4-4.他の分家(???視点)
お待たせ致しましたー
*・*・*(???視点)
太刀筋は荒いが、霊力などは本物。
当主に匹敵、いやそれ以上。
少し腹立たしいが、認めないわけにはいかない。
「胸糞悪!!」
「こら、水無? 口が悪いですよ?」
「だってさぁ? あれ何? 反則じゃね??」
万乗に伝わる、宝剣・金剛刀。その宿主がほとんど一般人に近い分家筋の女が継承していただなんて誰が思うだろうか。
自分も分家ではあるが、彼女に比べれば中の上。
なのに、本家と比べれば使いっ走りばかり。
血の位があるので、それを水無も否定はしないし受け入れている。
だが、あの穫と言う女については、納得がいかない。
「しかしながら、事実は事実ですしね? 加えて、例の達川……天照大神のイタコを唯一出来る当主に気に入られているようでは。当主がおっしゃったように、引き込むことも何も出来ません。何やら、他二柱の加護もあるようですし」
ペアを組んでいる由良もため息を吐きながら、冷静に分析している。
それはその通りなので、水無はさらに腹立たしくなってしまう。
だけど、どうしても納得がいかない。何故、あんなチンケな女を宿主にしたのかを。
「……いっそ殺せば」
「こら、ダメですよ? 無益殺生なことは」
「だけどよ! 当主様が可哀想じゃねぇか?! 稀代の術師でも、金剛刀がない抜け殻だとか言われてんだぜ?」
「だからとは言え、彼女がもし死んでも継承されるとは限りませんよ? 金剛刀は意思を持った剣なんですから」
「そ……だけどよ」
たしかに、無神経な発言だった。
もし仮に、水無とかが手をかけても、呪怨に殺されたりしても。その後に金剛刀自身が当主を宿主と認めるとは限らない。
条件が判明していないので、金剛刀の選別基準もわからないのだ。
「ひとまず、ありのままに報告しましょう。私は行きますが、水無。あなたはどうします?」
「……帰る。さっきくらいの雑魚なら、またあいつらなら追い払えそうだし」
「でしょうね? 行きますよ」
穫達がいるマンションの向かいに立ってた二人は、跳躍しながら万乗本家の邸に戻っていく。
けど、水無はまだ。
穫のことを、一切認めてはいなかった。
そして、邸に到着して当主に告げれば。
行きとは違い、まるで覇気のない物言いで『わかった』とだけ水無達に言っただけだった。
「……どうしちまったんだよ」
「御当主も認められたのでしょうか?」
「そんな……!?」
下がって待機部屋に篭ることになったが、由良の言葉に水無は過剰に反応してしまった。
「もしかしたら、遠視をされたのかもしれません。あの少女が金剛刀の誠の宿主であるかどうか。ご自分で納得されたかもしれませんよ」
「俺達で……どうにも出来ねぇのかよ」
万乗の家はもう終わりなのか。
それを危惧しなければならない事実を、突きつけられた気分だった。
次回はまた明日〜




