表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
137/168

27-1.神からの謝罪(笑也視点)

お待たせ致しましたー






 *・*・*(笑也(えみや)視点)









 (みのり)に手を伸ばしたのに、間に合わなかった。


 (いつき)らが用意した、修練用の敷布の上に穫が座った直後。怪異らしき何者かの手により、穫が敷布の中に、いや、何処かの亜空間に引きずり込まれてしまった。その後に、咲夜(さくや)もその空間に吸い込まれた。



「……穫」



 笑也は絨毯の上に膝をついた。何も出来ず、ただ愛しい女性を連れさられたことに落胆してしまう。


 斎らも呆然としていたが、ひとり、佐和(さわ)だけは布の上に手を伸ばしてペタペタと触れていた。



「……琴波(ことは)、さん?」

「……この布にはやはり仕掛けがない。となると、今のは穫との繋がりを得た八岐大蛇(ヤマタノオロチ)の尾の仕業。それは間違いないと思う」



 穫と同じ歳なのに、冷静に事態を把握しようとしていた。


 六つも歳下の女の子でいるのに、笑也は自分が情けなくなってきた。術師として大した事がなくても、出来るだけのことをしよう。


 ならば、笑也が出来ることといえば。



「我が身に降ろせ、高天ヶ原の御神。魅入られ、魅入る国津神の御許。我が身に降ろせ、万物の象徴。全てを見通せ、遍く星の声。────さあ、我が身を見よ」



 エミはここにいないが、いないのなら呼べばいい。


 エミに鍛えられたこの肉体を貸し与え、穫の後を追えるのならばその方がいい。


 そう思って、イタコとして彼女を喚ぼうとしたのだが。


 エミだけでなく、須佐(すさ)月詠(つくよみ)まで、絨毯の上に出現したがいきなり土下座をしたのだった。



「……どうしたの?」



 三神揃って人間のように土下座するなど、普通はあり得ない。


 あり得ないのだが、この場合はいくら笑也でも察する事が出来た。




「「「……ごめんなさい」」」



 三神揃って同じ言葉を口にするのだから、十中八九穫についてだろう。



「……こっちで、穫ちゃんが多分八岐大蛇に連れて行かれたんだけど。三人とも何があったの?」



 自分でも、らしくないくらい低い声を出してしまう。それだけ、穫を連れて行かれたショックが大きいせいだ。


 土下座したうち、月詠が挙手をしたので発言を許した。



「……地獄で。あれが呪怨を取り込んだのです」

「は?」

「ついで……になりますが、私が混沌に堕とそうとしたのですが……逆に陰の気を取り込み、完全体に近いようになってしまい」

「何してんの、月詠!?」



 思わず、月詠の頭を殴った笑也は悪くないと思う。



「……多分。みのりんは地獄よ……地獄は地獄で、閻魔大王の補佐官達が八岐大蛇の本体を取られないようにしてるけど。ぶっちゃけ持ってかれるわ」

「……なんで、余計に力与える結果にするんだよ」



 しかし、肉体があるままでは、地獄だなんて行けない。


 エミらの力で、笑也もだが佐和も幽体離脱する事になり。肉体の方は斎達に頼んで保護してもらうことにした。


 あの世にだなんて行くのは初めてだが。


 穫の救出のために、何もしない方が嫌だからだ。

次回はまた明日〜

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ