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5-1.いつもの日常が

お待たせ致しましたー






 *・*・*







 月曜、平日。


 (みのり)は大学はあるが、そろそろ夏休みが始まるし、レポートもさして急ぐ必要はない。


 ただ、笑也(えみや)のところより前にバイトしている、本屋の方があるのだ。


 今日は大学に行かなくても問題はないが、そのバイトが朝からあるので。穫は一人で本屋に向かう。


 と言っても、体内には咲夜(さくや)を宿している。一緒に働くことは出来ないので、エミが宿した状態で連れて行けば問題ないと言ったからだ。


 表面上は、穫は一般人だが。


 視える人間にとっては異質に映るかもしれない。



【人が多いな、穫?】

『そりゃ、街中だもの』



 咲夜と意思疎通するのに慣れるのにもちょうどいい。


 そう言う理由もあって、穫は宿すことを承諾した。加えて、今までちょっかいを出してきた雑魚の浮遊霊なども祓えるそうだ。


 その証拠に、一定の距離まで詰め寄ってきた悪霊達が、風船が弾けるように消えていくのだ。覚醒した咲夜を宿しているのだから、当然だと彼女に言われた。



【雑魚が多いな? 私がいる限り、大丈夫だ。穫はいつも通りに過ごせ】

『うん』



 そして、問題点がひとつ。


 穫が笑也と同じマンションに引っ越したことだ。


 本屋の店長にだけは、緊急連絡先の変更を言わねばならないので、あらかじめ用意した便箋を渡したのだった。



「あら、こんな時期に?」

「ちょっと……実家の関係で」

「わかったわ。変更届の用紙だけは書いてもらえる? あとの処理はしておくから」

「お願いします」



 わかってはいたが、意外にもあっさりと終わったので穫は着替えてからその用紙に記入した。


 店長に渡したら、穫は先に働いている先輩達を手伝うのに店内に出た。


 荷物運び、レジ、荷物運びなどなど。


 本屋は地味に見えて、実は結構な重労働なのだ。台車なども使うが、基本的には手で本の山を運んでストッカーである引き出しの中にしまうなど。


 街の本屋でも、結構大きい本屋なので時給もそこそこ良い。そして、バイトでも社割で本が買えるのがメリットだ。



【……雑魚以外に、妖もいるな?】

『あやかし?』

【穫にわかりやすく言うなら、妖怪だ】



 あと少しで昼休憩と言うところで、ずっと黙っていた咲夜が語りかけてきた。


 妖怪、と聞くと穫は幼い頃を思い出す。


 仲良くしていた、妖怪変化達のことだ。


 穫が大人になってからは、どう言うわけか姿を見せなくなってしまったが。


 どこなのかキョロキョロすると、店の隅に黒い影があった。


 悪霊かと一瞬構えたが、飛んできたその姿に、穫は目を丸くした。



『み〜の〜り〜〜!!』



 丸っこいフォルム。


 小さな角に、くりくりとした一つ目。


 穫に抱きつくと、ぽふっと音がしたが体内にいる咲夜は大慌てだった。



【こら、雑鬼!? 穫から離れろ!?】

『うわ!? あっちちち!? マジで穫にスッゲーもん憑いてた!?』

【……昇華させようか?】

『わーわー!? 勘弁!!』



 穫は固まってしまいかけたが、今は仕事中だ。


 一つ目のざっきと言う類の妖怪には、小声でちょっと待ってと言ってから休憩をもらいに行き。


 外で休憩を取ることにして、昼ごはんを買ってから公園で話すことにしたのだ。

次回はまた明日〜

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