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28-4.呪怨と十束(呪怨視点)

お待たせ致しましたー


夏休み企画始動!!






 *・*・*(呪怨視点)










 忌々しい。


 憎い、憎い、憎い!!


 十束(とつかの)万乗(ばんじょう)の守護たる存在。


 何故、あの阿鼻(あび)から抜け出せたのかは、呪怨にとってはわからない。


 だが今は。


 憎い十束剣が目の前にいるのだ。


 たとえ己が利用された存在であれ、むしろ好都合。


 あの万乗の小娘が一緒でないのは不愉快だが、まあいい。


 地獄の炎で焼かれた痛みを思えば、順に屠っていくのもまた楽しみだ。


 力も得ている。


 現世にいた頃とは段違いに。


 たしかに、彼奴らから攻撃は受けたが、それを上回る力を呪怨は得ている。


 分裂した己の力を感じて、あの十束とよくわからない鬼を屠るのみ。



【とぉおつぅうかあああああああああ!?】



 力が。


 力が溢れ出してくる。


 まばゆくはないが、おどろおどろしい何かが呪怨の内側から溢れ出てくるのだ。これはいったい何か。


 ここに来る前に、呪怨の身に何があったのか。


 思い出せない。思い出せないのだ。だが、悪くない、むしろ心地良く感じる。


 今なら、あの時に地獄に落とされた己とはまったく違うと理解が出来た。



「くっそ……雷衝撃!!」



 鬼の方が、呪怨に雷属性の攻撃をぶつけてきた。


 たしかに効くが、地獄の炎程ではない。


 殺せる、屠れる、今なら。


 十束を、万乗を。


 今なら、今ならば。


 彼奴らを、逆に地獄に落とせる。


 己が味わった苦痛を逆に味合わせてやれる。


 そう思い、分裂した者らと共に、十束ら向かって駆け出した途端。



「………………………………失せろ」



 低い。


 地を這うが如く、低い声が響いた。


 なんだ、と思っていると呪怨が分裂したものは塵のように消えてしまい。


 残った呪怨本体も、このままだと消滅してしまいそうなくらいに、己の個を留めておくのが精一杯だった。



【ぐ……が!?】



 いったい何が起きたのか。


 声の正体はわかった。


 十束剣だ。


 (おの)が剣を構えていたかと思えば、諦めるどころか光のない瞳で言い放った直後。


 ほとばしるような力を感じて、呪怨の分裂した者らを消滅。先程切りかかってきた時とはまったく違う存在になった。



「さ、咲夜(さくや)?」



 鬼が十束に名付けられた名を口にすると。


 十束の方は、剣を軽く振ってから顔を上げた。美しい(かんばせ)が、妖しくそしてさらに美しくなっていたのだ。



「……十束の恐ろしさ。……それを目の当たりにしたいのか? 呪い無勢が」



 そして、十束は先程よりは信じられない速さで呪怨の懐に入ってきたのだ。


 意識が、そこで途絶えた。

次回はまた明日〜

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