を見据えると、ひょいと穫の頭からつまみ上げて、リビングに連れて行ったらラグマットの上に座らせた。


 そこから、ずっとだが。


 穫も話に加わろうとしたが、(たくみ)に夕飯を作るように言われたので。気にはなるが、仕方がなく作ることにして、咲夜(さくや)と一緒に取り掛かることにした。



「咲夜、今日の料理は鍋料理……みたいなものなの」

「鍋? を使うのか?」

「そうそう。メインの食材はこれ」



 冷凍庫から、大量に取り出したのは冷凍餃子のパック。小分けパックになっている、取り出しやすいものだ。



「それが……ぎょーざ?」

「お肉と野菜たっぷりで、焼いても煮ても美味しいんだけど。今日のは両方しちゃうの」

「ほう?」



 咲夜は覚醒したばかりなので、まだまだ料理は初心者だが。野菜を切るのを一緒にやろうと言うことになり、キャベツと玉ねぎを切ろうとしたのだが。


 咲夜が、玉ねぎの皮を剥いただけでぽろぽろと涙をこぼしてしまったのだ。



「え、痛い!?」

「痛い……と言うのか? 目の周りが熱くて、かきむしりたい!」

「ダメだよ! 顔洗って洗って!」



 洗顔の方法はすぐに教えていたので、目をしっかり洗ってもらい。持って来たタオルで顔を拭けば、目の痒みは多少落ち着いたようだ。



「……すまない」

「いいよ。私も気をつけていればよかったから。……とりあえず、慣れれば痛くなったりしないから」

「……昔はこのような野菜はなかった」

「えーと? 輸入されたのが結構最近だからかなあ?」



 あまり詳しくはないが。


 穫が玉ねぎをスライスして、咲夜にはキャベツを手でちぎってもらい。


 冷凍餃子をしっかり焼いてから、鍋を三つ用意。業務用の鍋があったので、遠慮なく餃子を投入してから。


 野菜、キムチ、チーズ、お湯少しと入れて蓋をして。


 湯気が出てから、蒸すこと約10分。


 蓋を開ければ、少し赤い色に染まったチーズタッカルビの完成だった。


 少し味見をしたら、野菜はしっかりキムチ味になっていた。



「さ、持っていこ? 咲夜には鍋敷きを持ってもらえる?」

「力は私の方があるぞ?」

「大丈夫大丈夫。とにかく行こ行こ? これは熱いうちが美味しいから」

「わかった」



 リビングに向かえば、エミが怖い表情で相変わらず小鬼を見下ろしていたのだ。



「みのりんが被害に遭ったのよ? それを手助けしようとして、逆に迷惑かけたんでしょ?」

「……おっしゃる通りです。俺は……友達を傷つきかけたのは変わりない」

「なら、成すべきことはわかってるかしらん?」

「なにさせる気や、エミ?」

「この『小鬼』を守護鬼にさせるつもりよん?」

「へ?」



 陰から見守っていた穫にもさっぱりだったが、咲夜がため息を吐いていた。



「……私以外にも、か」

「どーゆこと?」

「妖からも、穫を守護する存在にさせるおつもりだ」

「え?」



 その声が大きかったのか、エミがこっちに振り返ってきた。



「みのりーん! ご飯出来たー?」

「あ、はい。出来ました。持っていきます」



 さあさあ、とエミが輝かんばかりの笑顔になったので。ローテーブルの上に咲夜が鍋敷きを置き、その上に鍋を載せた。それをあと二回繰り返せば、エミはさらに恍惚とした表情に。



「な〜に、なに? キムチとチーズのいい匂い〜? 鍋?」

「冷凍餃子でチーズタッカルビにしました」

「美味しそう〜〜!!……ほら、あんたもおいで?」

「へ?」

「言ったでしょ? あんたをみのりんの守護鬼にさせるって? だーかーらー、もう身内よ身内」

「……!?」



 いまいち、そのしゅごきと言う単語がよくわかっていないのだが。


 小鬼の表情が明るくなっていくのだから、いいことなのかもしれない。

次回はまた明日〜

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