表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
168/168

33-4.幸せな未来

最終回です






 *・*・*









 さらに、三年後。


 (みのり)は待っていた。


 来るべき相手が来るまで。


 身なりを、ウェディングドレスに包んで、待っていた。同じように身なりをタキシードに整えた笑也(えみや)を。


 控え室で静かに。その間緊張しないわけがない。



(……いよいよだわ)



 大学を卒業して、まだ一年程度ではあるが。無事にバイト先が就職先となり、アルバイトではなく正社員として本屋に勤務しているのだ。


 アルバイトから採用されたとは言え、仕事の大まかな振り分けは変わらない。変わったと言えば、事務作業などについてだ。先輩の社員達に教わりながら頑張っている。


 そんな日々が続いて、約一年。


 笑也に改めてプロポーズされたので、穫は受けた。


 そして今日、穫は笑也もとい、達川(たちかわ)家に嫁ぐのだ。住まいなどは変わらないが、部屋はあのマンションもそのまま。笑也が仕事用とプライベート用ふたつ借りることで契約更新をしたわけである。


 咲夜(さくや)達も一緒ではあるが、羅衣鬼(らいき)も姿を子供ではなく大学生くらいにまで変身出来るようになったら、本屋でバイトしてくれる事になった。男手が多いことに越したことはないので、有難い働き手だ。


 咲夜は、穫と同じように正社員になるかと思ったが、融通の効くバイトがいいともう二年程度はアルバイトのままらしい。


 とは言え、一緒に働けるのが嬉しくないわけがない。



(佐和(さわ)ちゃんと(たくみ)さんももうすぐだし……)



 今年中ではないが、彼らも婚約したので近いうちに結婚するだろう。その時は盛大にお祝いするつもりではある。



「……お待たせ」



 考え込んでいたら、笑也がやってきた。


 グレーのタキシードが、試着の時も思ったが良く似合っていて。髪も綺麗に整えられているから尚更イケメン度がマシマシだ。ここが式場でなければ、鼻血を噴いてしまっていただろう。


 そんなことが出来ないので、手袋を汚さない程度に口に手を当てた。



「……ん?」

「とっても……似合っています」

「穫もね?」



 去年くらいから、笑也は穫を呼び捨てにするようになった。逆に穫は相変わらずでいるが。


 スタッフさん達が後ろにいるので、抱きつくことも出来ない。だからか、笑也はティアラの後ろを軽く撫でてくれた。



「では、新郎新婦様。式場にご案内致します」

「「はい」」



 四年前の、あの夏の日には。


 依頼した相手である笑也と結ばれるだなんて、これっぽっちも思わないでいたが。


 今までにない選択。最上に選択が出来た穫は、彼の手を離すことはしない。


 インスタントが好きな神様を降ろすことの出来る、男性のイタコ。その笑也を手伝える事を妻としても役割を担いたいのだから。

連載にお付き合いいただきありがとうございました


次回からは新連載と拙作『ピッツァに嘘はない!』の再開です〜

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ